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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第06章.情報戦

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38/95

38.女の子

 作戦開始三日目の水曜。

 どうやらオカンは外泊したらしく、朝になっても玄関に靴はなかった。

 どうせなら、このまま帰って来てくれなくていい。


 教室に入ると女子に囲まれた。

 「ちょっとちょっと! 何で(ともえ)君のお母さんのこと知ってんの?」

 「いつの間にそんな仲良くなってたの? どうして?」

 「あんたばっかりズルい!」


 何これ、怖い。


 巴はまだ来ていない。

 赤穂(あこう)の姿を見つけて、目で助けを求める。赤穂は激しく首を横に振った。


 まぁ、そりゃそうだ。

 昨日、知らずに地雷踏んだ張本人じゃなぁ……


 教室を見回すと、包囲網に加わっていない女子もいた。


 須磨春花(すまはるか)塩屋(しおや)さん、網干(あぼし)副委員長を含む真面目で大人しい系と、三次に無関心なオタ系と、彼氏アリのリア充達だ。


 他の男子は、とばっちりを恐れてか、目を合わせようともしない。

 俺は腹をくくった。


 「偶然……なんだ」

 「は?」

 「立ち聞き?」

 「うわ、盗み聞きとかサイテー」

 「あんただけ聞くなんてズルい!」


 いやいや。何でそんな発想になるんだよ。どういう超理論だよ?


 「フリマで偶然、巴に会ったんだ。その時に」

 「キャー! 私もフリマ行けばよかったぁ!」

 「その時に、辛い話もできる仲になったの?」

 「ズルいズルい! あんたばっかりズルい!」


 最後までちゃんと聞けよ。人の話。


 俺は強引に説明を続けた。

 「……その時に、巴んちの人に言われたんだよ。引越して来たばかりだから、色々教えてあげて、とか……まぁ、その……アレだから、仲良くしてあげて、とか……」


 「家族公認のお友達じゃん!」

 「えぇーッ!?いいな! いいなー!」

 「私も言われたいー!」

 「いやー! ズルいズルい! あんたばっかりズルい!」

 阿鼻叫喚。


 女子が大騒ぎしている中、西代(にしだい)が登校してきた。

 「はいはい、ちょいとごめんなすってよ」

 わざわざ、女子の囲みをおっさん臭い会釈(えしゃく)で崩しながら、席に着いた。女子を遠巻きにしていた付近の席の男子も、西代班長に(なら)って着席する。


 女子は数人ずつで、チラチラと視線を交わし、何かブツブツ言いながら散って行った。

 巴は予鈴直前に入ってきた。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
【関連が強い話】
野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
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