3 榊原家では
榊原家・・・
それは、日本有数の財閥の主家である。
現在、榊原財閥の総帥をしている。
「お前が帰って来ても、家に居場所なぞないわ!
榊原家に、事実上の相続人はおらん!」
当主・榊原幸則は、顔を出した長男・光希に、怒鳴り付けた。
「元来、ワシは早恵とお前を許嫁にする気だった。
ちょうどいいので、お前に次期当主の修行の締めとして、海外留学をし、帰国の暁に、結婚を命じようとしたのじゃ!早合点してからに!」
「それが章と、どういう関係が!」
「あやつは、愚直なまでにお前たちを慕っておったわ!
あやつの夢は、「次期当主補佐」じゃ!
それしか考えておらんかったのよ!
もっとも、あやつが自殺しようが生きていようが、同じだが…」
光希の表情が、変わった。
「だったら、あの時点で章に・・・!」
しかし、幸則は、首を左右にふる。
「あの年で、相続権をまるごと、放棄しおったわ!
この家を潰したのは、お前らよ!」
光希には、ここにきた理由があった。
「子供がいるんだ・・・!
手術費がいる!」
光希は、食い下がった。
幸則は、小切手帳を取り出す。
「好きな金額を書け!」
光希は、必要ギリギリの金額を書き込んだ。
「フン!」
幸則は、小切手帳をひったくり、上から更に書き込む。
「えっ!?」
光希は驚く。
自分の書き込んだ金額の十倍・・・
「釣りはいらん!
残りは貯金なり、事業の立ち上げに使うなりしろ。
だが、それだけだ!」
光希は、頭を深々と下げた。
「どうせ、ワシの死んだ後、会社の権限は現社長を会長に昇格し、譲渡。
資産は売却の上、慈善団体に寄付という手はずになっている。
これが、認めてやろうとした親を裏切った報いよ!」




