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女の私が女の子を抱かなきゃ帰れないって、どういうこと!? ~エロゲ世界に転生したのでヒロイン十六人を攻略します~  作者: 円井ねここ
第五章 届かない相手

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先輩の、はじめて

 中は無人のロビーだった。

 壁一面に部屋の写真が並び、下にボタンがついている。

 紡(つむぎ)先輩は写真を一枚ずつ見て、首を傾げた。


「部屋を選ぶ方式なのね」

「はい」

「この部屋、ベッドが丸いわ。なぜかしら?」

「回るんじゃないですかね」

「それって意味あるのかしら?」


 そう言いながら、紡先輩は一番高い部屋を選んだ。

 エレベーターに乗り、部屋番号が点灯している部屋に入る。


「へえ、中はこうなっているのね」

「紡先輩、普通に楽しんでます?」

「初めて入る施設だから」


 部屋の扉を開けると、幅のあるベッドと、ガラス張りの浴室が目に入った。

 紡先輩は興味しんしんで、部屋の中を見回した。


「ベッドの面積が広いわ」

「寝るところですから」

「シャワーがガラス張りよ。なぜかしら?」

「説明しにくいですね……」


 紡先輩が壁際の自販機を指差した。

 ケースの中にピンク色のモーターで動く小さな機械が入っている。


「真白(ましろ)、あれは何の機械──」

「とりあえず、シャワー浴びましょうか!」

「……そうね」


 説明は、永遠にしないでおこうと思う。

 シャワーは別々に浴びた。

 最初に私が入り、次に紡先輩が入る。ガラス越しに見えないよう、私はずっと窓側を向いていた。

 水音が止まって、浴室の扉が開く。

 紡先輩は白いバスローブを着て出てきた。


「サイズが合っていないわ」

「それは、まあ……」

「うるさい!」

「まだ何も言ってません」


 二人でベッドの端に座る。

 空調の音と、浴室に残っている水音だけが聞こえた。


「真白」

「はい」

「私、頑張るから」


 紡先輩は私に近づいて、私の手に触れた。


「来て、真白」


 私は紡先輩の前に座り直し、頬に触れ、唇を重ねた。

 離れると、紡先輩は私を見たまま、返事の代わりにもう一度目を閉じた。

 それを合図に、今度はゆっくり。

 紡先輩の手が、私のバスローブの袖に添えられた。

 紡先輩の唇がわずかに開く。そこへ舌先を入れると、紡先輩の肩が跳ねた。

 今度は紡先輩の方から口を開いた。

 紡先輩の呼吸が乱れていくのが、唇の隙間から伝わってくる。


「ん……っ」


 紡先輩が声を漏らした。

 私はその声を聞いて、背中に手を回した。

 私は紡先輩の額に口づけて、頬、唇へと戻った。

 バスローブへ、手をかける。


「脱がせてもいいですか」

「……うん」


 結び目をほどく。

 布が開くと、シャワーのあとで温まった肌が見えた。

 紡先輩は両腕で隠そうとして、途中でやめる。


「触れても、いいですか」

「……ええ」


 私は紡先輩の肌に手を滑らせた。

 紡先輩は自分から私の首に腕を回した。

 私はもう一度深くキスをして、紡先輩の身体を抱きしめた。

 細い肋骨のラインをなぞるようにして、ゆっくりと、確かめるように手のひらを滑らせていく。

 熱を孕んだ肌は驚くほど柔らかく、指先が触れるたびに、紡先輩の身体がびくっと小さく震えた。


「あっ……ん……っ」


 紡先輩が、短い息を漏らして私の肩にすがりついてきた。

 いつもなら理路整然と言葉を並べる口が、今はただ、熱い呼吸を繰り返すことしかできていない。

 そのまま、躊躇うようにして手のひらで包み込んだ胸元は、彼女の激しい鼓動を直に伝えてくる。


「真白……っ」


 私の名前を呼ぶ先輩の声は、かすかに震えていた。

 見上げると、潤んだ瞳が不安げに揺れている。

 だけど、先輩は逃げようとはしなかった。

 怯えたように私のシャツの布地をぎゅっと掴みながらも、じっと私の目を見つめ返す。


「見ないで……、恥ずかしい……」


 白いバスローブが左右に大きくはだけ、部屋の明かりの下に露わになった彼女の身体は、どこまでも白く、そして綺麗だった。

 紡先輩は両手で顔を覆い、私から目を逸らしてしまう。


「綺麗ですよ、紡先輩」


 覆った手を優しく引き剥がし、その細い指先に自分の指を絡めた。

 そのまま私たちはもう一度、お互いの体温を確かめ合うようなキスを交わした。

 何度も唇を重ね、お互いの息が完全に混ざり合う。

 私の片手は、すでに彼女の滑らかなお腹を通り、さらにその奥へ──。

 指先がその絶対的な境界線に近づくにつれ、紡先輩の身体が再び強張り、緊張するのが伝わってきた。

 脚がキュッと閉じられ、私の手を拒むように力がこもる。

 私は手を止め、絡めた指に少しだけ力を込めて、先輩の耳元に唇を寄せた。


「紡先輩。……力を抜いて、私だけを見ててください」

「……ん、ぅ……っ」


 先輩はきゅっと目を瞑り、それから覚悟を決めたように、ゆっくりと、本当にゆっくりと、足の力を抜いていった。

 肌と肌が擦れるかすかな音が、静まり返った部屋に大きく響く。

 再び唇を重ね、舌を優しく絡めながら、もう片方の手をゆっくりと彼女の太もものあいだへ滑り込ませる。

 私の指先が触れた瞬間、紡先輩の肩が、びくりと跳ねた。


「……力を抜いて、私だけ見ててください」

「ん……っ、ぅ……」


 あれだけ私の手を怖がっていた紡先輩が、今は自分から私にしがみついている。

 「こわい」と震えていた声が、少しずつ、別のものに変わっていく。

 紡先輩の息づかいが、静かな部屋に満ちていった。

 どれくらい、そうしていただろう。

 怯えていたはずの紡先輩は、もう私の指に抵抗できなくなっていた。


「あ……っ、真白……っ!」


 その声が、限界まで張りつめた瞬間——

 糸が、ふつりと切れた。

 腕の中で、紡先輩の身体が大きく波打つ。

 こらえていたものがほどけて、彼女の全身が何度も震えた。

 背中に回された指が、私を離すまいと食い込む。

 先輩の震えが徐々に収まっていくのを感じながら、彼女をぎゅうっと強く抱きしめた。


「紡先輩、すごく可愛かったですよ……」


 掠れた声で囁き、私は紡先輩を離さず強く抱きしめ続けた。

 二人の鼓動が重なり合う甘い余韻の中で、先輩の震えがゆっくりと溶けていくのを、腕の中で感じていた。

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