#77 最終決戦の幕開け
後ろの正面はーーだぁれ、だぁ?
◆
バタン!
小林が扉を開けた。
「…何にも、ならないか」
そう、ため息を漏らす。
「やっぱり、気のせい、なんスかね?」
五十嵐が首を傾げた。
(んな。はずァねェ)
入江が見据える。
(『そう。感が鋭いよ、可愛くない出口ちゃん』)
(だろ?)
入江がはにかむ。
「何、笑ってんの? 気色悪い」
小林が言う。
「…絵里ちゃんと喋っているとは思うけど。気色悪いから」
「うっせ~~よ!」
入江が牙を剥く。
「まぁ、まぁ」
間に五十嵐も入る。
「次の扉で、最後だろ」
入江が顎でしゃくる。
「見れば分かる」
ゆっくりと小林がノブを回した。
ガ、チャ…!
◆
辺りが光に溢れた。
「「「‼‼」」」
目も開けられなくなった。
浮いていた身体の足が固いものの上に立ち、腰に柔らかいものが当たる。
「目を開けよ」
聞き覚えのある声に、目を開けた。
「ここは…??」
五十嵐が立ち上がる。
そして、身体が揺れる。
ここはーー…。
「ああ。ここはーー《御霊特急》か」
しれっと入江が言う。
「よく、知っておるもんじゃな」
「聞いたんで。あんたの犬に」
暗く見えなかった向かい。
時々、当たる光で、その人物が浮かび上がる。
「なァ、妾ちゃ~~ん??」
声で、分かっていた。
「本当に、大嫌いな小林の子分、が」
「入江君は、僕の子分なんかじゃないですよ。妾さん」
小林が簪を構えた。
「ほぅ。貰ったのか、あやつから」
振ると、簪が杖の形に変わった。
「主様には、指一本でも触れさせない、とボクは言う」
クラリスが、いつの間にか妾の左の席に腰を下ろしていた。
「そう! 我が君と話せることを誇りに思うのでしてよ! 人間が‼」
右の席にクラレントが腰かけていた。
向かい合う。
そして、睨み合う。
「さて。教えてもらいましょうか? この場所と、招待を」
ギュ!
小林は強く杖を身構えた。
「何、妾が招待した覚えはないぞ」
クスクスー…。
「ウソをつくな」
小林が強い口調で責める。
「嘘を言ってどうするのじゃ? 妾が」
「君以外に誰が居るっての」
杖の先端が光る。
それに入江が手をやり、抑える。
「アンタって、本当に意外と短気だな」
ゴッツン‼
入江が小林の額に、頭突きした。
「っだ‼」
小林が狼狽する。
「出口~~ヤリ過ぎだってば」
五十嵐が苦笑交じりに言う。
「そんなことはないっしょ」
ふん! 入江は一蹴する。
入江の中で蠢くものがあった。
(そ、れは、ない、だっ、ろ~~??)
入江は、腹を抑えた。
「おい? どうしたんだ、出口??」
ズクズク。
「黒幕はどこだ?」
撫で。
小林は入江の髪に触れ、強い口調でさらに責める。
「察しが悪いの~~大嫌いな小林、は」
ヴォン!
五十嵐が、手のひらから短剣を出した。
「子供でも容赦なく、切り裂くぞ!?」
小林と五十嵐のもの言いに。
「ふふ! はははははははッッ!」
声高らかに妾が嗤った。




