37.疲労感
どのくらい眠ったのか、デーレヴォに声を掛けられて、目が覚めた。
「写真撮影が終了しました」
「ありがとう」
コンデジを受け取り、デーレヴォには腕環に戻ってもらった。
少し楽になったが、まだ、だるい。腕環を外して鞄の底に隠す。
重りが外れたように体が軽くなった。
デジカメのデータを移すのは、姉ちゃんにやってもらおう。
疲れ切った体を引きずってベッドに戻り、枕の下にコンデジを入れて横になる。
作業が早く済んでも、俺自身が動けなくなるんじゃ、結局、同じじゃないのか……
いや、そうでもないか。
今は、まだ、説明段階だからで、デーレヴォが色々できるようになったら、別行動できるし……
「大丈夫? 晩ご飯できたけど、食べられる?」
姉ちゃんの心配そうな声に目を開ける。
いつの間にか、完全に眠っていたらしい。まだ頭の芯に眠気が残っているが、体はかなり回復していた。
「大丈夫。今日は服の写真撮って貰ってたんだ」
「そう。あんまり無理しないでね」
午後八時を回っていた。二時間以上眠っていたことになる。
台所で晩ご飯を食べながら、作戦会議に入る。
今日の賄いは、鯵のシソ巻き揚げとコロッケ。ご飯と味噌汁とサラダを追加して、栄養バランスを取っている。
オカンと兄貴にはコロッケなし。
鯵シソとサラダを皿に入れ、ラップして、冷蔵庫に仕舞った。
「お母さんがお風呂に入ってる間にケータイ持ってくるから、あの子に使い方教えて」
「ん? うん。でも、俺も使い方……」
「私が教えるから、それを覚えるように言って」
「わかった」
二人きりだが、無意識に小声になる。
オカンは髪が長いから長風呂だ。ドライヤーにも時間が掛かる。
「あ、そうだ。やっぱり取りに行く所から、私の指示に従うように言ってくれる?」
「うん。いいけど、何で?」
「今夜だけで、全部転送できるか、わかんないじゃない。何日掛かるかわからないから、覚えてもらおうと思って」
「メール……って、そんないっぱいあんの?」
「多分……ね。携帯代の明細見た限り、相当なもんよ」
「うわぁ……」
俺たちが風呂から上がっても、まだ帰ってこない。居て欲しくない時は居る癖に。
姉ちゃんは証拠データの処理、俺は宿題をしてオカンの帰りを待った。それぞれの作業が終わり、ベッドで体を休めて待つ。
うとうとし始めた頃、玄関が開く音で現実に引き戻された。
十一時前。
足音は台所に直行する。少しして、電子レンジの音が聞こえた。
クソ兄貴だ。
野菜を食べる気がないから、生野菜のサラダも、いっしょくたにレンジで温め直す。
オカンは面倒臭がって、温めないでそのまま食べるか、姉ちゃんにやらせる。
「明日にしよう」
姉ちゃんが作戦の中止を宣言した。




