夜が明けて
一夜明けて、スマホで予めセットしていた目覚ましアラームで目が覚めた。時刻は午前七時十分。少し早い気もするが、久々の学校ということもあり、樹はベッドから起き上がることにした。
しかし、昨晩の事はまるで夢みたいな出来事だったと思う。いや、実際に夢だったのかもしれない。体に痛みは無かったわけだし。まぁ、頬をつねって確かめたわけじゃないけれど。
まぁ、夢でなければ空を飛べるなど、青色の猫型ロボットが机の引き出しから出てこなければ有り得ない話だろう。
「何を朝から呆けたことを言っておるのじゃ」
不意に後ろから声がしたので樹は振り返った。そこに居たのは半透明の裏神様だった。
「お、おはようございます」
樹が挨拶をしても裏神様の呆れ顔は変わることはなかった。
「あ、あの、今日はなんでそんなに透けているのですか?」
「これか? これはな、力の使い過ぎを防止する為じゃ。
妾はまだ安定しない存在じゃから、あまり力を使い過ぎると存在そのものが危うくなるから仕事以外は力をセーブしておかないと、いざという時に困るからのう」
神様なのに安定しないとは、それは果たして神様と呼べるのだろうか?
「おい、お前は妾の従僕だということを忘れるなよ。
お前の魂は妾の物なのじゃぞ。お前が口に出さなくとも考えていることは妾にも全て伝わるのじゃぞ」
ということらしい。まぁ、従僕じゃなくとも神様なのだから心の中を読むなど、簡単なことなのだろう。
裏神様はどこから取り出しのか分からないが、いつの間にか手には煙管が握られていて、その煙管を一つ吸い込み煙を吐き出すと、こちらを見てニコリと微笑んだ。
すると、丁度そのタイミングで樹の部屋の扉が勢いよく開け放たれた。樹は後ろを振り返ると、そこに立っていたのは双子だった。
「お、おはよう。どうした?」
「どうしたもこうしたもないよ! 朝起こしにくるのは由果の仕事だったでしょ?」
「そうだったっけ?」
俺はそう言いながら考える素振りを見せて、裏神様がいる方に目をやった。裏神様は我関せずという表情で煙管を吹かしている。
そう言えば、裏神様は他の人に見えるのだろうか?
「見えんよ。他の人間には姿、形は見えないし声を聞きとることも出来ん」
裏神様はわざわざ樹の疑問に答えてくれた。
「まぁ、見る事の出来る人間もおる。その人間はお前と同様に神に魂を差し出した人間が主じゃな」
「へぇ、そうなんですね」
樹がそう言うと那由果が反応した。
「うぇ、朝から何独り言をブツブツと言っているのさ。気持ちわるっ。
お母さんが朝ごはん出来ているから早く降りてきてってさー」
那由果はそう言うと樹の部屋を後にした。那由果の姿が見えなくなると裏神様は「だから、さっき言っただろうが」と言いながらケラケラと笑った。
樹は深いため息をついて自分の部屋を後にした。




