第46話 竜神の暴走 人類滅亡!?
「とう!」
気の抜けた声とともに馬車の中からガントレットを付けた拳闘士の可愛い20歳位の女性が飛び出してきた。
ドーラである。
「待ちなさいよ!」
一拍遅れてとても綺麗な20歳位の杖を持った魔法使いの女性も出てきた。
こちらがシルフィーである。
2人とも見た目を20代にしている。
2人が馬車から降りた後、すぐに男達の仲間の一人が馬車を覗き込んで中を確認した。
「親分!中には荷物が在るだけで他には居ねえみたいだぞ!」
「それにしても荷物が少ないな。まぁあの女達がいりゃ~十分か」
アーロンは荷物の陰になる位置に座っていたため見つからずに済んだようだ。
アーロンはビックリしたので意識が自分の体に戻ってしまったが4歳児の小さな体のおかげで助かった。
「ヤバかったな。子供の体で助かったぜ」
アーロンは再度ドワーフのクローンに意識を送って外の状況を確認する。この能力はかなり有能である。
「やっぱりか!冒険者が居やがったな。それにしても2人とも綺麗な顔してるじゃねぇか」
「お嬢ちゃん!おとなしくしな!素直にしてれば命は助けてやるぜ」
「お前たちはさぞかし高く売れるだろうな!産んでくれた親に感謝しな!」
男達がイヤらしい眼で2人を見ながら好き勝手な事を言っている。
ドーラの顔が苛立ったキツイ顔になる。
更に男達の暴言は続いた。
「もちろん売り飛ばす前に俺達がかわいがってやるけどな~」
「お前はどんな声で鳴くんだろうな拳闘士の女!楽しみだぜ~」
「我慢できねー!早くやっちまおうぜ!」
ドーラの顔が苛立った顔から更に怒り狂った鬼の様な顔になると同時に、ドーラの体から魔力が溢れ出した。
「愚かな人間よ、聞くに堪えんな」
「妾にその様な口を利く者などここ数千年おらぬと言うのに不愉快じゃ!」
「容姿も醜い上に魂まで汚れておるようじゃ。妾が貴様らごときに陵辱されると?」
「正直、アーロン以外の人間など無価値に等しい事を教えねばならんのう。滅してくれようぞ」
なんだか今までになくドーラがブチ切れているようだ。
普段はアーロンとふざけあったりして天然で可愛いいドーラだが実際は数万年の時を生きる竜神だ。
ただの人間から下卑たる眼で見られたり侮辱される様な存在では決して無い。
アーロンの悪い予感が的中した。
まだ戦いも始まっていないのに、グングンとドーラの怒気と魔力が跳ね上がった。
このままだと人類滅亡の危機まであ。
非常にヤバい状況にアーロンが馬車から出て行こうした時シルフィーがドーラを止める。
「ドーラ落ち着きなさいよ!」
「シルフィー邪魔をするでない!」
シルフィーの魔力もドーラと匹敵するほどに跳ね上がり2人の眼が合う。
「まぁ~とにかく聞きなさいって、確かにこいつ等に生きる価値なんて無いって所は私も大賛成だわ」
「では、なぜ止めようとするのじゃ」
「違うわよ、止めるつもりなんてないの!あんたが、全ての人間に敵意を向けだしたから言ってんでしょ!」
「考えてもみなさい、美味しい食べ物を作ってるのは人間よ!あんたのせいで美味しい食べ物が無くなるなんて私は許せないって話しなわけ! 解った!」
「ついでに!アーロンの家族や友人達はどうなるのかしら!」
「・・・・!!そうなのじゃ!危うく妾の楽しみを消してしまう処であったわ」
ドーラの怒気と魔力がすーと小さくなっていく。それを確認したシルフィーは魔力を抑える。
「俺の家族や友人はついでなんだ!」
「何も考えずに感情的にならないでほしいわけ!」
「私が止めなかったらねぇ~今後スイーツ巡りなんて出来なくなる所だったのよ!」
更にドーラの魔力が小さくなる。
何が起きているか分からない男達は2人のやり取りを只々見ているだけであった。
しかし、先程の2人の膨大な魔力にあてられて本能的に体が震えて動けなくなっている。
天災など人類にとって抗いようのない状況で感じる恐怖に近いものを、その場にいた者すべてが感じていたはずである。
ガラの悪い男達はもちろん、捕まっているドワーフ達も例外じゃない。
体をガタガタと震わせて座り込む者や意識を手放し気絶する者。中には恐怖に耐えきれず自らの剣を使い命を絶つ者までいた。
それ程、人類にとって天災級の出来事がこの場で起こった。
「とにかく、この男以外サッサと殺しなさい」
シルフィーは風の魔法で親分を縛り付け自分の近くに引き寄せる
「シルフー迷惑かけたのう。ではサッサと片付けるとしようかの」
「フン!当たり前でしょ!あんたとのスイーツ巡りは・・なかなか良い・・・その・・・良いのよ!。」
シルフィーにとってドーラとのスイーツ巡りは案外気に入っていたようでシルフィーは照れてしまって言葉になっていない。
シルフィーのそんな仕草を見てドーラの顔が明るくなる。
ドーラは気をっとりなおして動けなくなった男達の方をみる。
ドーラが右腕だけを巨大な竜神の手に戻して気絶した者や動けなくなっている者達をまとめてその巨大な手ですくい上げ、ためらいもなく簡単に握りつぶしはじめる。
「ぎゃぁー」
「いだぁーぃーーっ」
「ボキッ ボキッ バキバキッ グチャグチャ タラ~~」
男たちはドーラの右手の中で潰されて死んでいく。
ある程度握りつぶした後ドーラの手が少しずつ輝き始める。
「ジューーーーーッ」
最後に右手の中の肉の塊を光魔法で消滅させている。
その状況の一部始終をシルフィーによって目を背ける事が出来ない親分は見せられていた。
親分は今までに感じたことの無い程の後悔と恐怖を感じて人格が崩壊しそうになっている。




