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農業大学生、異世界で皇帝に呼ばれる――「迷い鳥」は国を変える  作者: 水源


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皇帝陛下との謁見

 それから数日後、私はフェルディナント大公、マルク伯、ガッティナーラとともに、皇帝陛下への謁見を許されていた。


 案内された部屋へ入ると、奥には皇帝陛下が座っている。私は緊張を隠すように小さく息を吐き、背筋を伸ばしてから、三人に続いて深く一礼した。


 これまでフェルディナント大公やマルク伯、ガッティナーラには何度も自分の考えを話してきたが、皇帝陛下本人に直接説明するとなると、やはり勝手が違う。


 しかも、これから話すのは単なる保存食の話ではない。海上輸送、港湾整備、海軍、ロードス、エジプト、サファヴィー朝、そして四年後に起こるかもしれないハンガリー王の戦死と、その三年後に起こるかもしれない帝都包囲まで含まれている。


 改めて考えてみると、随分と大きな話になったものだ。


「よい。楽にせよ」


 皇帝陛下は、こちらの緊張を見抜いたように口元をわずかに緩め、右手を軽く上げて姿勢を和らげるよう促した。


「本日は、ガッティナーラから随分と興味深い話を聞かされている。どうやら、保存食についての話が、かなり大きな話にまで発展したようだな」


 その言葉に、ガッティナーラは少し困ったように眉を下げながらも、どこか面白がっているような笑みを浮かべた。


「はい。私も最初は、ここまで広がるとは思っておりませんでした」


 そう答えながら、ガッティナーラが私へちらりと視線を向ける。


「マルク伯も同じ顔をしているが?」


 皇帝陛下が面白そうに眉を上げてマルク伯へ視線を移すと、マルク伯は一瞬だけ目を逸らし、それから諦めたように肩をすくめた。


「否定はいたしません。正直なところ、話を聞けば聞くほど仕事が増えておりますので」


 疲れたように額へ指を当てるマルク伯を見て、フェルディナント大公が小さく笑みをこぼした。


「なるほど」


 皇帝陛下も一度は楽しそうに笑ったものの、すぐに表情を引き締めると、私へまっすぐ視線を向けた。


「では、聞こう。迷い鳥、お前が何を考えているのか、最初から順に話してみよ」


「はい」


 私は一礼し、緊張で固くなっていた指先をそっと組み直してから、ゆっくりと口を開いた。


「最初に考えていたのは、保存食についてです」


 そう前置きして、私は食料備蓄の必要性について説明した。


 軍隊だけではなく、都市や農村に暮らす民衆のためにも、穀物や豆、肉、魚などを長期保存できる仕組みを整えること。さらに、単純に大量の食料を一か所へ集めるのではなく、複数の場所へ分散して保管し、戦争や凶作、輸送路の寸断が起きた場合でも、すべての備蓄が一度に失われないようにすること。


 皇帝陛下は口を挟まず、ときおり小さく頷きながら私の話を聞いていた。その横ではフェルディナント大公も資料へ目を落とし、必要な点を確認するように指先で紙面をなぞっている。


 続いて私は、海上輸送の話へ移った。


「食料を蓄えるだけでは不十分です。必要な場所へ物資を運べなければ、備蓄は役に立ちません」


 私はそう言いながら、机の上へ広げられた地図の港を指先で順に示した。


「それで港か」


 皇帝陛下は私の指先を追うように地図へ視線を落とし、確認するように顎をわずかに上げた。


「はい」


 私は頷いてから、再び皇帝陛下へ視線を戻した。


「港を整備し、船を増やし、平時から物資を運ぶ仕組みを作っておけば、戦争になったときにも使えます。それに、軍事だけではなく商業にも役立ちます」


「海軍についても話していたな」


 皇帝陛下は興味を覚えたように目を細め、少し身体を前へ傾けた。


「はい」


 私はその反応を見て、わずかに背筋を正す。


「海上輸送を安定させるなら、輸送船を守るための船も必要になります。海賊への対策にもなりますし、戦時には兵士や物資を運ぶ能力そのものが軍事力になります」


 皇帝陛下は海域へ視線を移し、しばらく考えるように黙り込んだ。


「なるほど。備蓄だけではなく、それを動かす仕組みまで考えているわけか」


 そう言うと、皇帝陛下はゆっくりと顔を上げ、私を確かめるような目で見つめた。


「そうです」


 私は頷き、それから少し間を置いた。


「ただ、備蓄そのものを増やすだけではなく、そもそもの食料の種類を増やすことも考えています」


「種類を?」


 皇帝陛下がわずかに眉を上げた。


「はい」


 私は頷き、少しだけ身を乗り出した。


「新大陸から伝わってきた作物です」


「新大陸の作物、か」


 皇帝陛下はその言葉を反芻するように呟きながら、興味深そうに私を見る。


「具体的には?」


「ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、トマト、それに唐辛子などです」


 私が名前を並べると、フェルディナント大公が少し驚いたように目を見開いた。


「それらを、帝国内へ広めるつもりなのですか?」


「はい」


 私は大公へ視線を向けながら頷いた。


「まだ一般的な作物として扱える段階ではありませんから、いきなり全土で作れと言うつもりはありません。まずは試験的に栽培して、どの土地で育ちやすいのか、どれくらいの収量が得られるのかを確かめます。ただ、小麦を育てにくい地域では、イモやトウモロコシは救済作物として使えると思います」


 皇帝陛下は腕を組み、私の話に耳を傾けている。


「そして、うまく育つと分かれば、少しずつ栽培する農家を増やしていくんです」


 私は地図の農地へ目を移した。


「食べ方も一緒に広めます。作物だけ渡しても、どう食べればいいのか分からなければ普及しませんから」


「……つまり、新しい食料源を作るわけだな」


 皇帝陛下が静かに言う。


「はい」


 私は頷いた。


「特にジャガイモやサツマイモのような、穀物とは違う場所で育てられる作物が増えれば、凶作や病害が起きたときの備えにもなります。トウモロコシも食料だけでなく家畜の飼料にできますし、唐辛子やトマトも、食生活を豊かにするだけではなく、保存食や調味にも使えます」


 皇帝陛下は少し考えるように目を伏せた。


「一つの作物に依存しすぎない、ということか」


「その通りです」


 私はほっとしたように笑った。


「保存食を増やすだけでなく、そもそも収穫できる食料そのものを増やしておけば、長い目で見れば帝国全体の食料事情も安定しやすくなると思います」


 マルク伯が地図を見下ろしながら、少し感心したように眉を上げた。


「なるほど……戦争のためだけではなく、平時の食料問題にも効いてくるわけですな」


「はい」


 私はマルク伯へ頷いた。


「だから、こちらも未来が変わっても無駄になりません」


 その言葉を聞いて、皇帝陛下がゆっくりと顔を上げた。


「先ほどから、お前は何度もそれを言うな」


「え?」


 皇帝陛下がわずかに笑う。


「未来が変わっても無駄にならない、と」


 私は少し照れくさくなりながら頷いた。


「はい。そのほうが、今の人たちにも利益がありますし」


 皇帝陛下はしばらく私を見つめたあと、机の上の地図へ視線を落とした。


「待て。少し整理しよう」


 そう言って、皇帝陛下は指先で地図上のいくつかの地点を順に示した。


「お前が考えているのは、戦争が起きることを前提に軍備を増やすことではないのだな。食料を蓄え、新しい作物を増やし、それを必要な場所へ運べるようにする。そして、そのための港や船も整える」


「はい」


 私は皇帝陛下の言葉を聞きながら、しっかりと頷いた。


「その上で、もしオットマン帝国が西へ進んでくるなら、その備えを戦時にも利用する。そういうことか?」


「はい、その通りです」


 皇帝陛下は小さく頷いた。


「ならば、筋は通っている」


 その言葉に、私の胸の奥に少しだけあった緊張が和らいだ。


 しかし、皇帝陛下はすぐに地図の東側へ視線を移した。


「それで、ここから東方の話へつながるのだな?」


「はい」


 私は再び地図へ目を落とした。


「ロードス、エジプト、サファヴィー朝です」


 その三つの名を聞いた途端、皇帝陛下の表情が引き締まった。


「オットマン帝国を意識しているのだな?」


 皇帝陛下は低い声で尋ねながら、地図の東側へ指先を置く。


「はい」


 私はすぐに頷いた。


「私が知っている限りでは、オットマン帝国はこれからさらに西へ進んできます」


 その瞬間、部屋の空気が先ほどまでとは明らかに違うものになった。


 皇帝陛下は笑みを消し、フェルディナント大公も静かに表情を引き締める。ガッティナーラは以前に聞いた話を改めて確認するように、私の顔へ視線を向けた。


 マルク伯だけは、すでに聞かされている内容を思い返すように目を伏せ、それから皇帝陛下へ視線を向けた。


「そして、四年後くらいに、ハンガリー王がオットマン帝国との戦いで戦死することになります」


 皇帝陛下の眉が大きく動いた。


「四年後に……ハンガリー王が戦死する、と?」


「はい」


 私は頷いた。


 隣ではマルク伯が静かに息を吐き、以前から知っている話であることを示すように目を伏せている。その表情には驚きよりも、この話をついに皇帝陛下へ直接伝えるのか、という重い緊張が浮かんでいた。


 私はその空気を感じながら、さらに続けた。


「その三年後、つまり今から七年後くらいには、オットマン帝国の大軍によって帝都が包囲されることになります」


 皇帝陛下の指が、肘掛けの上でぴたりと止まった。


「……帝都が?」


 先ほどよりも低い声で、皇帝陛下が聞き返す。


「はい」


 私は頷いたものの、そのままでは誤解されると思い、すぐに言葉を続けた。


「ただし、必ずそうなるとは言えません」


 皇帝陛下の眉がわずかに上がる。


「ほう?」


「私が知っている歴史では、そうなっています。しかし、私がこちらへ来てから、すでにいくつもの出来事が変わっています。私自身が関わったことで変わったこともありますし、私の知らないところでも変化しているかもしれません。ですから、四年後のハンガリー王の戦死も、七年後の帝都包囲も、絶対に起こる未来だとは考えていません」


 皇帝陛下は答えを急がず、しばらく私を見つめた。


 やがて低い声で問いかける。


「それでも、私に知らせる必要があると思ったのか?」


「はい」


 私は迷わず頷いた。


「起きる可能性があるのなら、何も知らないよりは、知っていたほうがいいと思います」


 私は胸元へそっと手を添えながら、言葉を選んだ。


「もし本当にその未来へ近づいているのなら、今から備えを始めることで被害を減らせるかもしれません。それに、未来が変わったとしても、準備そのものが無駄になるとは限りません」


 皇帝陛下はその言葉を聞きながら、少しだけ目を細めた。


「つまり、お前は未来を変えたいのか?」


「未来そのものを変えたい、というより……」


 私は少し考え、それから皇帝陛下をまっすぐ見返した。


「どんな未来になっても困らないように、今からできることを増やしたいんです」


 皇帝陛下の険しかった表情が、ほんの少しだけ和らいだ。


「なるほどな」


 皇帝陛下はそう呟くと、地図の上を見渡した。


「お前の話をまとめるなら、帝都だけを守るのではなく、そこへ至るまでの段階から備えるということか」


「はい」


 私は地図上のハンガリーから帝都へ指を動かした。


「その途中にある町や村も被害を受けます。食料や家畜を失う人も出ますし、戦火を逃れて移動する人も増えるでしょう。だから、帝都の防衛だけではなく、その周辺や帝国各地の食料備蓄、輸送能力、避難した人々を受け入れるための仕組みまで考えておく必要があります」


 皇帝陛下は地図へ視線を落とし、指先で帝都の位置を軽く叩きながら、しばらく考え込んだ。


「……随分と大きな話になったものだな」


 その言葉に、マルク伯が苦笑しながら肩をすくめる。


「私も同じことを思いました」


「これ以上仕事が増えると思うと、今から頭が痛くなりますな」


 マルク伯が眉間を押さえながらそうぼやくと、ガッティナーラが口元を緩める。


「ですが、ここまで話を聞いてしまえば、調べないわけにもいきません」


「それは分かっております」


 マルク伯は苦笑しながらも、今度はしっかりと皇帝陛下へ顔を向けた。


「一軍を預かる者として、起こる可能性がある脅威を無視するわけにはいきませんからな」


 その言葉を聞いた皇帝陛下は、静かに頷いた。


「その通りだ」


 そしてフェルディナント大公も、落ち着いた口調で続ける。


「私も同じ考えです。大規模な軍備をただちに始めるという話ではありません。食料、輸送、港湾、農業、新しい作物、東方情勢の調査など、平時にも役立つものから整えていけばよいかと」


 大公はそう言いながら、机の上へ置かれた資料の一つを軽く持ち上げた。


「特に新大陸の作物については、試験栽培を続けて、栽培に適した地域や収量を確認しておく価値があります。うまくいけば、食料の選択肢そのものを増やせますから」


 皇帝陛下はその説明を聞き、しばらく考えていたが、やがてゆっくりと頷いた。


「それも進めよ」


「はい」


 私が頷くと、皇帝陛下は少しだけ私を見つめる。


「珍しい作物だからといって、宮廷の食卓だけに並べて終わらせるな」


「はい?」


 思わず聞き返した私に、皇帝陛下は穏やかな表情で続けた。


「本当に帝国の食料を支える可能性があるのなら、農民が育て、民が食べられる形にしてこそ意味がある。試験栽培から始め、育つ土地を見極め、種を増やし、少しずつ広げていけばよい」


 私は思わず笑みを浮かべた。


「はい。私も、そのつもりです」


 するとマルク伯が横から苦笑しながら口を挟む。


「これで農業まで仕事が増えましたな」


 マルク伯が肩を落とすと、フェルディナント大公が呆れたように笑う。


「あなたは先ほどから、そればかりですね」


「仕事が増えれば、そうも言いたくなります」


 そのやり取りを見た皇帝陛下が、小さく笑った。


「働き者が揃っているようで何よりだ」


 そう言ったあと、皇帝陛下は再び表情を引き締めた。


「ガッティナーラ」


「はい」


 呼ばれたガッティナーラは姿勢を正し、皇帝陛下へ向き直る。


「ロードス、エジプト、サファヴィー朝についても調べておけ。外交的な接触が可能か、どの程度の支援が必要になるのか、そして我々に何ができるのかを整理してほしい」


「承知いたしました」


 ガッティナーラは深々と頭を下げる。


 続いて皇帝陛下はマルク伯へ視線を向けた。


「マルク伯」


「はっ」


「軍事面では、オットマン帝国の動向を調べよ。ハンガリー方面の情報も集めるのだ。兵を大きく動かす必要はない。まずは情報を得る」


「承知しました」


 マルク伯は今度こそ疲れた顔を見せながらも、軍人らしく真剣に頷いた。


 最後に皇帝陛下はフェルディナント大公へ向き直った。


「食料と輸送については、お前にも協力してもらいたい」


「もちろんです」


 大公は迷いなく答え、地図へ視線を落とした。


「帝国各地の備蓄状況を把握し、港湾や街道についても調べます。それと、新大陸作物の試験栽培についても、どこでどのような結果が出ているのか整理してみましょう」


「よい」


 皇帝陛下は満足そうに頷いた。


「ただし、民衆を不安にさせるようなことはするな。まだ帝都が包囲されると決まったわけではない」


「はい」


 私はその言葉を聞き、胸の奥に溜まっていた緊張が少しだけ抜けるのを感じた。


 皇帝陛下はそこで一度言葉を切ったものの、すぐに再び私へ視線を向ける。


「迷い鳥」


「はい」


 呼ばれた私は慌てて姿勢を正す。


「お前は先ほど、食料を蓄え、物資を運び、港や船を整えることは、未来が変わっても無駄にはならないと言ったな」


「はい」


「ならば、それを証明してみせよ」


「証明、ですか?」


 思わず聞き返した私に、皇帝陛下は楽しそうに目を細めた。


「そうだ。オットマン帝国が西へ来るかどうかに関係なく、帝国を豊かにし、戦争になったときにも役に立つ仕組みを作れるのならば、お前の考えは未来予言ではなく、帝国を強くするための政策になる」


 私はその言葉に一瞬目を見開いたが、すぐに真剣な表情で頷いた。


「……分かりました」


「それに――」


 皇帝陛下は少しだけ口元を緩める。


「船上で野菜を育てるという話も、もう少し詳しく聞かせてもらおうか」


「え?」


 思わず間の抜けた声が出てしまい、私は慌てて口元を押さえた。


 ガッティナーラは笑いをこらえるように顔を逸らし、マルク伯は露骨に疲れた表情を浮かべながら眉間へ指を当てる。


「陛下、それもお聞きになるのですか?」


「当然だろう」


 皇帝陛下は不思議そうに眉を上げ、マルク伯を見る。


「長い航海で兵士が病に倒れるなら、それを防ぐ方法があるかもしれぬのだろう?」


「それは……そうですが」


 マルク伯は諦めたように肩を落とした。


 皇帝陛下は再び私へ向き直る。


「スプラウト、と言ったか?」


「はい。発芽させた豆などを食べる方法です」


 私が答えると、皇帝陛下は興味深そうに身を乗り出した。


「ならば、それも説明してくれ」


「はい!」


 私は思わず背筋を伸ばし、今度は少し気持ちを切り替えながら説明を始めた。


 こうして皇帝陛下への謁見は、保存食の話から始まり、食料そのものを増やすための新大陸作物、必要な場所へ物資を運ぶための港湾と海上輸送、そしてそれを支える海軍や外交の話へと広がっていった。


 さらに、もしオットマン帝国が西へ進んでくることになった場合に備え、帝都だけを守るのではなく、その途中にある町や村、戦火を逃れて移動する人々まで含めて、帝国全体で支えられる仕組みを考えていくことになった。


 その一方で、私が知っている四年後のハンガリー王の戦死と、七年後に起こるかもしれない帝都包囲については、決まった未来としてではなく、あくまで一つの可能性として扱われることになった。


 未来が私の知っている歴史から外れたとしても、食料を蓄え、新しい作物を広め、物資を運び、港や船を整えておけば、それらは決して無駄にはならない。むしろ、そうした備えを平時から積み重ねていけば、戦争にならなくても帝国の暮らしを少しずつ豊かにしていけるはずだ。


 皇帝陛下も、私の知っている未来をそのまま信じたわけではない。


 けれど、だからといって無視もしなかった。


 起こるかもしれない未来として受け止め、それが起きても起きなくても役に立つものから手をつける。私が望んでいたのは、まさにそういう備えだった。


 そして今、その考えは私だけのものではなく、皇帝陛下を含めた、この帝国の意思として動き始めようとしている。


 私はそんなことを考えながら、皇帝陛下から尋ねられたスプラウトについて説明を続けるのだった。

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