表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/88

#67 この胸の高鳴りを

 その出会いは必要不可欠なもの。


 その出会いが全ての人生を一変させる。


 ◆


「入江は居ねぇーー~~がァ゛!」


 ノックもなくメジロが事務所に特攻して来る。

「月代さん、ノックしょうか」

 冷静に小林が言う。

 組み敷かれた入江は、ぽかん~~とした顔をしている。

「小林主任、その馬鹿、貰えるべか」

 メジロが入江を指差す。

「いや、駄目」

「貰うべさ」

 素っ気なく、そう言うとメジロは。


 ぐいーー…!


 入江の腕を引っ張り、小林の下から、引っ張り出した。


「おっと! の゛わ゛っ」

「ほら! とっとっと、出るべさ! ったく!」

 入江の腕を掴むメジロの爪が、腕にめり込みーー痛い。

「おい。いってェ~~よォ~~メジロちゃ~~ん」

 入江は、メジロに腕を引っ張られる格好で事務所を後にした。


 ◆


 ダダダダ!


「ね。メジロ、お前どうしたんだよ」

「どうしたって? 何がだべ!?」

「何、怒ってんの?」

「別に怒ってねぇべさ!」


 横から見える顔は、真っ赤に染まっている。

 入江は肩で息を吐く。

(女ってのは、よ分からんわ、本当に)

 実際、入江は誰ともつき合ったことがないため、本当に理解出来ない。

(でも、ま、何だ…うん)

 少し、胸が痛い。


「とっとと、帰るべさ!」


 その言葉に、入江の引っ張られていた身体の足が止まっていく。

 そして、徐々に重くなり、ついには動かなくなった。


したべ!」


 メジロが振り返り入江を見た。

 入江は真っ直ぐにメジロを見据えていた。


「俺は、まだ、帰れないんだよ」


 ◆


 銀河エンタテインメント施設は五階建てである。

 そして、地下にも部屋がある。


 まず。

 筆頭に景品倉庫がある。


 さらに、銀河高校の地下歩道もある。

 実習生は、ここから勤務に来るのだ。

 歩くエスカレーターも完備されている。

 それ以外のスタッフは地上からの出勤だ。


 そして。


「あ゛ァ~~」


 生徒、教育員並びに、勤務している従業員のための施設も完備されている。

 疲れを癒すためとは名ばかりに。


 この施設の建設時に、温泉が掘れて噴き出してしまった。

 入浴は無料だ。


「いい湯だなァ」

「だべ」


 男湯に女湯。

 そして、謎の混浴湯もあった。

 

 まさに、裸のつき合いと言うやつだ。


 その混浴に仲良く浸かっている。

「メジロォ~~あのさー~~」

「何だべ」

「…後悔してるか? 俺も、テンション高くなってたし」


 バッシャ!


「ま。だべな」

 メジロが視線を泳がせた。

「でも」

「でも、何?」


 くるくるーーメジロは自分の短い髪を指で巻く。


「おと居るの愉しいべさ…」

「そ? ありがとさん」


 にへ。

 入江の顔が満面の笑顔になる。


「な。ところで、だべが」

「ん。あんだよ、改まってよォ」

「お、男…何だべ?」

「あーメジロに会ったときから、俺ってばこんなだもんな」


 コクコク。


「で、だべ。おらと一緒に風呂に入ってーー興奮とかしないんだべかな?」


 裸のつき合い、なのだ。


「悪いけど、俺。女に興味ないっつ~~か、持てないっつ~~ぅか」

 ガリガリ! と頭を掻く。

「あ! おおおお、俺っは! あっちでもねェかんな?!」

 入江も慌てて釈明する。


「じゃあ、どうすれば、おらはお前を興奮させられるんだべ?」


 言われた言葉に、入江が止まる。

「っはァ?? メジロォ~~?? 頭、大丈夫かァ??」

 入江はメジロの額にひっついた髪を上げる。

 そして、メジロの目の前で苦笑した。


 キュン。


(主任とも違う。この胸の高鳴りは何だべ)

「メジロってば、まだ記憶が追いついてないんだなァ~~」

(いや、おらーーこの疼きは知っているべ)



 最初の出会いはー最悪。


 でも、気がつけば。

 気になっていた人間よりもーー気になって。

 振り回されることさえも愉しくなって来た。


(こいつを、どうやったらーーおらのものになるべかなぁ)


 だからなのか。


 ほっとけないし。

 自分以外の誰かが、横に居ることに怒りを覚える。


「メジロォ??」


 様子のおかしいメジロに、入江が首を傾げる。


 ゴクリーー……。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ