第15話 魔王への試練
闘技場の決闘から数日後。
魔王城の広間では、不穏な空気が流れていた。
オーガ将軍を倒したことで、多くの魔族はアレンを認め始めていた。
しかし、すべてではない。
広間の奥には、腕を組んだ数体の上級魔族が立っていた。
悪魔族。
吸血鬼。
魔獣族。
彼らは歴戦の猛者であり、古龍に長年仕えてきた者たちだった。
「オーガ一匹に勝ったくらいで、魔王とは笑わせる。」
「所詮、人間の子供だ。」
「我ら全員を従わせられるか?」
その言葉に、広間は静まり返る。
ノエルはアレンの前へ出た。
「魔王様を侮辱するのは、おやめください。」
悪魔族の男は鼻で笑う。
「堕落した天使は黙っていろ。」
ノエルは悔しそうに唇を噛む。
アレンは静かにノエルの肩へ手を置いた。
「……大丈夫。」
そして、一歩前へ出る。
「君たちは、何が望みなの?」
悪魔族の男は笑みを浮かべた。
「簡単だ。」
「力を見せろ。」
「魔族は口では従わん。」
「強い者だけが王だ。」
古龍は静かに目を閉じる。
「それが魔族の掟だ。」
アレンはしばらく考えた。
施設では、生き残るために戦った。
ここでは、王として認められるために戦う。
逃げても意味はない。
「……分かった。」
アレンはゆっくり剣を抜いた。
「全員、まとめて来て。」
一瞬、広間が静まり返る。
「……何?」
悪魔族の男が耳を疑う。
「一人ずつじゃ時間がかかる。」
「全員で来て。」
その言葉に、魔族たちがどよめく。
「七歳のガキが……!」
「我らを同時に相手すると?」
ガルドは思わず笑みを浮かべる。
「面白い。」
レイグも腕を組む。
「魔王様らしい。」
ノエルだけは心配そうだった。
「魔王様……。」
アレンは振り返り、小さく微笑む。
「大丈夫。」
「負けないから。」
その瞳には、不思議な自信が宿っていた。
古龍は静かに頷く。
「よかろう。」
「三日後。」
「魔王城・大演武場。」
「そこで決着をつけよ。」
こうして、七歳の少年と反対勢力による最後の戦いが決まった。
この戦いが終わった時――
魔王アレンは、本当の意味で魔族の王となる。




