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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第06章.情報戦

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37.疲労感

 どのくらい眠ったのか、デーレヴォに声を掛けられて、目が覚めた。

 「写真撮影が終了しました」

 「ありがとう」


 コンデジを受け取り、デーレヴォには腕環に戻ってもらった。

 少し楽になったが、まだ、だるい。腕環を外して鞄の底に隠す。

 重りが外れたように体が軽くなった。


 デジカメのデータを移すのは、姉ちゃんにやってもらおう。

 疲れ切った体を引きずってベッドに戻り、枕の下にコンデジを入れて横になる。


 作業が早く済んでも、俺自身が動けなくなるんじゃ、結局、同じじゃないのか……

 いや、そうでもないか。

 今は、まだ、説明段階だからで、デーレヴォが色々できるようになったら、別行動できるし……


 「大丈夫? 晩ご飯できたけど、食べられる?」

 姉ちゃんの心配そうな声に目を開ける。


 いつの間にか、完全に眠っていたらしい。まだ頭の芯に眠気が残っているが、体はかなり回復していた。


 「大丈夫。今日は服の写真撮って貰ってたんだ」

 「そう。あんまり無理しないでね」

 午後八時を回っていた。二時間以上眠っていたことになる。


 台所で晩ご飯を食べながら、作戦会議に入る。

 今日の(まかな)いは、(アジ)のシソ巻き揚げとコロッケ。ご飯と味噌汁とサラダを追加して、栄養バランスを取っている。


 オカンと兄貴にはコロッケなし。

 鯵シソとサラダを皿に入れ、ラップして、冷蔵庫に仕舞った。


 「お母さんがお風呂に入ってる間にケータイ持ってくるから、あの子に使い方教えて」

 「ん? うん。でも、俺も使い方……」

 「私が教えるから、それを覚えるように言って」

 「わかった」

 二人きりだが、無意識に小声になる。


 オカンは髪が長いから長風呂だ。ドライヤーにも時間が掛かる。

 「あ、そうだ。やっぱり取りに行く所から、私の指示に従うように言ってくれる?」

 「うん。いいけど、何で?」


 「今夜だけで、全部転送できるか、わかんないじゃない。何日掛かるかわからないから、覚えてもらおうと思って」

 「メール……って、そんないっぱいあんの?」

 「多分……ね。携帯代の明細見た限り、相当なもんよ」

 「うわぁ……」


 俺たちが風呂から上がっても、まだ帰ってこない。居て欲しくない時は居る癖に。

 姉ちゃんは証拠データの処理、俺は宿題をしてオカンの帰りを待った。それぞれの作業が終わり、ベッドで体を休めて待つ。


 うとうとし始めた頃、玄関が開く音で現実に引き戻された。


 十一時前。


 足音は台所に直行する。少しして、電子レンジの音が聞こえた。

 クソ兄貴だ。


 野菜を食べる気がないから、生野菜のサラダも、いっしょくたにレンジで温め直す。

 オカンは面倒臭がって、温めないでそのまま食べるか、姉ちゃんにやらせる。


 「明日にしよう」

 姉ちゃんが作戦の中止を宣言した。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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