#22 厄介な遭遇
「あのぅ」
浦飯が声を出した。
「うん? どったの、浦飯さん」
五十嵐が聞く。
「ここにいる間の時間と、現実の時間って同じなんですか??」
五十嵐と小林が見つめ合う。
「いいや。時間が違うと思うぜ」
そう入江が言い切る。
「…何で、そう言い切れるんだよ」
小林が聞き返す。
「だって。アンタたちは開店準備の時間に間に合っていたじゃないですか」
◆
客観的な入江の意見ではあったが、そりゃあそうだな、とほかの三人も頷いた。
だから、今は何ごともなく。
と。
「ぅお゛ぉ!?」
それが自己主張するように、道を塞いでいた。
「蜂、っスかねぇ」
「うん。どうだろうな」
もの自体は、蜂の巣を大きくしたようなもの。
突けば最後、のように。
「なァんかさァ~~蜂蜜大量に入ってそうだなァ~~」
ルンルン。
入江が舌を出す。
「…お前ねぇ」
五十嵐が呆れる。
「死ねばいいのに」
さらに小林も、素っ気なく言い捨てる。
「でも。蜂なら厄介だなァ」
それに触れようとする入江の身体を、五十嵐が抱きかかえる。
「子供じゃないんだから、ホイホイ、と触らない‼」
ガミガミ。
「も~~分かったよォ~~」
しゅん。
しかし、五十嵐はそれだけではすまなかった。
ぎゅ。
「手を握っておきゃあ大丈夫だな」
「いやいや」
「さ。行くぞ」
「いや! いや!」
「何だよ」
「分かったから! もォ、と手とか出さないから‼」
すると、手が離された。
「ぐぐぐ」
五十嵐の首に小林が腕を巻き、絞めていたからだ。
「ま、参った……ス」
そんな三人のやり取りを浦飯が微笑ましく見ていたときだ。
コツン。
「え?」
その蜂の巣に、何かが当たった。
少しの振動。衝撃。
それが、この大きなものを突いたのだ。
決して、入江が原因ではない。
グワァァァァァァぁアアアアアアアアアアあ゛‼
無数の羽根の音が鳴り響く。
その巣の穴から。
ギュイ、ギュイ。
人の顔、人の皮を被ったものが、こちらを覗いている。
四人は足を後退させる。
っす、っす、っす、っすーー……パキ!
「ぁ」浦飯が足元を見た、小さな枝を踏んでしまった。
ガアアオオオ゛オオオ゛オオ゛オ゛オオオオオオオ゛オ゛オオオ゛オ゛オオ゛オオオ゛ォ゛ゥ‼
人の皮。
現れたのは人の顔をした昆虫。
手が四本、足が一本。
金属の鎧で身体を覆っている。
全てが兵士で、その全ての手には鋭利な刃が握られていた。




