表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第03章.フリマ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/95

18.使い魔

 台所は広くて立派な厨房だった。

 背広姿の年配の男性が、流しで何かしている。


 「取敢えず座って」

 「う……うん」

 (すす)められるまま、八人掛けダイニングテーブルの真ん中の椅子に腰を降ろした。


 俺ん家の台所にこんな物があったら、身動きとれなくなってしまうが、(ともえ)の家の台所は全然、余裕だ。

 巴は食器棚に向かった。


 男性が、水を止めてこちらを向いた。

 水を入れていたらしい。右手に俺の家と同じ機種の湯沸かしポットを提げて、テーブルの横を通る。


 「おかえりなさい」

 「う……うん。ただいま」

 執事さんっぽい渋い雰囲気の大男は、俺の存在に気付いていないかのように、巴にだけ声を掛けた。

 巴は、ガラスのコップをテーブルに並べながら、ぎこちなく返事をした。


 何だ、巴の奴、執事さんも怖いのか?

 あ……!


 俺は思わず立ち上がった。


 この「人」見ことある……!

 もし、他人の空似じゃないなら、そりゃ怖いわ。


 「あ……あの……もしかして……黒江(くろえ)……さんですか?」

 「そうですが、それが何か? 政晶(まさあき)さん、ご飯と味噌汁はできています。生地は念のために冷凍庫に入れてあります」

 「う……うん、ありがとう」

 黒江さんはそれだけ言って、台所を出て行った。


 「あ……あのさ、巴って、ひょっとして親戚に帝大の先生……居る?」

 「……何で黒江知っとん? 何でおっちゃんの仕事知っとん? ()うたことあるん?」

 巴は驚いて、矢継(やつ)(ばや)に質問を返して来た。

 完全な方言。これが素なんだろう。


 「帝大のサイトで見た。あの黒江さんって、魔道学部の巴先生の使い魔だよな? さっきの叔父さんが巴先生?」

 「(ちゃ)う。も一人のおっちゃん」


 こんな偶然って、ありかよ。


 たまたま、巴が俺のクラスに転校してきて、たまたま、フリマで巴の叔父さんにぶつかって、家に招待されて、使い魔に会った。

 使い魔が居るってことは、つまり、今、まさに、現在、この瞬間、この家に、あの巴先生も居るってことだ。


 本物の魔法使いの先生と、ひとつ屋根の下……


 緊張で口の中がカラカラに乾いた。(てのひら)がじっとり汗ばみ、鼓動が早くなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
【関連が強い話】
野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ