終話 物語から解放された悪役令息は。
ウナナ族の白猫ことウナローがオルキスたちに用意した屋敷は、本猫曰く「目立たないように王都で最も小さいものにした」とのことだったが、二人で過ごすには充分すぎる広さの洋館だった。
ゼノが作った料理で夕食を済ませてから、出立の準備を整えた。小さなポシェットサイズの魔法鞄は、有那商会のものだ。ほんの出来心でオルキスが自分で錬成した布を入れて『布の価値の分だけ内容量を拡大』させたところ、屋敷が丸々一つ入るほどの容量になってしまい、ゼノに「誰かに知られたら、本当に、ほんっとーに危ないから、今度から一回儂に聞いて。お願い!」と言われてしまった物だった。
「ゼノさんの足なら、ここからルクスダインのお城までどのくらいかかるんですか?」
舞踏会で使用した衣装を魔法鞄に片付け終えたオルキスがダイニングテーブルを拭いていたゼノに問いかけた。
「そうだな……、今晩出て休まず走れば、明日の夕刻には着くだろう。もちろん、お前さんにきっちり休憩と三食を用意するから、その時間を入れると明日の夜半といったところか」
通常は、馬車で半月はかかる距離なのだが。ゼノという男は、本当に底が知れない。
半ば感心というよりも感嘆しながら、オルキスはずっと気になっていたことを問いかけてみた。
「ゼノさんって、先代の王に指名されて騎士になる前は、冒険者をされてたんですよね。強さの秘訣とかあるんですか?例えば、特別な訓練とか」
もしゼノ流の秘密の特訓法があるのなら、体力にあまり自信がないオルキスとしては是非聞いておきたかった。
ワクワクしながら返事を待っていると、「おそらくスキルだな」と事もなげに返された。
「……スキル、ですか?」
「魔法の属性とも違う、固有の力だ。まぁ、そう呼んでいたのはタチバナだけだが」
こちらにおいで、と招かれ、椅子に腰掛けたゼノの膝の上にちょこんと座らされる。ユーライト伯爵がやってきた時に対処できる距離でいてほしいから、とオルキスは言われていた。
「この国は魔力を持つ者だけを優遇するが、タチバナの話では剣士や武闘家にも『スキル』を持っている者がいるらしくてな。儂は、生まれつき『天元突破』なるスキルを持っていた。上限なく成長できる、希少スキルらしい」
「上限なく、成長……」
そう言われても、なかなかピンとこない。悩むオルキスを見て、ゼノは少し楽しそうに笑った。
「タチバナからの贈り物は、そのスキルを視た上で作ってくれたスキルだ。……『固有収奪』。リティシアがガチでエグいと言っていた力だな。どういうスキルかと言うと——」
ふ、と。ゼノの表情から笑みが消えた。
同時に玄関が騒がしくなり、複数の人間の足音が聞こえてくる。脅しの意味もあるのか、隠す気もなく、むしろ廊下の調度品を叩き壊すような音もしていた。
「……ユーライト伯爵にとって、お前さんは本当にただの魔王の器だったようだな」
「それが、父の……いえ、伯爵の選択なのでしょう」
もし今夜屋敷が襲撃されなければ、オルキスはユーライト家とは関わらずに生きていくつもりだった。
……だがその祈りにも似た思いは、今この瞬間に砕かれた。
なぜ魔王の器として選ばれたのが、オルキスだったのかはわからない。この規格外の錬金術のせいだと言うのであれば、もしその力がオルキスの兄に、あるいは妹に備わっていればユーライト伯爵は彼らを器にしたのだろうか。
意味のない『たられば』だとしても、どうしてもそれを考えずにはいられなかった。
怪しげなローブを着た者たちが、扉を蹴破らんばかりの勢いで部屋へとなだれ込んでくる。
「ルクスダイン辺境伯閣下、お邪魔いたします。やはり愛する息子を連れて帰りたいと思いまして」
そして最後に、オルキスの父、ユーライト伯爵が部屋に入ってきた。
「……四十年も田舎に引っ込んでいたせいか、常識に疎くなっていてな。人の家に夜盗の如く押し入るのが伯爵家のマナーだとは、知らなかった」
「子どもを想う親心というやつですよ、閣下」
「フードで顔を隠した連中を引き連れてか?よく言う」
オルキスを抱いたまま、ゼノがゆっくりと立ち上がった。
顔を隠した侵入者の数は、三十。伯爵以外は全員、杖を手にしている。勝算なく襲撃にきたわけではないらしい。もっとも、その十倍いたところで、ゼノから見れば無意味な行動ではあったのだが。
「オルキスと私の間には、すこし誤解がありましてね。幼少から暴言が酷い子でしたから、少し厳しく躾けてしまったのです。しかし今日、オルキスの行動が悪しき者のせいだとわかりました。父として、もう一度オルキスに歩み寄りたいと考えています」
表面上はにこやかに、ユーライト伯爵が近付いてくる。
「オルキスをお渡しください。あなたが勇者の仲間だったのは、四十年も前の話です。この人数の魔術師を相手に、剣も無く勝てるとお思いですか?」
「儂を狙えば、オルキスにも当たるぞ?」
「多少の痛みは、仕方ありませんから」
先程「愛する息子」と発言した者とは思えない言い様だ。
二人のやり取りを見ながら、父はいつからこうだったのだろう、とオルキスは考えていた。邪教など、貴族院時代に座学で知識として触れた程度。実在していることさえ、知らなかった。
しかし今、事実としてユーライト伯爵はオルキスを取り返すために、ゼノを亡き者にしようとしている。万が一にもありえないことだが、仮にゼノがオルキスを渡したとしても、伯爵は魔術師たちにゼノを殺せと命じるだろう。
「……なぜ、そこまでして僕を取り戻したいのですか?」
答えは知っている。けれどもオルキスは、父であった男の口から聞きたかった。
「何を言っている、オルキス。お前は私の息子——」
「僕が、魔王の器だからですか?ゼノさんと引き離し、絶望の中で死を迎えさせるために」
その言葉に、伯爵の表情が変わった。
「……そこの老いぼれに、何か吹き込まれたのだな。かわいそうに」
「魔王を復活させるには、僕がルクスダインで孤独に死ななければならなかった。だからずっとあなたは、僕に理解者ができないよう魔術で身体を操っていた」
嘲笑う伯爵に、オルキスはただ静かに続けた。
「妹の怪我を理由に別邸に隔離したのも、貴族院に入学させたのも。全てあなたの計画通りだったのですね」
「妄想が激しいようだ。連れ帰ったら、良い医者に診てもらうとしよう」
ユーライト伯爵の返答に、近くにいた魔術師がかろうじて見えている口元をニヤリと歪めた。どうやら、『良い医者』らしい。
…………だが。
「——ほう?奥方の死に関わった医者のことかな?」
「……ッ」
ビリビリと。空気さえ震わせるゼノの声に、伯爵と先程笑んだ魔術師が身体を強張らせた。
オルキスも、その内容の意味を理解して言葉を失う。ゼノの腕が、オルキスをより強く引き寄せた。
オルキスの母は、末妹を産んですぐに亡くなった。オルキスがまだ小さかった頃の話だ。医師からは、病死だと聞いていた。元々身体が強い人ではなかったため、季節性の風邪が悪化して亡くなったのだと。
「貴様がオルキスを諦めていれば、言うつもりもなかった。……リティシアが、時を遡って視てくれてな。貴様は同じ邪教の信徒である医師と結託し、薬物を用いて自らの妻を仮死状態にして、死を偽装した。そして葬儀を済ませ、埋葬する前に運び出して……生きたまま魔獣に捧げたのだ」
それはあまりにおぞましく、恐ろしい事実だった。人を人たらしめている精神が、完全に欠如していた。
「……なんの、ために……」
知りたくない。けれども、知らなければならない。
オルキスは自身を支えてくれているゼノの手を、両手で握った。そうしなければ、身体中の血が手に届かぬ場所まで引いて消えてしまう気さえした。
オルキスの手を握り返したゼノが、答えを口にする。
「……オルキスを魔王の器として、身体を操る禁術を完成させるためだ」
予想して、それでもまだ僅かな希望を抱いてしまっていた。そんな甘さなどないからこそ、ユーライト伯爵は今この場に立っているのだというのに。その目に、苛立ちと怒りを強く宿しながら。
「——……殺せ」
もはや隠すことを諦めたのか、ユーライト伯爵が忌々しそうに吐き捨てた。
「かなり惜しいが、オルキスは諦めるとしよう。末妹を生贄に捧げて、長男を器にする」
「……クズという言葉さえもったいない、腐りきった汚物だな」
「遺言として聞いておくよ、ルクスダイン辺境伯」
合図のように、ユーライト伯爵が片手を上げる。
杖を手にした魔術師たちが一斉に魔法を放とうとし——。
そのままの形で全員が動きを止めた。
魔術師たちが戸惑いながらも、指先一つ自由にならない事実に必死で抵抗を始める。そしてそれはユーライト伯爵も同じだった。「なんだこれは」と、声は出ていないのに口だけが動いていた。
「貴様らがオルキスに使っていた操術は、元々魔王三将軍の一人が編み出した技でな。当時から悪趣味だとは思っておった」
話し始めたゼノに、伯爵がパクパクと口を開閉させている。だが、やはり声は聞こえてこない。
「しかし本家の方は生贄なんぞ使ってなかったから、やはりその辺りが人間の限界なのだろう」
ゼノの口調は穏やかで、どこか言い聞かせているようでもあった。
「ユーライト伯爵よ。貴様の秘密ばかり暴くのは、フェアではない。ゆえにオルキスに伝えるついでに、聞かせてやろう」
なんとか動こうとしている侵入者たちを、青銀色の瞳が静かに見つめる。
「儂には、二つの力がある。一つは、人の限界値を超えてなお、制限なく成長できる『天元突破』。……そしてもう一つが」
フッ、と。ゼノが足元に向かって息を吐き出した。
蛇のように長く赤い炎が床を這い、熱と光が侵入者たちを明るく照らす。
「倒した相手の力を奪える、『固有収奪』。この炎は、三将軍の一人、古龍ドラグネスの技でな。対象者のみを灰にする、魔の炎だ」
言葉の通り、炎はそこに存在し熱も放っているというのに、床を燃やすどころか焦がしてもいなかった。ただ緩やかに、ユーライト伯爵と侵入者たちを囲い込んでいく。その赤く熱い舌が、チロチロと彼らの服の裾を舐めていた。
身をよじろうとしてもまるで動かせず、フードを被った魔術師たちの間に動揺が広がり始める。ユーライト伯爵は、口の形から考えて「待て」と言っているようだった。
「数多の魔獣を相手にし、三将軍を倒し、勇者とともに魔王を討ち滅ぼした。その力を全て手に入れている、と言ったら、どうする?」
伯爵の唇が、「そんなバカな」と動いた。魔術師たちの表情が動揺から恐怖へと変わっていく。
「ユーライト伯爵、貴様には何度もチャンスが与えられていた。オルキスが、与えていた。だが貴様は、ここへ来た」
「……僕だけを利用していたのなら、今ここでゼノさんを止めていました。そうなっていたら、よかった。でも、そうはならなかった。……あなたは報いを受ける日を、自ら手繰り寄せたんです」
ユーライト伯爵の身体が、ぶるぶると細かく震えていた。その足元に、浅い水たまりが広がっていく。
「死ぬのが怖いか?何も知らぬ奥方もそうであっただろう。信じていた夫に裏切られ、魔獣の牙の隙間から、何度も助けを乞うたはずだ」
ゼノがオルキスを抱いたまま、伯爵に背を向けた。見なくていいと言うかのように、その手をそっとオルキスの目元に重ねた。
「生きたまま、竜の炎に焼かれるがいい」
媚びへつらい、助けを求める視線の中、オルキスとともにゼノが部屋を出る。その背後で、炎が一気に天井まで吹き上がった。
音もなく、声もなく。
その表情だけが、地獄の苦しみを映し出しながら。
三十一の肉が灰となるまで、炎は燃え続けた。
——その日を境に、ユーライト家の当主は消息不明となった。
新しく当主となった嫡男ノーマン・ユーライトは、父の足取りを追っている。
だが彼が父の行方を知ることは、決してないだろう。
「ここを越えれば、隣国だぞ〜!」
「……僕には、天まで聳える絶壁の岩にしか見えないんですが」
「ウナナ族だけが知る、秘密の近道だからな!」
にぱっと笑ったゼノが、オルキスを軽々と抱え、壁を登っていく。彼の服は、いかにも「剣士です」といった動きやすくシンプルなデザインのものだ。一方でオルキスは、それよりはもう少しかっちりとした上下に、ローブを羽織っていた。どちらもオルキスが錬成したもので、見た目からは想像もできない多くの効果が付与されている。
隣には、こちらもオルキス製のお揃いの旅装束を身に付けた白猫と茶虎がいて、器用に垂直の壁を登っていた。
「ウナナ、ウーナー」
「難易度百以上の依頼がそんなに溜まってるのか。そりゃ、すまんかったな」
「ウッウッーウナウナ」
「ギルド長が怒っとるだと?知るか、そんなもん。だいたいな、正体不明の老いぼれ冒険者ゼノは、気まぐれなんだ。今回だってオルキスに頼まれてなきゃ、腰を上げとらん」
「……すみません、ゼノさん。僕が隣国に行ってみたいと頼んだばかりに……」
「オルキスは、な〜んも悪くないからな!儂、魔物討伐大好き!ウナロー、ギルド長に高難易度の依頼は全て片付けると伝えてくれ」
「ウ、ウナ……」
その瞬間、確実に白猫ウナローは「なんだコイツ」という顔をした。
身を凍らせる強風も、時折急降下して襲ってくる怪鳥の群も、雑談しながら登る彼らには、髪を揺らすそよ風程度のものだった。
特にゼノは、片手でオルキスを抱えた状態だと言うのに、危なげなく小さな凹凸を利用してすいすいと登っていく。
この壁は、オルキスの国と隣国を隔てる巨大な岩壁だ。迂回路はあるが、道は険しく魔獣も出現するため、利用する者はまずいない。
そうした事情もあり、本来隣国へ行くには別の国を二つ経由する大回りルートを使用する必要がある。
近くて遠い。
それがこの国と隣国の関係だ。
そしてその隣国でゼノは、ただのゼノとして冒険者をしているのだという。
きっかけはウナナ族だった。
ルクスダインに迷い込んだウナナ族の長を助けたゼノは、そこで高難易度の魔獣からしか取れない素材の採集をしないかと持ちかけられた。
当時の隣国では、魔獣による被害が多発しており、討伐者を求めていた。魔獣は人語を解さず人を捕食する生き物だ。だがその皮や骨、爪に至るまで全てが極上の素材となる。
その話を聞いたゼノは「暇だし、人助けになるなら」と承諾し、隣国で冒険者として登録したのだという。
「それが、『謎の最高ランク冒険者ゼノ』の最初の一歩だったんですね」
「隣国とはいえ、うちの国との交流はほとんどないからな。儂にとっても、都合がよかった。……よっし、頂上についたぞ」
グッとゼノの上腕が盛り上がり、一気に登りきる。
そこはまるで、世界を隔てる境界のような場所だった。
向かって、今まで登ってきた方角には荒れた地と雲が立ち込めていた。だがその反対側は、青い空と深い木々がコントラストを描いている。
「オルキスが作った服を着ている儂らにはあまり関係ないが、隣国はかなり暑い国でな。その分、果物を使った甘味が発達している。良い店をいくつか知ってるから、案内しよう」
「楽しみです」
微笑むオルキスに、遅れて頂上に到着した白猫がくるりと回って人の姿になった。
「ナタリーの店か?顔出してくれると助かるぜ、旦那。次はいつ来てくれるのかって、オレぁ随分せっつかれてたからな」
「……ん?」
白猫ウナローの言葉に、ほんの少しゼノの額に汗が浮いた。
だがそれを知ってか知らずか、「ウナナナ」と笑ったウナローが続ける。
「シャオラと、クラムト、レンにマローネ、……あと、あんたがギルドに顔を出すたびにすっ飛んできてた受付の子、誰だったっけ?まぁ、とにかく男も女もたくさんだ。この際誰でもいいからさ、一人くらい抱いてやれよ」
「……なんで今それを言うのかな、ウナローくんは」
「白黒はっきりつけたいタイプなもんで」
ゼノに睨まれたウナローが、オルキスへと視線を向ける。
「なぁ、兄ちゃんよ。わかっちゃいるだろうが、旦那はモテるぜ〜?隣国じゃ、街を歩くだけで腕に二、三人勝手にぶら下がってくるから、ちゃんと見てろよ?」
「……っ、わかりました!」
「オルキス、真に受けんでいい。儂が腕に抱くのは、お前さんだけだ」
「…………は、はい」
ぽんぽんと背中を撫でられ、オルキスは赤面した。
隣国は、反対側の岩壁を同じように下り、深い森を突っ切った先にある。一行は小さな段差を下りるくらいの感覚で、再び岩肌に手をかけた。
「そこは『儂が腕に抱くのは』じゃなくて、『儂が抱くのは』って言えばいいのに」
猫に戻らないまま、ウナローが軽々と降りていく。
「言えるか。年の差がありすぎるわ」
「兄ちゃんの方は、旦那からのアプローチを待ってるんじゃね?」
「は?そんなわけ——……」
ウナローにからかわれたと感じたゼノが、否定のためにオルキスに顔を向ける。そして甘い桃のように染まっている頬を見て、しばし時を止めた。
「…………」
「…………」
「いいね〜、お互い顔を赤らめて見つめ合う。青春だね〜。片方、爺だけど」
ウナナナナ!と。
高い高い場所で、ウナローの笑い声が響き渡った。
——荒涼地ルクスダイン。
かつて、そう呼ばれた地があった。
魔王に蹂躙された後、魔獣が徘徊する場となった最果ての地。
勇者を裏切った騎士ゼノが封じられて以降は、流刑地として使用されていた。
だが、それはもはや過去の話だ。
騎士は勇者を裏切ってなどおらず、むしろ民衆のために自ら罪を被った気高き者だった。
彼は魔王の器として悪しき存在に目をつけられていたオルキス・ユーライトを救い、ルクスダイン姓を与え、ともに暮らし始めた。
すると不思議なことに、荒れていたルクスダインに緑が芽生えるようになった。
徘徊していた魔獣たちは魔王城が残存する雪山へと逃げ、瞬く間に土と岩だらけの土地が草原や森へと変わっていった。
開拓に手を挙げたのは、商業ギルドの中でも最大手と言われる、有那商会だった。彼らが用意する開墾の道具は、紙のように軽いのに、巨大な岩でさえも蒸したジャガイモのように潰してしまえる特別な物だった。
出所を聞かぬ代わりに無償で借りられるとあって、新天地での生活を求めていた者たちはこぞってルクスダインへと移住し、土地を耕した。
今ではルクスダインは、清らかな川が流れ、肥沃な大地に黄金色の小麦が実る一大穀倉地帯となっている。
地を治めるのは、勇者とともに魔王を倒した騎士、ゼノ・ルクスダイン辺境伯。そして彼の伴侶、オルキス・ルクスダイン。
すでに高齢のはずのゼノ・ルクスダインは、なぜかそれ以上老いる気配がなく。
有那商会の跡取りが尋ねたところ、嘘か真か、
「竜の寿命を手に入れたせいだな。オルキスが天寿をまっとうした時に、儂も逝くとするか」
と笑っていた、とのことであった。
簡単な紹介のページに、後日談を少し入れています。




