第23話 勇者襲来の知らせ
アレンが魔王となってから七年。
季節は幾度となく巡り、七歳だった少年は十五歳になっていた。
だが、その姿は変わらない。
身長は百二十センチほど。
白髪に蒼い瞳。
幼い顔立ち。
誰が見ても七歳の子供だった。
しかし、その力だけは違う。
今や大陸最強とまで噂される魔王。
剣術と魔術を極め、魔族たちから絶対的な信頼を得ていた。
◇◇◇
玉座の間。
アレンは大きすぎる玉座へ座り、退屈そうに杖を眺めていた。
「……暇だ。」
ノエルが苦笑する。
「平和なのは良いことですよ。」
「それもそうだね。」
ガルドとレイグも静かに頷く。
その時だった。
バンッ!!
玉座の間の扉が勢いよく開く。
見張りのリザードマンが息を切らしながら飛び込んできた。
「ま、魔王様!」
「ご報告があります!」
広間の空気が張り詰める。
ガルドが一歩前へ出た。
「落ち着いて話せ。」
リザードマンは深呼吸をし、跪いた。
「人間どもが……!」
「勇者一行が、魔族領へ侵入しました!」
一瞬、広間が静まり返る。
ノエルはアレンを見る。
レイグは静かに剣へ手を添えた。
ガルドの瞳も鋭くなる。
アレンだけは落ち着いていた。
「勇者……。」
その名を静かに呟く。
古龍は以前、こう言っていた。
「いずれ、お前を討つ者が現れる。」
それが、この時なのかもしれない。
ガルドが口を開く。
「魔王様。」
「迎撃の命令を。」
レイグも頷く。
「我らだけで十分です。」
「勇者など、この場へ辿り着くことすらできません。」
ノエルも静かに言う。
「どうか、ご命令を。」
しかしアレンは、しばらく考え込んでいた。
そして、小さく笑う。
「……そうか。」
その笑みは、どこか楽しそうだった。
「ついに来たんだね。」
立ち上がり、龍皇剣へ手を添える。
「よし。」
「本物の魔王ってやつを見せてあげよう。」
黒い瘴気が、ゆっくりと玉座の間へ広がる。
ガルドたちは思わず息を呑んだ。
普段は穏やかな魔王。
だが今、その瞳には王としての威厳が宿っていた。
アレンは静かに笑う。
「……絶望の淵へ落としてやる。」
「ククク……。」
その姿を見た魔族たちは確信する。
この戦いで、人間たちは初めて知ることになる。
本物の魔王とは何かを。




