#41 初めての窮地!
甘い蜜? 苦い蜜?
どっちがお好み?
◆
アーチの中は香しい。むせ返る。
「んふー~~いい匂いだな~~なぁ~~五十嵐さん!」
くるんくるん! 入江が回る。
「ははは。はしゃぎ過ぎだぞーお前さん~~」
「っふぇ?? れつに、そんひゃことにゃあいにょ??? ふにゃ~~」
「「!?」」
バタン‼
入江が、顔を真っ赤にさせ、アーチの中、薔薇の上に倒れ込んでしまう。
「い、入江??」
その身体を五十嵐が、慌てて拾う。
「あ~~血まみれだ~~顔面ッッーったくも゛ォ゛~~」
そして、担ぎアーチを抜けた。
「顔、が赤いね」
小林がため息を漏らす。声も強張っている。
「んだ? お前ら」
目の鼻の先にーー熊がいた。喋っていた。
いや、人間だ。
しかし、容姿は。
RPGでお馴染みの獣耳ーー今回は熊っぽい。
それに加えて、豊満な胸。
プルルルルルルン! と揺れる。
黒目がちの大きくも、鋭い眼光。
首筋までの黒いショートヘアー。
左の耳には赤い花のリボンをつけている。
「んだらぁ? ああ、お前ら、この【欲熱華】の中で何やってんだべさ」
ジト目で睨みつけられる。
「こっちにも事情があるんです」
小林が、売られた喧嘩を買う。
「どうにか出来るなら、手を貸しなさい」
上から命令することも忘れない。
「…お前、悪いヤツと、同じ匂いがするべさ」
「悪いヤツが、どいつとは聞きませんし、知りたくなんかありませんし、どうだっていいんだ‼」
小林の口調が荒くなる。
ガシ!
「助けてくれ!」
キュキュン!
「は、はぃ…」
その得体のしれない熊のような人物の名は、
「うちは、メジロだべさ」
性別-女性。
◆
「どったらぁ~~メジロ~~遅かったでねかぁ~~ンん??」
入江を抱きかかえ、メジロの家へと運び入れた。
「メジロ~~?? なななな、何だべさ!? こここ、この!?」
狼狽える体格のいい男。
「うっさいべ! 兄さ!」
「ぅ、っひー~~~~ッッ‼」
兄と呼ばれた男が部屋の上へと駆け上がっていく。
家と言っても、ここは洞穴だ。
「よっと!」
メジロが入江の身体を机の上を払い、置かせた。
「う゛ッ、ぅう~~~~…ん」
入江も苦しそうに喘ぐ。
ゴクリー…
「小林さ~~ん? 涎出てますけどォ~~??」
「! お、お前もだろう。人のことが言えたことか、五十嵐君」
「ぬふふ」
そんな二人のやり取りを見て、
「貴女、ズルいべさ」
入江を睨んだ。
「こんなにも、愛されているなんて」
そして、軽くデコピンをする。
「っだぁ~~…ぅううう」
重症の入江が、そう声を漏らす。




