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第2話 売られた子供

 今から十五年前。


 クレタ大陸第二位の大国。


 その一角を治める子爵家に、一人の男児が誕生した。


 名は――アレン。


 三男として生まれたその子は、両親や兄たちに囲まれ、ごく普通の赤子として育つはずだった。


 しかし、その幸せは長くは続かない。


 アレンが一歳になったある日。


 屋敷を訪れた黒いローブの男たち。


 子爵は周囲を確認すると、静かに口を開いた。


「……約束の子供だ。」


 そう言って差し出されたのは、小さなアレンだった。


 母親は目を伏せたまま、何も言わない。


 泣き声だけが屋敷に響く。


 黒いローブの男は、小さく笑った。


「確かに受け取った。」


 その日。


 アレンは家族の元を去った。


 行き先は――誰も帰ってこない、人間実験施設。

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