イチゴとパイナップルとアボカドとパパイヤ
さて、私が作ったとされるユーリ・トルテは珍しいこともあって外国の来賓を出迎えるときに出されたりしているそうです。
実際のところそのレシピは私が作ったわけではないんですけどね。
そして今日の昼食のデザートですが。
「本日はイチゴ白チーズケーキでございます」
私の前には白いチーズ生地の上にたくさんいちごが乗ったタルトが運ばれてきました。
「うわあ、美味しそうですね」
白チーズは、フランスではフロマージュ・ブランと呼ばれるヨーグルトと生クリームの中間のようなクリーミーな食感を持つフレッシュチーズで乳脂肪分の多いものを示すようです。
「ではさっそく」
イチゴ白チーズケーキを切り分けて口にするととても美味しい。
「んー、これは美味しいです」
そういえばイチゴも原産はアメリカ大陸でしたっけ。
厳密に言えばヨーロッパに自生している野イチゴは、紀元前から採集され食べられていて、その栽培は古代ローマ時代から既に行われており、14世紀から16世紀にはいくつかの野イチゴの品種が栽培されています。
21世紀でも花壇やコンテナをはじめ、グラウンドカバープランツとしても使われていたりしますね。
しかし21世紀に普通にイチゴとして食べれれているオランダイチゴは、16世紀に持ち込まれた北米を原産地とするバージニアイチゴと、南米原産では18世紀初頭から19世紀半ばにかけてヨーロッパへ持ち込まれたチリイチゴが交雑してできたもので、甘くて味が濃いことでそれまでのイチゴを食卓から駆逐してしまったのですね。
あ、ちなみに私達日本人にとってはイチゴのショートケーキといえばふわふわスポンジの生地で真っ白な生クリームを挟んだものに真っ赤な苺を乗せた生クリームで表面を覆うもので、ケーキの代表のような存在ですが、日本で言うショートケーキは日本独自のもので本来イギリスやアメリカでのショートケーキはブッセに使われるビスキュイやショートブレッドに生クリームやいちごをはさんだもので、フランスにおけるショートケーキの土台は、アーモンドペーストが入ったしっとりとしたスポンジですが、使われるのは生クリームではなくクレーム・ムースリーヌ”というバタークリームの一種で、ピンク色に染めて薄く伸ばしたマジパンで表面を覆うのが一般的だとか。
まあ日本は海外から入ってきたレシピを日本流に魔改造するのが好きですからね。
「もう一つはパイナップル白チーズケーキでございます」
こちらはイチゴの代わりにパイナップルが乗っていますね。
パイナップルもアメリカ原産のフルーツでしたっけ。
ちなみにパイナップルというのは本来”松ぼっくり”を示すものなので、英語圏以外では意味が通じないとか。
基本的に花まで食べるかジャムやジュースにするのが普通ですが、果肉を用いる料理としては広東料理の酢豚やハワイアンピザなどもありますね
酢豚にパイナップルは入らない場合も多かったり、パイナップルを具としては認めないという人も多かったりしますが。
また、パイナップルケーキはヨーロッパではチーズケーキに乗せるものが多いですが、台湾ではパインジャムを生地に混ぜ込んだものになったりします。
しかしながらイチゴやパイナップルが食糧事情改善のための鍵になるかといえば……ならないでしょうね。
バナナあたりなら穀物の代わりに炭水化物の供給源にできますが……ああ、カロリーが高いフルーツにはアボカドがありましたっけ。
アボカドもアメリカ大陸原産で脂肪分が豊富であるゆえに”森のバター”と呼ばれることがあり、全ての果物の中で最大のカロリーを持つんですよね。
しかしながら糖分をほとんど含まず、脂肪の大半が一価不飽和脂肪酸な事もあって、アボカドを習慣的に摂取することにより、肥満や過体重の人の体重増加はむしろ緩和されるんですよね。
さらに食べ物に含まれる脂肪分の摂取量が多ければ多いほど、皮膚の弾力性が高くなり、アボカドに含まれる成分には傷を治癒する効果があるとも言います。
なので、あの人形を売っていた女の子のお父さんに食べさせてみたいですね。
同様にアメリカ原産のフルーツにはパパイヤもあります。
完熟したものは甘くて美味しいですが、未熟果の青パパイヤも炒め物や天ぷらなどに使われますし、パパイヤの葉は様々な民間療法に使われています。
とはいえアボカドやパパイヤはパイナップル同様に熱帯のフルーツなので、イチゴと違ってヨーロッパでの栽培は難しいでしょうけども。
というわけで今回はフルーツのイチゴとパイナップルとアボカドにパパイヤですね。
世界的なレベルではトウモロコシやジャガイモ、トマト、あるいはタバコのような大きな影響力はないですが。




