43.父さん
作戦開始五日目の金曜。
放課後、一旦帰って家事を済ませてから、巴の家に向かった。
丁度いい頃合いに到着。
玄関先で眼鏡も三つ編みもない巴の拡大コピーが、ポテ子を鎖に繋いでいた。
「友田君?」
「は……はい! あの、お邪魔します」
「どうぞどうぞ、ごゆっくり。政晶がお世話になったみたいで、ありがとうね」
「あ、いえ、その、お世話とかそんなんじゃ……」
「うん。でも仲良くしてくれて、ありがとう。政晶と宗教、部屋で待ってるよ」
推定・巴の父ちゃんは、笑いながらドアを開けてくれた。
まともな親だ。羨まし……いや、これが普通だ。
親子は、こういう会話が当たり前なんだよ。
お礼を言って中に入る。
「ようこそお越し下さいました。ご主人様たちがお待ちでございます」
玄関ホールで黒江さんが待っていて、巴先生の部屋に恭しく案内された。
日曜と同じメンバーが揃い、俺と巴は軽く会釈した。
「ごめんね、わざわざ来てもらって……」
「いっいえっ! とんでもない! こちらこそ嬉しいです」
巴先生に言われて恐縮する。
一日デーレヴォなしで過ごして、かなり回復していたが、先生の顔を見た途端、残りの疲れも吹き飛んだ。
先生に勧められて、日曜と同じ椅子に座る。黒江さんが紅茶を淹れてくれた。
巴が心配そうに聞く。
「友田君、大丈夫? 今日はマシっぽいけど、昨日は居眠りしてたし……」
「あ、ああ、大丈夫。ちょっと夜更かししちゃっただけ」
……最低だ。
本当のことを言ったら、先生に「腕環を返しに行きなさい」って言われそうな気がして、咄嗟に嘘を吐いてしまった。
先生の言いつけを守らず、デーレヴォに表情を付けているのも気マズい。
「腕環、もう少しよく見せてくれる?」
俺は、腕環をポケットから出して先生に渡した。




