160 SS級の魔物達(4)★
★ ★ ★ ★ ★ (メディ視点)
「レーデルさん、ジェイドとのことはびっくりしました。でも、私から見てもお似合いだと思うんです。おめでとうございます」
「いちおう、ありがとうと言っておくよ。だがな、この婚約は偽装のようなものだ。ジェイドが大人になるまでのエルフの契約である」
レーデルさんはそのつもりでも、ジェイドは結構本気に見えるのよね。大丈夫なのかしら?
「サクラさん、学院の様子はどうなんですか。大騒ぎなんじゃないんですか」
そう言えば、私も一応学生だったわ。どうしよう、学院に行ってもいいのかしら?
「それがね、そうでもないのよ。『レーデルさんなら許せる』『お似合いの美男美女』『応援する』って声が多いの」
以外ね、特にリアスあたりが反対するんじゃないかと思っていたわ。
「メディ、みんなはそれだけジェイドを愛しているんだよ。自分の気持ちよりも相手の気持ちを大切にする。これが『愛』なんだよ」
「うむ、チャルダンよ。おまえは愛とは何かを本能的に理解している。見直したぞ」
あー、カナデとレーデルさんがビオラ様にお説教されたときの議論のテーマね。確かに、チャルダンってそういう所にも気が回るのよね。本当に優秀よ。
「どうやら、いるみたいよ。紅が何かを感じているわ」
何がいるの? 私には見えない。
わたしって、本当に駄目ね。こういう時には足手まといにしかならない。私なんかが10層に行ってもいいのかしら。
「サクラよ、どこにいいるかわかるか」
「だめ、カナデさんやリーウスじゃなきゃ見つけられないと思う」
え、みんな見えていないの。チャルダンはどうなの。
「擬態か認識阻害系の魔法ですね。見事です。私にも見えません」
なんだ、みんな見えていないんだ。ちょっと安心した。
「やっかいだな。昆虫の特殊能力は多種多様だ。特定が難しい」
「私なら見つけられるがどうする」
赤い小鳥が喋っている。かわいい。うー癒やされる。
「ニクスありがとう。でも紅がもう見つけたみたい」
あら、紅の触手が伸びていく。あ、空間が揺らいだ。何かいる。
「擬態ですね」
「ああ、正体が分かった『カメレオン型』だよ」
え、ここには昆虫型しかいないってカナデが説明していたはず。爬虫類型がいたって事ね。
「気をつけろ、超進化した昆虫と渡り合える爬虫類だということだ。かなり強いはずだ」
「ええ、それと、逃げるのも上手なはずです」
「そうだな、でないと生き残れないだろう」
「相手のことを知る。これも『愛』の要素だが、それは戦闘でも同じ事が言える。整理するぞ」
「チャルダン、周りの状況を報告しろ」
「魔木の森です。魔力草は確認できません。大木の間隔は一定ではない。しかし、あいつが移動するには困らない距離です」
「メディ、補足だ」
「魔木の下に黒いキノコのような固まりが見えます」
「珍しいな。よし、メディ、すべて回収しろ」
「はい、銘柄指定します。対象黒い個体、回収」
「次は魔物の特徴。チャルダンからだ」
「はい、カメレオン型は、擬態して姿を消すことができます」
「確か、目がいろいろな方向に動くのよね。それも、左右別々に動くはず」
「うむ、攻撃は舌だ。粘着質な舌先で獲物を捕らえることができる。そしてそのスピードは、魔物最速と言ってもいい」
確かにやっかいな相手ね。どうやって戦えばいいのかしら。チャルダン、任せたわ。
「メディ、目が別々に動くという事は、思考も別々と言うことだ。つまり、並列思考ができる魔物になる。どう戦う」
え、私ですか。う、チャルダン任せは駄目という事ね。レーデルさんも並列思考ができるのかしら? 私の考えは全部お見通しだわ。
「えーと、2つ同時に情報を処理して別々に対応できると言うことですよね。でも、体は普通だから、3つ同時に攻撃すれば1個は当たるんじゃないでしょうか」
う、直感よ! 分からない。
「うむ、正解だ」
え、これでいいの?
「メディ、ドモンは勘で成功した。だが、最後に失敗をした。相談しなかったからだ。おまえも勘が鋭い。1人で抱え込むな、仲間を信じろ」
「はい」
これが言いたかったのね。レーデルさん、ありがとう。
「レーデルさん、議論は終わりです。あいつが動き出しました」
「サクラ、すまないが、ここにいるメンバーは全員が知略派だ。体を使った戦いは不得手である。紅に戦闘をお願いしたい」
「わかった。紅おねがいね」
サクラさんはすごい。迷うということがない。王としての素質に溢れている。
「メディ、おまえの提案を採用する。私、メディ、チャルダンが囮だ。仕留めるのは紅が最適である」
「全員、装着せよ」
「はい、装着」
私はオレンジ色、チャルダンは紺色、レーデルさんは黄褐色。デザインもみんな違う。これがカナデが言っていた個性なのね。
「どんなに速くても舌はひとつしかない。そして、伸びるのは体の3倍が限度だ。体長が約3メートル、つまり10メートルよりも近づいてはいけない」
「わかりました」
「万が一にも捕まったら纏を解除しろ。それで自由になれる。このアーマーも耐久性は信頼できる。予期しない攻撃にも耐えられるから安心しろ」
えーと。瞬間的に発動する結界もあるのよね。完璧すぎて笑えるわ。
「作戦開始だ」
私だって、今ではC級冒険者の実力があるのよ。イグニスさんとイディアさんに鍛えられたんだから。舐めないでね……。 ふー、何回死んだと覚悟したことか。私頑張った。
私が左、チャルダンが右、レーデルさんが真正面。紅はどこにいるのかしら。気配がないわ。きっと、認識阻害ね。
なにあれ、笑える。チャルダン、虫みたい。
え、レーデルさん。それって、箒お化けですよね。あれ、あいつが反応している。きっと、虫に見えるのね。
う、私はどうしよう。さっきのキノコが気になるわ。勘よ。
「神装力イメージキノコ」
うわ、捕まった。速い。そして、伸びるのが3倍所じゃない。
「纏解除 離脱」
あぶなかった。でも、キノコが好物なのね。草食性だとは知らなかったわ。みんな、こいつの餌はキノコよ。
よし、伝わった。キノコが3本逃げ回っているわよ。さあ、どれを狙うの。
ふふふ、目がクルクル別々に動いている。器用ね。
あ、紅が降ってきた。
一瞬だった、紅が触手で体を貫いていた。カメレオン型は霧散した。
勝負ありね。あっけなかった。
魔石の大きさは20センチと言ったところ。サクラさんが回収した。ここでの戦闘は終わりよ。
(全員合流だ。風の森の場所に集まれ)
ねこちゃんの念話ね。みんなにも聞こえたはず。
「みんな、聞こえたわね。行くわよ」
はい、どうやら別働隊の駆除も終わったようね。終わってみれば楽勝だったわ。
「お疲れ様、風の道で移動するわよ」
「紅さんすごかったです。一撃でしたね」
「みんなが囮になってくれたからよ」
「うむ、移動は風の道認識阻害だな」
「レーデルさん、大当たりです」
「ははは、精霊術ですからね。無敵です」
そうよ、加護は精霊術だった。そして、10層にいる精霊結晶が大精霊として復活すれば、みんなが精霊術を使えるようになる。
レーデルさんが記念講演で発表した内容は衝撃的だった。
うう、なんか、緊張してきたわ。チャルダン、任せた。
次話投稿は明日の7時10分になります




