# 39 敵、撃退…し終えました
何かが追って来る。
◆
「よっと!」五十嵐が短剣で、近くの木の枝を叩き切った。
結果は残念なものだった。
メキョー…
「短剣ェーー…」
木の枝の硬さに敗けるというものだった。
「ダサ」
チラリと五十嵐を見た小林がつっけんどんに言う。
「羨ましいんだろー~~主任~~」
五十嵐は小林を煽る。
「だってさー~~小林さんだけだもんなー~~武器がないのってさぁー~~」
パシンパシン‼ と手のひらの中で短剣を鳴らす。
「んー~~羨ましいよねー~~~~~???」
ドヤ顔で、小林に言い放つ。
確かに、小林には武器がない。本人も、その自覚はある。
「俺も武器あるしな」
そう、入江もぼやく。
「うるせぇよ、エルフもどき」
小林も強く言い捨てた。
「…俺が、エルフ? ふふふ、エルフかァー~~」
その言葉に入江も萌えた。
「よっと!」
手をかざすと、ピンク色の弓がヴィヴィっとノイズを出し、その姿を現した。
「うん。よし! きちんと出たな」
そして大きく指を引くと、光る矢が現れた。
「どうすんの。それ」
小林が素っ気なく言い捨てると。
「うんー~~これかァ~~?? こいつぉ~~こぉー~~…」
入江が宙へと、強く放った。
「来る前に、殺りゃあいいのよ。簡単な話!」
◆
放たれた一矢が、二本、三本、四本ーー数百となり。
「!? なななな、何じゃな?? あ、ぁ、あのーー…」
眼下に広がる赤い光にクラレントが恐れ戦いた。
彼女が放った《吸血獣》は無残にも、その身体を散らした。
そしてークラレント自身にも、それが襲う。
「‼ っひぃ゛!?」
がばッッ‼
そこにクラリスが来て、クラレントを抱きかかえ、その場を離れた。
落ち着いた場所でクラリスが吐き捨てた。
「主様に逆らう真似をするから、こんな様なんだよ。クラレント!」
「!? くくく、クラリス?? お、お主」
「しかし。これを放ったのはーーどいつだ?」
クラリスの眉間にもしわが入る。
「わ、分からぬが…あの男ではないのは、確かだ」
クラレントの強張った声に、クラリスが舌打ちをする。
「この力、侮れないッッ」
眼下を睨む。
その先には、長い髪をなびかせる入江の姿があった。
お互いが、その姿を見れないものの、同時に同じことをしていた。
「何か爆発したなァー~~うィ~~~ッ!」
満面の笑顔の入江は弓を掲げ、宙を見上げた。
「よくも気づいたものだと、ボクも驚くよ」
満面の笑顔で下を見下ろす。
そんな二人は。
「「くそったれがッッ‼」」
中指を突き立てていた。
後に激戦を交わる、クラリスと入江。
その二人の因縁の原因となるものだった。




