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ジャガイモとサツマイモとキャッサバ

 さて、食糧事情の改善のために私はいろいろな農作物の種を入手して、栽培を試みている。


 しかし、日本では有名なアメリカ原産の農作物にはまだ手を付けていない。


 それはジャガイモとサツマイモとキャッサバなのだけど手を付けていないのには理由がある。


 まず、サツマイモとキャッサバについてはこの地域では気候が冷涼過ぎるのが理由。


 タピオカの原料になるキャッサバは中央アフリカのコンゴ川流域では早く栽培地域が広がり、後に東南アジアでも活発に栽培されるようになるが明らかに熱帯地域でない場所では育てるのは難しい。


 キャッサバの栽培はきわめて簡単で、切った茎を地中に挿すだけで発根し、そのまま生育するうえに、熱帯のサバナ気候 の悪環境下でもそだつのうえに、 作付面積あたりのカロリー生産量はあらゆる芋類・穀類より多く、デンプン質の生産効率は高いと一見いい事ずくめに見える。


 しかしキャッサバには毒があるので食用とするためには毒抜き処理が必要であり、また毒抜きのために皮や芯を除去した芋はその場で加工しなければ腐ってしまう。


 ちちなみにアフリカや東南アジアの芋であるヤムイモやタロイモも同様に毒のあるものが結構多い。


 サツマイモはキャッサバほどではないがやはり温暖な気候でないと栽培は難しい。


 サツマイモの恩恵を一番受けたのは中国の清で石灰でアルカリ処理したトウモロコシとサツマイモが伝わった結果、1億人だった人口が3億人まで増えることができた。


 では最後のジャガイモはどうかというと、オーストリア公国ではトウモロコシのほうが収穫倍率の関係でずっと恩恵が大きいのですよね。


 実際にイタリアからバルカン半島辺りまではジャガイモではなく、トウモロコシのほうが多く栽培されています。


 とはいえ、ジャガイモは16世紀にはスペインでも栽培されていたりするのですが。


 これは、スペインは実際に中南米を侵略しており、トウモロコシが栽培できない場所では、ジャガイモが大事な主食であることを知っていたかららしい。


 なので私がわざわざ栽培を広めようとしなくても、ネーデルランドやスペインではジャガイモは栽培されると思うんですよね。


 しかし、フランスより東ではなかなか栽培は進まないでしょう。


 その理由は色々あるのですがまず、フランスではジャガイモを食べるとハンセン病になると信じられているからですね。


 この頃のジャガイモは原生種に近いために灰汁が強く、湿疹を発症するものが絶えなかったうえに、外見も現在のような茶色ではなく黒や紫のような毒々い色のものもあって、芽の出る部分は深くくぼんでゴツゴツしているうえに丸くなくいびつな形をしていることも、ジャガイモとハンセン病に関わる偏見を助長しました。


 あとは単純に芋を栽培するという文化がなかったというのもありますね。


 レヴァント地域で栽培が開始された小麦、大麦、そら豆、えんどう豆、ひよこ豆、レンズ豆などはそれが栽培されて地域からイモ類を駆逐してしまったのです。


 なので、ヨーロッパだけでなく北アフリカやメソポタミアの主な農作物には、イモ類は含まれていませんし、インドでも食べられていませんでした。


 これは土を深く耕して種芋を植え、育ったところでまた掘り返し、収穫するときに折れたりしないように注意を払わないといけないという芋の特性によるもののようです。


 更にキリスト教においては地中で育つ根菜は貧しいものが食べ、貴族階級が食べるべきではない汚れた悪魔の植物とも考えられていたというのもあるかもしれません。


 そしてジャガイモは収穫倍率では10倍程度しかないのでトウモロコシに比べると圧倒的に劣るんですよね。


 しかし、ドイツでは、17世紀のた三十年戦争の時期にジャガイモ栽培が少しずつひろがった。


 小麦やライ麦は畑を踏み荒らされたり刈り取られる事が多かったが、ジャガイモは畑を踏み荒らされても収穫できたし、刈り取りということもできず、畑を貯蔵庫がわりにして必要なときに収穫することもできた。


 そして18世紀のプロイセンのフリードリヒ大王はジャガイモ栽培を農民に強制し、ジャガイモ栽培の長所を領主や農民に理解させるために、栽培方法を記した小冊子の配布もおこない、各地に軍隊を派遣して栽培状況を監視させ、ジャガイモ畑をあえて兵士に守らせたうえで、成長したじゃがいもは、王宮の食事に使われるという噂を広めつつ、警備兵には、地元の農民がジャガイモを盗むことができるよう、警備中に寝ているふりをするようにしてわざわざ農民の口に入るようにした。


 さらにジャガイモを栽培しないものに対しては耳や鼻をそぎ落とすぞ、などと脅かしながらもジャガイモの栽培を普及させることになんとか成功している。


 地中で育つジャガイモは悪魔の食べ物という風聞には、じゃあ地中に埋まってるトリュフはどうなんだとか言ったとかいないとか。


 まあそこまでしたことでやっとプロイセンに広まったジャガイモだが、その後にフランスで広まりナポレオン戦争が起こった結果ヨーロッパ全土に広がったのでしたっけ?


 日本でジャガイモの功績がやたらと喧伝されるのは、明治政府が北海道の開拓を進める際にコメが育たない北海道で栽培できるジャガイモを主食にするため、なんとしても普及させたかったからでしょう。

というわけで今回はジャガイモとサツマイモとキャッサバのお話ですね。


とはいえ、トウモロコシなどに比べ、ジャガイモは現状ではメリットが少ないので手は出さないのですけどね。

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