#50 小林の中の絵里ちゃん ③ 不可解な上司
誰がための闘いなのか。
◆
騒がしさに目が覚めた。
「…ん? ンンん??」
目の前には、あのスクリーンがあった。
上映が終わったのか何も映し出されていない。
「まだ、俺は…目が覚めていねェのか、よ…ったく」
大きく入江は腕を大きく伸ばした。
ドォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッンンン‼
「?! 何だァ??」
大きな衝撃音に入江は立ち上がった。
左右を見て、勢いよく上を見上げた。
「何、してんだ…アイツ、らは」
目を疑った。
兎の頭を被った彼とーー大嫌いなスタッフが激突している。
「何、してやがんだよ…こんなときに、ょ」
兎を被った彼の武器はバズーカ砲だ。
それを小林が素手なのか、弾いている。
「どうして、闘ってんだよ」
闘う理由がない、と入江が思う。
これは夢に違いない。
終わらせてやらなければ。
「んにしても、大人気ない」
闘う理由が、入江自身が原因だとは知らない。
知ったところで、彼が、どう思うことはない。
「…弓、出ろ」
ポワワンーー…ガシッッ!
「うっし!」
標準を合わせる。
打てば当たる。
ただ。
「どっちらに当てよ~~うかなっと~~ォ?!」
ウキウキ。
◆
「ねぇーん? 兎さぁん??」
ドッオオオオオォォンンン‼
『何ですかねぇ?!』
ぱすー…
「お姫様が起きたみたいよぉんー??」
『ぇ』
その声に彼の気が緩んだ。
『ぁ』
「くふふふ!」
絵里が彼を蹴飛ばす。
『ぅあーーーーーーーーッッ‼』
その攻撃が身体に直撃し、彼は吹っ飛ばされた。
彼は入江のいる座席の奥へといった。
「‼」
瞬間ーー絵里に矢が放たれた。
「!? どぉーしてぇ~~??」
ドン! ドドン‼
ドドッドッド、ッパッパン‼‼
「うっし! ざっまァ~~あ‼」
白い歯を見せ入江が笑う。
「手前が悪ィんだぞ! 主任ッッ!」
そう捨て台詞を吐くと、入江は彼の元へと走った。
「あんな子供を蹴飛ばすとかよぉ~~ねェ~~わァ~~‼」
「っ信じらんっっ、ない!」
矢が直撃するも絵里もなんとか、落下することを踏み留まった。
「あんの! 馬鹿‼」
◆
『たった! ぃたた~~』
彼が頭を振った。その度に兎の被り物のガバガバに揺れる。
「思いっきり蹴飛ばされた割に頑丈なんだな」
ふぅ、と入江もため息を漏らした。
『?! …本当に目を覚ましたんですね』
「え、何? 俺、死んでたんか??」
『いえ。悪夢に捕まってしまったんです。私が上手くコントロール出来ないばかりに、お恥ずかしい』
「ああ?? 別にそんなんはい~~からよォ~~。あんの馬鹿は何がしたいのか、聞かせてくんねェか?」
ギュー…。
入江は弓を握り締めた。
「本っっ当に馬鹿な奴」
彼は起こした顔をまた壊れた座席の上へと置く。
『…貴方を助けに来ただけですよ』
「…っはァ?! そんだけェ??」
『理由なんて、それだけだって十分…戦争になるんですよ。入江サン』
あの小林主任が。
自分のために彼を攻撃している。
「狂ってやがるッッ!」
怒りの炎が増す。




