表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/88

#85 父と子

 どんでん返し。


 衝撃の局面。


 ◆


 そこは《ファー)》なる輪廻転生便。

 場所は《チェコネット》なる絶対領域。


「手前も、江頭も、ぜっェに許さねェ‼」


 肘をつき、起き上がる。

 腰には力が入らない。

 と、いう以前に感覚がない。


「よぅも、その体勢で、そのような口が叩けるものじゃな~~大嫌いな小林の後輩」

 妾がほくそくむ。

「ボクもそうですね、と頷く」

 クラリスも嗤う。


 スーー…。

 絵里が手を上げた。

 それに妾とクラリスが押し黙る。

「では、どうする?」

「ぶっ殺すに決まってんだろう?!」

 噛みつくように言い返す。

「どう、やってなの?」

「それは、こっから考えんだよ‼」

「っそ」

 小さくため息を漏らす。

「でもね。もう可愛くない出口ちゃんに、用はないんだよね。本当に」


 手を向けると、そこには小林と同じ杖があった。


「私は魔女! さぁ、恐れなさい‼」


 正真正銘の魔女。

 入江はきょとんとしていた。

「…何? 何で、そんな平然としていられるの?? 出口ちゃん!」

「へ? 何でって…何でかなァ~~」

 入江が苦笑する。


 顔は小林だが、入江には見覚えがあった。

 確か。

 あの兎頭ー因幡真白と観た映画の中に居た。


「アンタは《絵里ちゃん》なんかじゃあねェ」


 ぎくん。


 絵里の身体が揺らぐ。

「!? っな??」

 顔も驚きの色が濃くなる。

「…し、っているとか、ぅそ、でしょぉ~~??」

 たじろぐ様子だ。


『そう。貴女は絵里などではない』

 続いた声に、入江の頭が垂れた。

「おっせ~~んじゃァねェ~~のォ??」

『おやおや。私をお待ちでしたか』

「少しな! ちょびっとだけな‼」

『そんな格好になっても、本当に威勢がいいですね~~』

「うっせ~~よ!」


 そうギャンギャンと言い合う様子に。


「そやつは何じゃ。大嫌いなこ…出口よ!」

 妾が絵里の前に、立ちふさがる」。

「ああ? こっちが聞きてェっつ~~の! ったく」

『ああ。ご挨拶が遅れましたが、私は因幡真白なる異業種』

 絵里の表情も、元の勝気なものに戻っていた。

 江頭が、怪訝な顔で煙草を咥えた。

 カチチー…カチチー…。

 手が震え、ライターの火が点けられない。

『ま。偽名なんですけど』

「だろうな」

 速攻で入江が言い返した。

「だって、手前の匂いは…おっさんのと同じだ」


 カッターーーン…!


 江頭がライターを落とした。

「おっさんが人間じゃないとか、平子は対の人間だとかわけ分かんねェこと、うだうだ、言ってたの思い出したんだ」

 落ちたライターを江頭は拾わず、手だけが震えていた。


「手前は平子の子宮と、おっさんの精子を媒介にした…子供だ」


 カポ。


「--…ですねー」

 江頭のように吊り上がった瞳、平子と同じく猫毛で色素の薄い髪。

 少年の正体の《謎》が解けた。

「私ーーボクは江頭凛だよー父さん」


 ギュ!


 江頭は強く目を閉じた。

 口許はワナワナと震え、咥えていた煙草も落っこちてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ