表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

ナイアシンとピーナッツとひまわり

 さて、私に使える女性を紹介されてから一週間程経ちました。


その間に私は女家庭教師(グヴェルナンテ)のマリアさんや女相談役(フェアトレーター)のイサベルさんから、みっちり教養や芸術、社交の礼儀作法を叩き込まれていました。


 ちなみにこの世界に飛ばされたときにどのような言語でも読み書きができるようになっていたようで、ドイツ語やラテン語、ギリシア語のみならず、ヘブライ語やアラム語といった聖書関連に使われている文字も普通に読めますし、ヨーロッパ各国からホープスブルグ宮殿に来ている大使と会話で普通に意思疎通ができました。


 あと、大学までに教わる数学や世界史レベルの地理などでも十分というかむしろ過剰な知識だったようで驚かれていましたね。


 ちなみにオットマン帝国の東にはサファヴィー教国、さらに東にはムガールバーラト(インド)、ムイーンスィーン(中国)などの大きな帝国があり、バーラトの北はタルタロス人、いわゆる遊牧民族が住んでいると大雑把には説明されました。


 ヨーロッパ諸国については16世紀の国々とほぼ同じみたいですね。


 この頃、もう少しあとかな? のイングランドの王妃にはアン・ブリンがいるはずで、それが原因でイングランドはカトリックではなくなるはず。


 とはいえ、芸術系の楽器演奏や絵画、刺繍、礼儀作法などは全然なので今は必死に覚えているところですが。


 この時代はまだ宮廷作法は発達していない上に、オーストリアという国自体が宮廷での大掛かりなイベントを行うことが少ないので覚えることが比較的少ないのは助かります。


 ビクトリア朝時代のイギリスとか絶対王政時のフランスのような国だったら、もっともっと大変だったでしょう。


 でも女料理人のローザリンデさんに相談したことで、トウモロコシを調理するための粘土製調理器具の制作をこの宮廷で調理器具を作っている職人さんが試してくれているようです。


 うまく行けばオーブンでグラタンを焼くための耐熱皿のようなものも作れるかもしれません。


 それからとうもろこしのナイアシン不足を補うための食材として、肉や魚、卵や乳製品が最初に思い浮かんだのですが、ナイアシンは植物の中ではピーナッツとヒマワリの種にも多く含まれていることを思い出しました。


 ピーナッツとヒマワリもアメリカ大陸原産で、ヒマワリの種は日本では食材としては馴染みが薄いけどもアメリカなどではよく食べられるものだったはす。


 ヨーロッパではヘーゼルナッツ、カシューナッツ、アーモンドとクルミやピスタチオ、松の実(ナッツ・パイン)といったナッツ類は古くから食べられているのですが、これらは樹の実なので、栽培から結実まで3年から5年かかり採取できる量も多くはないのですね。


 しかし豆であるピーナッツやキク科の一年草であるヒマワリは数ヶ月で種が実り、その量も多いというメリットがあります。


 なのでピーナッツやヒマワリも世界レベルで見れば大きな影響を与えた食材だったりします。


 更にピーナッツはマメなので根粒菌と呼ばれるバクテリアの一種と共生することで、空気中の窒素をアンモニアに変え、植物の生育に欠かせない窒素を固定でき、他の作物が栽培できないような場所でも栽培が可能なうえに栄養も豊富。


 で、落花生の栽培に適しているのは火山灰地でもあることで、関東ローム層ある千葉の丘陵地帯は落花生の栽培にとても適しているため千葉の名産品になっていたが、乾燥にも強い。


 ただ暖かい場所でないと発芽しにくかったりはしますけどね。


 なので西アフリカや東南アジアのインドネシア、中国南部や南アメリカなどでは主食として食べられていたりもするのです。


 似たようなことはヒマワリにも言え、中国やアメリカ、ロシアではよく食べられていたりします。


 さらにピーナッツはアミノ酸スコア的に麦やとうもろこしと相性が良く、コメと大豆のようにうまく組み合わせて食べるとタンパク質を補充することもできる。


 ただヨーロッパの場合は地質や気候的にピーナッツの栽培にはあまり適していないので、栽培はあんまり広まらなかったはずですね。


 しかしながら、ウィーンに近いスロバキアのレヴィツェの街は元々4,000mの高さの火山で、それが噴火を繰り返し、大きなカルデラの中にできた街でウィーン周辺にもその影響はあったりする。


 まあだからこそ、ハプスブルグ帝国は農業でフランスなどに遅れを取っていたりするんですけどね。


 私は女料理人のローザリンデさんにきいてみました。


「あー、ピーナッツ(エーアトヌス)ヒマワリ(ゾンネンブルーメ )ってこのあたりでも手に入るでしょうか?」


「以前同じようなことを聞かれましたが、私は庭師(ゲルトナー)ではないので詳しくございません」


「なるほど、では庭師(ゲルトナー)経由で手に入るか、調達係へお伝え願いますか?」


「かしこまりました」


 ちなみにカシューナッツ・ピーカンナッツ・ブラジルナッツなどもアメリカ大陸が原産ですね。


 マカダミアナッツは比較的メジャーな食材としては珍しいことに、原産地はオーストラリア大陸だったりしますが。


  ピーナッツが栽培できて、すり鉢でペースト状にすりつぶしてピーナッツバターが作れれば、それをポレンタに入れたり、パンに塗ったりすれば手軽に栄養補給ができるようになるでしょう。


 アーモンドもそうですが、ピーナッツは完全栄養食の一つですからね

はい、今回はピーナッツとヒマワリの種を取り上げてみました。


栽培期間が短く多量に収穫できるナッツ的な食材というものの与えた影響はじつは小さくなかったりするんですよね。


この話で入れてませんがパンプキンシードも同様だったりします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ