廃工場にて 其の七
「あなた達、こっちの世界で何も考えずにバカスカ戦って。馬鹿じゃないの? こっちの世界に与える影響も考えてやってんの? 修正する方の身にもなってもらえるかしら。
あなたはしばらく眠っていてね」
上から降りてきた神楽と呼ばれた女は禍津日神の額を人差し指で軽く小突いた。すると禍津日神は苦しみだした。
「ぐ、ぐあっ。お、おのれ…
い、いずれだ。いずれ、お前にも復讐してやる…」
禍津日神はそう言うと意識を失い、憑依されていた元の樹に戻った。それを神楽は見届けると今度は裏神に視線を移した。
「あんたは後でこの、樹を連れて私のところに来るように」
神楽がそう言うと丁度そのタイミングで裏神は元の姿に戻った。
「はぁ? 妾は嫌じゃ。第一そっちにこいつを連れていける場所がないじゃろ」
「その点なら心配ないわ。
この街に高台のところにある神社があるでしょ? その神社の裏の林になっているところに場所を作ったから」
「それは完全に領土侵犯じゃろ。職権乱用もいいところじゃな」
「そんなことないわ。私が「ちょっと貸してね」って言ったら、そこの神様は嬉し涙を流しながら「どうぞ、お使いください」って言っていたわ」
「そりゃ、そうじゃ。逆らえるはずがなかろう。
仮に逆らったら、その社の運命がどうなるか分かっているからの」
「そんな人聞きの悪いことを他の神が見ている前で言わないで。
まぁ、とにかく後で来るように」
神楽はそう言うとどこかに消えた。
裏神様は頭を掻きながらため息をついた。そして、那由果の体に戻り、樹と露木を連れて家に戻った。
残された死神たちも自分達の場所へと帰っていった。




