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第54話 ドーラの暴走

アーロンはカミラ達と一緒にドワーフの国(アヘンバッハ)王都(ルフタ)に向かっていた。アーロン達の馬車にアンジーが乗り込んできている。ラグはカミラ達の馬車で奴隷の首輪を付けられてから現在までの話をしているみたいだ。



「アーロン君は兄弟とか居るのかな~?」


「いないよ。僕一人っ子だから」


「そうなんだ~寂しくない~?お姉ちゃんとか欲しくない~?」


「今なら私がお姉ちゃんに成ってあげてもいいよ!ていうか弟になってください!」



と言いながらアーロンを抱っこし始めた。アーロンはぬいぐるみの様に抱きかかえらたまま馬車に揺られて色々と考えていた。たぶんアンジーは末っ子だったから、弟や妹が欲しかったんだろうなとアーロンが思っていると後ろの方からクスクスと笑い声が聞こえてくる。



「アーロンあんた良かったわね。可愛いお姉ちゃんが出来て、たくさん甘えないとね。(・m・ )クスッ」


「そうなのじゃ!今もカワイイぬいぐるみのようであるぞ。( ̄m ̄〃)ぷぷっ!」



アンジーに猫可愛がりされているアーロンを見て2人が冷やかしてくる。

少しイラついたアーロンが魔力で創ったBB弾を2人に連射でぶつけて憂さ晴らしをする。



「2人ともありがとね!パパパパパパパパーン!」


「痛!痛いわねアーロン」


「やめよアーロン。少しだけじゃが、ちゃんと痛いのじゃ!」


「2人が笑ってるから天罰です。我慢してください」


「パパパパパパパパーン!」



2人の神が頭と顔を両手で守りながらうずくまっている。

その光景を見ていたアンジーは大笑いしている。



「アーロン君やっぱり凄いよ!魔力で物体を作り上げるなんて技、初めて見たわ。どうやってんの?」

「どうって、魔力をグーって固めてコネて整える感じかな」


「うん。お姉ちゃんには分んないや!」


アンジーはアーロンの説明が抽象的過ぎて考えるのを諦めた。

アーロンは奴隷の首輪の件とカミラ達と遭遇した件をエイベルに報告しなければいけないと思っていたがその後もアンジーにぬいぐるみのように可愛がられていたので報告できないでいる。

数時間馬車を走らせた頃日も暮れ始めたので合同で野営をする事になる。



「シルフィーそろそろ野営でもしようか!」


「そうね良いわよ」


「師匠はねぇ~料理がとっても上手なんだよ。みんな期待しててね」


「まことかえ!それなら妾が、あ奴らに知らせてきてやるのじゃ!楽しみじゃの~」



アンジーの一言でドーラの機嫌がとても良くなり、あっという間にカミラの馬車まで飛んで行ってしまう。



「ドーラさん飛べちゃうんだね・・」



前を走っているカミラの馬車の所まで空を飛んで行くドーラを見てアンジーが呆然としていた。



「カミラとやら止まるのじゃ~!」


「こらー止まらぬか!」


「ん?・・・・・・!」


「どうしたんだ?・・・うわぁ!」



カミラは後ろから声がしたのに気づいて振り返ると空を飛びながら追いかけてくるドーラを見て驚く。

隣に座っていたラグも驚いている。直ぐにドーラが馬車の後方から乗り込んできて野営する事を伝える。

その時、ドーラの眼は期待に満ち溢れていた。



「野営をするゆえ馬車を止めるのじゃ」


「どいも、わざわざありがとうございます・・・ドーラ殿は空も飛べるんですね?」


「そんなことはどうでも良いのじゃ!お主は料理が得意らしいが、何でも作る事が出来るのか?」


「えぇ~それなりには作れますが」


「カミラの作る飯はマジでうまいぜ!ビックリするぞ」



ラグは昔からの知り合いだけあってカミラの料理の腕を知っているみたいで太鼓判を押す。

ドーラのテンションがさらに上がる。



「今から妾が好きな食材を捕ってくるゆえ料理をお願いできるかのう?」


「それぐらい良いですよ。助けていただいたので喜んで作らせてもらいますがどんな食材ですか?」



テンションがMaxまで上がったドーラがカミラの話を最後まで聞かずに馬車から飛び立ってしまう。



「じゃぁ~今から捕まえてくるのじゃ!直ぐに戻ってくるから待っておれ。とう!」



アーロン達の中に料理が出来る者などいないので街や村での食事以外ではまともな食事は食べていなかった。本気を出せば野営する必要なく次の街まで行けるのだが、アーロンの希望であえて野営を選んでしていたのでドーラは美味しい食事に飢えていたのだ。

だからカミラの存在にテンションが上がってしまい暴走をし始める。


カミラは野営に適したか場所を見つけて馬車を停車させる。その後すぐにアーロン達も馬車をカミラ達の馬車のすぐ隣に停車させた。ドーラがカミラ達の馬車から飛び立っていくのを見ていたアンジーが馬車から飛び降りてカミラに駆け寄る。



「師匠!ドーラさん何処に行ったの?」


「いやぁ~私も分からないんだが、ドーラ殿が好きな食材を捕ってくるから料理を作ってくれと言われたので、快諾したら飛んで行ってしまってな・・・・」


「マジで?あの人、何を捕まえてくるかな?かなり強いから楽しみだね!」


「・・・・・・・バカ竜!・・(ToT)」


「グッジョブ!ドーラ」


アーロンはドーラの暴走のせいで自分達の素性を誤魔化すのがどんどん難しくなっていくので泣きそうになる。シルフィーはアーロンと違いドーラと同じ気持ちなので密かに喜んでいた。


アーロンはカミラ達がテントと食事の準備を始めたので、今のうちにエイベルに連絡を取るためもう一度馬車に乗り込む。



「シルフィー、今のうちにエイベルに連絡してくるね。ドーラが帰ってきたら知らせてね」


「分かったわ!」



アーロンは馬車の中で目を閉じてエイベル預けている小鳥型クローンに意思を飛ばしてエイベルと話し始める。


今回の報告は


●第一王妃派のクーロ伯爵が貿易国家(ノルトライン)の為に奴隷の首輪を使用してドワーフを集めていた事、第一王妃もその事について了承している事。

●偶然カミラ達と出会い、現在一緒に行動している事。

●クーロ伯爵をカミラが捕まえて、冒険者ギルドを介してエイベルの元に送ろうとしている事。


「そういう事だから宜しくね。また連絡するよ」

「ありがとう!クーロ伯爵と貿易国家(ノルトライン)の事は分かったから任せてくれ、こちらでも調べてみるよ。又の連絡を待っているからな」


数十分話した後、アーロンが意思を自分の身体に戻すと同時に外が騒がしくなった。



「うわ!さっすが〜ドーラさん」


「好きな食材って地竜でしたか・・・」


「・・・・」


「やるじゃないドーラ。久し振りに私も食べたいって思ってたのよね!」



ドーラがたった30分程で地竜を探して狩って帰って来た所だった。地竜は顔の部分がグシャグシャになっていた。ドーラに聞くと顔面に正拳を一発喰らわして倒したとおしえてくれた。



「妾にかかればこんなトカゲなどワンパンなのじゃワンパン!早く料理をお願いするのじゃ」


「・・・・・凄まじいな。さすがに私でも一撃なんて無理だ」


「・・・・やばいな」



カミラとラグはドーラの発言に言葉を無くした。カミラでも剣も使わずに打撃の一撃で地竜を倒すことなんて出来ない。

改めてドーラの異次元の強さに恐怖すら感じる。



その後、ドーラの強さにスッカリ自信を無くしたカミラとラグが地竜の下処理をして料理をはじめる。




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