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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第04章.級友宅

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19.昼ご飯

 「お待たせ。すぐに用意するから」

 眼鏡の叔父さんが台所に入ってきた。

 (ともえ)が黒江さんの言葉を伝える。叔父さんは、テキパキと慣れた手つきで、ご飯の用意を始めた。


 巴が冷蔵庫から出したお茶を注いでくれた。

 かすれる声でお礼を言って、一気飲みする。


 何とか、巴先生に会わせてもらえないだろうか。

 でも、どう頼めばいいんだ?


 ご飯、味噌汁、手造りハンバーグ、サラダ。

 巴家の昼食は、意外に庶民的だった。

 でも、美味かった。

 姉ちゃんが作ってくれる弁当も美味い。


 どうして、誰かが作ってくれた「家のご飯」って、こんなに美味いんだろう。


 俺達は食事をしながら、学校の話をした。と言っても、主に叔父さんが話を振って、俺が答えるだけだ。

 巴は一言二言返すだけで、全く会話が盛り上がらない。


 商都(しょうと)の奴ってもっとこう……漫才みたいに面白い奴ばっかりだと思ってた。

 こんな暗いのも居るんだな。

 もしかすると、それで、前の学校でいじめられてたのか。


 叔父さんによると、叔父さんたち兄弟は、俺らと同じ中学の卒業生で、明石(あかし)先生が巴の父ちゃんの担任だったそうだ。

 何度も転勤して、また第一中学に来て、巴の担任になるって、偶然なんてレベルじゃない。これが運命って奴なのか?


 部活の話、教科担任の去年の様子、同級生の珍回答、体育の授業で見たミラクル、校外学習や文化祭、体育祭……

 部活に入っていなくても、剣道部が全国大会まで行ったとか、合唱部が何かの賞を取ったとか、そういう話はできる。


 ぼっちでも、クラス内で起こった面白い出来事は、その場に居れば知っている。

 なるべく面白いエピソードを語ってみたが、巴の反応は、相変わらず薄かった。

 前の学校では陸上部だったことくらいしか喋らない。余程イヤな所だったのか。


 食事が終わって、叔父さんが片付けを始める。いつもの調子で手伝おうとしたら「座ってていいよ」と断られた。


 そっか。普通、客はそんなことしないんだ。


 席に戻ったものの、話のネタも尽きつつあり、気マズくなってきた。

 まぁこんなんじゃ、友達になれっこないから、それはそれで安心だ。


 オカンがこの家に突撃して、何か壊したら、弁償できる気がしない。最悪、家も内臓も全部売り飛ばしたって、無理だろう。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
【関連が強い話】
野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
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