表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第07章.取り説

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/95

44.警備員

 先生は真剣な表情で腕環を調べる。

 (しばら)く色んな方向から見ていたが、何か見つけたらしい。

 内側の一点を見詰めて、何か呟く。腕環全体がぼんやり光って、空中にお盆のような光が浮かび上がった。


 「なっ……何ですか、それ!?」

 「んー……取扱説明書……かな? 内側に書いてあるコマンドワードを言ったら、展開するようになってたみたい。ちゃんと読むから、ちょっと待ってね」


 巴先生は、黒江さんに隣の部屋からルーズリーフとペンを持って来させた。ベッド付属のテーブルに腕環を乗せて、光の中に表示された文字を書き写す。


 少し時間が掛かりそうなので、金髪の女性に話し掛けてみた。

 「あ、あの、質問、いいですか?」

 「どうぞ」

 「失礼かもしれないんですけど、このお家の方とは、どういったご関係ですか?」

 「警備担当者です」

 「あ……あぁ、そうなんですか。ありがとうございます」


 何それ、怖い。

 【急降下する(ワシ)】の警備が要るって、この家は一体、どんな魔物に狙われてるんだッ?


 「友田君、この間、鷲がどうとか言ってたけど、何の話?」

 「えっ? あれっ? 巴、知らないの?」

 巴の意外な質問に驚いて、問い返す。


 「自分が何を知らないのかも、わからないんだけど、何か知ってるの?」

 「ん? うん。俺が知ってるのは、ペンダントの意味。魔術師連盟【霊性の翼団】の身分証で、その人が専攻してる魔術の系統を示してるんだ。巴先生のは【舞い降りる白鳥】で、呪いの解除や術の解析、警備のお姉さんのは【急降下する鷲】で魔物退治の専門家」


 「へぇーそうなん……えぇッ?この家、魔物に狙われとんッ?」

 方言に戻る巴。


 うん。俺と同じ感想で安心した。


 「この家は、結界があるので安全ですが、念の為に常駐しています」

 「そしたら、いっつもおっちゃんの(はた)に居るん、おっちゃんが狙われとうからなん?」

 「数年前に拉致され、魔物の餌食にされかけたことがあります。その件は既に解決しておりますが、再びそのようなことがないように、私がお(そば)に居ります」


 「あれっ? 黒江さんって、人間よりも強いですよね? 誘拐……」

 「魔法の武器で傷を負わされッ、ご主人様をッ、お守りできませんでしたッ!」

 俺は、また、黒江さんの地雷を踏んでしまったらしい。

 泣きそうな顔で睨まれ、言葉を失う。


 「クロ、おいで、だっこしよう」

 先生が翻訳の手を止め、優しく声を掛ける。

 にゃんこ形態になった黒江さんは、先生の腕の中に飛び込んだ。


 先生は黒猫を抱きしめて、背中を撫でながら言った。

 「よしよし。クロは人間に悪さしないいい子だもんね~。そもそも、僕が大袈裟だと思って、警備を断ったのがいけないんだから、クロは気にしなくていいんだよ」


 先生にしっかりしがみついた黒猫は、落ち着いたのか、目を閉じて喉を鳴らし始めた。

 あやされてゴロゴロ言う姿は、猫そのものだが、先生の本で見た黒江さんの正体は、体長五メートルで、悪魔っぽい外見の魔法生物だ。


 アレを行動不能にするとか、どんな達人が、どれだけ強力な魔法の武器を使ったんだよ。


 「この種類の使い魔は戦う力を付与されておりませんので、護身用には(てき)さないのです」

 警備のお姉さんが説明してくれた。

 「……ですが、直接戦う力がなくとも、身を守る方法はあります」

 「どうやってですか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
【関連が強い話】
野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ