七月八日
七月八日 快晴
今日は村人たちにフィリップとトーマスを見なかったかと訊いて回った。みな口をそろえて見ていない、と言ったが、小さい女の子、多分十二歳ほどの、に訊くと、口では見ていないと言っていたが、その目は泳いでいて、そのおかげで嘘を見破ることが出来た。
すぐに仲間に報告して、今度は「二人がここに来たことは知っているぞ」と言って居場所を聞き出そうとしたが、それでも誰も答えなかった。他の方法で聞き出そうともしたが、それも失敗に終わった。というわけで最終手段に頼ることにした。そう、人質を取るのである。
ロスがそばを通り過ぎた少女を捕まえ、首元にナイフを押しあて叫んだ。「こいつの頭と体が一つにくっついていて欲しいんだったら二人がどこにいるのか教えろ!」、と。十五人ほどの村人が何事かと様子を見に来たが、誰も驚いたり、怯えていたりはしてないようだった。その時、ウィルやルークといった戦いに慣れてる奴らは何かがおかしいと気づいたようだ。なぜ誰も刃物を持った男に対して恐怖を感じていない?捕まっている少女も泣いたり叫んだりしていない。その瞬間、ウィルが剣を持ってロスと村人たちの間に飛び込み、それと同時にルークが少女に向かって矢を放った。矢は少女に当たったように見えたが、そうではなく、少女から生える何かの植物に当たった様だった。ウィルの方は、ロスに向かって伸びる何かの根を剣で弾いた。
ロスはすぐにでも少女を離したいという顔をしたが、そうしてしまうと不利になるのは私たちの方だとよくわかっているから離しはしなかった。さらには少女の首元にナイフで傷を付けた。少女は小さく悲鳴を上げ、それを聞いたロスはもう一度叫んだ。「俺の話が聞こえなかったのか!?こいつが無事でいて欲しければ、二人の居場所を教えろと言ってんだよ!」村人たちは顔を見合わせ、そのうちの一人が「分かった。居場所を言うから、アンジェリンを離してくれ」と言った。
ロスが私を見て、私が頷いたことを確認すると、少女を突き放した。今度は私が少女に近づいた。村人たちは、私が彼女にいったい何をするのかと怯えた顔をしたが、私が鞄から塗り薬を取り出して少女の首筋に付いた傷に塗ると、ほっとしたようだった。女性の肌に傷をつけることは許されないことだ。アンジェリンは私を見、すぐに父親の元へ走っていった。「ありがとう」と言ったように見えたのは気のせいだったのだろうか。
もうかなり遅い時間だったから二人は明日になってから迎えに行くことになった。それにしてもあの植物は何だったのだろうか。みなと話し合う必要がありそうだ。
メモ:村人たちは植物を手足のように扱える、ということになった。今までも超人的な能力を持った人がいる島にも行ったことがあるのだから、植物が扱えるからって、そんなに驚くほどでもないのかもしれない
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