第28話 圧倒的な差
キィィィン!!
聖剣と龍皇剣が何度もぶつかり合う。
火花が舞い、衝撃波が荒野を抉る。
勇者ビーストは息を切らしながらも、必死に剣を振るい続けた。
「はぁぁぁっ!」
鋭い斬撃。
だがアレンは、紙一重でかわす。
まるで相手の動きを最初から知っているかのようだった。
「……!」
ビーストは驚きを隠せない。
(読まれている……!)
戦士も横から飛び込む。
「勇者様!」
二人同時の攻撃。
しかし――
アレンは龍皇剣を一閃した。
ギィンッ!!
二人の武器が同時に弾き飛ばされる。
「ぐっ!」
ビーストは数歩後退した。
戦士は地面へ膝をつく。
魔法使いがすかさず詠唱を始める。
「吹き荒れろ!」
「烈風の嵐!」
巨大な竜巻がアレンを飲み込んだ。
ゴォォォォォ!!
岩が宙を舞い、地面が削られていく。
「今です!」
勇者一行は一斉に攻撃を仕掛ける。
爆煙が辺りを覆った。
静寂。
「……倒したか?」
煙がゆっくり晴れていく。
そこには――
ローブについた砂埃を払うアレンが立っていた。
「……少し汚れた。」
それだけだった。
勇者一行は絶句する。
傷一つない。
息も乱れていない。
アレンは静かに四人を見渡した。
「終わり?」
その一言に、全員が言葉を失う。
戦士は拳を握る。
「化け物……。」
僧侶は震える声で呟く。
「こんなの……勝てるわけが……。」
アレンは小さくため息をついた。
「本当は。」
「君たちと戦いたくなかった。」
ビーストは聖剣を握り直す。
「まだだ。」
「俺は勇者だ。」
「ここで諦めるわけにはいかない。」
アレンは静かに目を閉じる。
「そう。」
「なら……。」
龍皇剣をゆっくり鞘へ納めた。
その行動に四人は困惑する。
「どういうつもりだ?」
ビーストが尋ねる。
アレンは静かに答えた。
「次の一撃で終わらせる。」
その瞬間。
アレンの身体から放たれる瘴気が、今までとは比べ物にならないほど濃くなった。
ゴォォォォォォ……。
空が黒く染まる。
大地が震える。
遠く離れた魔王城でも、その魔力を感じ取っていた。
ガルドが目を見開く。
「……魔王様。」
レイグも静かに呟く。
「本気を出される。」
ノエルは胸の前で手を握り締めた。
「どうか、ご無事で……。」
一方、勇者ビーストはアレンを見据え、小さく笑った。
「ようやく……。」
「本気か。」
アレンはゆっくりと目を開く。
蒼い瞳が黄金色へと変わる。
そして、小さく呟いた。
「終わりにしよう。」
魔王と勇者。
決着の時が、ついに訪れようとしていた。




