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氷菓(ジェラート)とバニラ

 さて、私は女料理長へ指示をしてトルコ小麦とうもろこし、タバコ、唐辛子、トマト、パプリカ、ボチャ、ピーナッツ、ひまわりなどの種を無事入手できました。


 そしてヨハン様を通じてカール様などに許可をいただき、宮殿の庭園の一角で栽培しています。


 牛に引かせたプラウで耕起したあとで、種を撒き、肥料として家畜の糞を藁と混ぜて発酵させてつくる厩肥や骨粉を巻けば、とりあえずは育つでしょう。


 そして調理器具とし珪藻土のようなて耐火粘土を用いたの粘土(テラコッタ)焼き板(コマル)やタンドリー窯にタンドリー窯と焼き網を合わせた七輪も色々試行錯誤してもらって作れました。


 これで煮るや茹でる以外の調理もできる調理器具が比較的安価に入手できるようになると思います。


 今栽培しているものが収穫できたら色々と試したいものですね。


 そして暑くなってきたこともあり食後のデザート(ナーハティシュ)氷菓ゲフリーレンナーハティシュがでる日が出てきました。


「これはシャーベット(ゾルベット)ですか。

 暑くなってきたので助かりますが、どうやって作っているのでしょう?」


 私は女料理人のローザリンデさんにきいてみました。


「ああ、冬の間に雪を雪室にためておいたり、アルプスの山から運んできたりして確保した雪を使うのです。

 雪を敷き詰めたところへ、フルーツの果汁を入れた鉄製のボウルを乗せ、周りの雪に塩を振るとボウルの中の果実水が凍るのです」


「ああ、なるほど」


 氷に塩をかけると、固体の氷が融けて液体の水になる、固体の塩が液体の水に溶けます。


 塩が溶けるための溶解熱を氷からうばうので、溶けた水は温度が下がるが塩水の凝固点は氷点降下により0℃よりも低くなってマイナスの温度の水が出来上がる。


 塩の量を増やして氷と塩の割合を3:1くらいにすると、マイナス十数℃という冷凍庫の中のような低い温度をつくり出すことができるが、それ以上は塩が溶けない「飽和食塩水」は-21.3℃まで下がるのでかなりの低温を作り出せるわけですね。


 だからそれを利用すれば塩水で氷菓を作ることができるわけです。


 同じようなことは道路の雪を溶かす融雪剤にも使われているので、融雪剤の使いすぎは周囲に塩害をもたらしたりしますね。


 雪を冷やしたものを暑い季節に食べるということの最古の記録は、なんと旧約聖書にあり、羊の乳と蜜を、長老たちは氷雪で冷やし、今で言うミルクシャーベットあるいはフラッペのようなものとして飲んでいたらしいです。


 また紀元前13世紀のメソポタミア文明では、首都マリの地下に巨大な雪倉庫を造り、雪に果物や発酵乳を加えたものを麦藁ストローですすっていたともいわれていますね。


 そして紀元前ギリシャ、ギリシャのアレキサンダー大王やローマの英雄ジュリアス・シーザー、ローマ帝国の暴君として名高い皇帝ネロは、奴隷たちに山から氷雪を運ばせ、果汁に糖蜜を加えた冷たい飲み物を皇帝や貴族は、この甘くて冷たい飲み物をとても気に入り、楽しんだと言われている。


 こういった文化はヨーロッパに於いては西ローマ帝国の崩壊で一度失われたが、アラブでは残り、9世紀にシチリアを征服したアラブ人がシャーベット(シャルバート)を持ち込み、やエトナ火山には真夏でもたっぷりの雪があり、海塩も簡単に作れ、砂糖や果物などの材料も豊富なシチリアが喋っとの生産地となったのですね。


 まあ食べられるのは王族や貴族くらいだったようですが。


 そして建築家であり美食家としても知られるベルナルド・ブオンタレンティはイタリアのメディチ家のために、クリームに砂糖を加えて作ったジェラートがの道筋を作ったと言われており、これがシャーベットからジェラート,いわゆるアイスクリームへの転換となったようです。


 これはフィレンツェが発祥なため、ジェラートの父であるベルナルド・ブオンタレンティに由来して、現在もジェラート店では“ジェラート・ブォンタレンティ”あるいは“クレーマ・フィオレンティーナ”と呼ばれ、卵、砂糖、牛乳、生クリームといった材料でシンプルに作れるはずですね。


 ちなみにグラッタケッカと呼ばれるものは氷の塊を削り、シロップを加えたものであり日本のかき氷に似ていたりします。


 そしてアイスクリームやプリンなどの洋菓子には欠かせない、バニラビーンズの原料である植物のバニラもアメリカタイリク原産ですが現状ではココアのフレーバーとして使われているくらいですね。


 バニラは、中央アメリカから東南アジア、西アフリカなど、低緯度地域の高温多湿な場所に植生するラン科バニラ属のつる植物で、バニラの仲間は世界中に何百種類も存在するが、野生でバニラ特有の香りを持つ種は中央アメリカに原生するものだけ。


 なおかつ、この中央アメリカ原産のバニラは様々な理由で栽培が非常に難しい。


 そういった事もあって現状では飲み物の香り付けにほそぼそと使われるだけだが、17世紀初めに英女王エリザベス1世の薬剤師であるヒュー・モルガンが、バニラ風味のバタークリームを使ったデザートを考案し、バニラスイーツ専門店のヒュー・モルガンが出現。


 さらには18世紀に、フランスでアイスクリームの香味料としてバニラが使われるようになったことでバニラアイスというカテゴリーが現れたのですね。


 まあ現代のバニラアイスは人工的に作られた香料を使っているので安く食べられますけどね。


 といろいろ考えてはみましたが、氷菓やバニラを使ったデザートでは、食糧事情を改善する事はできないでしょうし当面はスルーですね。


 同様にチューインガムもアメリカ原産でサポディラと呼ばれる木の樹液の元だったりしますし、輪ゴムなどに使われるゴムの樹も南米原産ですが同様に現状ではスルーですね。



 ゴムには加硫が必要不可欠です。


 ゴムは未加硫のままでは弾性がなく、加硫することで弾性が生まれますが、現状の技術レベルでは難しいですしね。

というわけで今回は氷菓とバニラ、おまけにチューインガムですが、この時点で食糧事情の改善に寄与しないのでスルーですね。


ただバニラはデザートのフレーバーとして大きな影響を与えたのも事実だと思います。

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