↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女の私が女の子を抱かなきゃ帰れないって、どういうこと!? ~エロゲ世界に転生したのでヒロイン十六人を攻略します~  作者: 円井ねここ
第四章 甘え方を、知らない

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/137

鏡越しに、見せられて

 翌日の放課後、私は十六室の扉をノックした。

 昨日、久遠先輩は私の乱れたブラウスを直しながら言った。


『明日から放課後、ここに来なさい』


 命令だった。

 元の世界に帰るため、攻略のためにも、その言葉には乗っておくしかない。


「失礼します」


 扉を開けると、昨日と同じ深い緑色のソファが目に入った。

 ローテーブルの上には、白いティーポットとカップが二つ。

 薄い金の縁取りがあるカップで、まだ中身は入っていない。


 久遠先輩はソファに座っていた。

 私を見ると、久遠先輩はティーポットを持ち上げ、カップの片方へ紅茶を注いだ。

 湯気がカップの縁から立ち上がる。

 久遠先輩はもう一つのカップにも紅茶を注ぎ、持ち手をこちらへ向けた。


「来たわね」

「来なさいって言われたので」

「一緒に飲みましょう」


 久遠先輩は隣の座面を二度叩いた。

 ぽん、ぽん。

 ここに座れということなのだろう。

 私は素直に久遠先輩の隣に座った。

 カップを持つと、紅茶の香りが鼻先に届く。

 ローテーブルの端を見ると、零式十六会の活動参加申請書が置かれていた。


「これ、書いたらいいんですか?」

「ええ」


 私は活動参加申請書を手元へ引き寄せた。

 氏名欄には、まだ何も書かれていない。

 昨日のあれだけのことをしておいて、書類上は未提出。

 零式十六会は、順番がおかしい。


 私はペンを取った。


 氏名、佐倉真白。

 学年、二年。

 参加希望理由。


 そこで手が止まった。


「参加希望理由って、何を書けばいいんですか」

「昨日言ったでしょう」

「久遠先輩と付き合いたいから、って書類に書くんですか」

「ええ。正確で助かるわ」

「助かりません。書類としてよくないです」


 私は参加希望理由の欄に書き込んだ。


 『学園行事の運営補助に関心があるため』


「……無難ね」

「書類は無難でいいんです」


 久遠先輩は私の手元を見て、カップをソーサーに置いた。

 かちん、と音が鳴る。


「では、零式十六会への参加を認めます」

「そんな口頭でいいんですか」

「会長が決定することだからなんでもいいのよ」


 久遠先輩は承認欄に「九条院久遠」と書き終え、ペンを置いた。

 書類から離れた指が、迷わず私の肩へ伸びてくる。


「では、次の仕事ね」

「はい。今日はちゃんと仕事を……」


 言い終える前に、肩を引かれ、私の視界は天井へ向いた。


「ちょ、久遠先輩」

「膝枕」


 後頭部の下に、久遠先輩の膝があった。

 黒いスカートの布地が頬の横に触れる。


「仕事、これなんですか」

「今日はそう」


 久遠先輩は私の前髪を指で分け、額にかかった髪を横へ流した。

 滑らかな手つきで髪を梳いていた指先が、そのまま耳たぶへと滑り落ちる。

 ひんやりとした指が、火照った頬を撫で、首筋から鎖骨へと這い下がってきた。

 指が動くたびに、心拍数が跳ね上がる。


「あの、久遠先――」


 何かを言いかけた口を、塞がれた。

 不意打ちのキスに、私は言葉にならない声を漏らしてしまった。

 唇が離れた瞬間、私は反射的に身を起こした。


「ち、ちょっと先輩!」


 たまらず背を向け、ソファから逃れようと腰を浮かせた。

 しかし、床に足がつくより早く、背後から伸びてきた両腕に腰を強く抱き込まれる。

 そのまま背中を引き寄せられ、私は久遠先輩の太ももの間にすっぽりと閉じ込められた。


「どこへ行くの?」


 肩に顔を埋められ、耳の後ろとうなじに直接吐息が吹きかかる。

 鼓膜を直に揺らす甘い囁きに、背筋に痺れが走った。


「逃げる必要なんてないでしょう」

「ちがっ、そういう……んっ」


 腰に回されていた手が、じりじりと這い上がり、お腹から肋骨をなぞる。

 そのまま、一切の迷いなく胸元へと侵略してきた。


「せんぱ、だめっ」


 私は胸元に這う手に自分の両手を重ね、必死に止めようとする。

 だが、背後から体重を預けられている状態では、十分な力が入らない。

 抵抗は虚しく、久遠先輩の手を振り払うことはできなかった。

 背中越しに伝わる体温と、吐息が、私から思考を奪っていく。


「だめじゃないわ。これがあなたの仕事だと言ったでしょう」


 動きを奪われたまま、久遠先輩の器用な指先が、私のブラウスのボタンを一つ、また一つと外し始めた。


「ほら、前を見てごらんなさい」

「え……?」


 背後から強く抱きしめられ、私の背中が久遠先輩へと引き寄せられた。

 久遠先輩の片手が私の顎を掴み、強引に前を向かせた。

 視線の先には、壁際に置かれた姿見がある。

 そこには、ブラウスのボタンを外され、肌を晒した自分の姿がはっきりと映っていた。

 頬が上気している。


「ちゃんと見てごらんなさい。自分がどれだけ可愛い顔をしているか」

「や、見ないで……っ」


 私は羞恥に耐えきれず、顔を背けようとする。

 久遠先輩は私のブラウスの残りのボタンを、ためらいもなく外していった。

 生地がはだけるたび、鏡の中の自分が少しずつ露わになっていく様子が、容赦なく映し出された。

 明かりに照らされた肌が、恥ずかしさで薄く赤く染まっていくのが見えて、私は思わず息を詰まらせた。


「ん……っ」


 久遠先輩の体温を背中に受けたまま、その掌が、後ろから包み込むように触れてくる。

 力は込められていない。なのに、振りほどける気がしなかった。

 久遠先輩の指が、私の一番恥ずかしいところを探り当てる。

 鏡の中で、自分の体が久遠先輩に応えていくのが、嫌でも見えてしまう。


「目を開けて。……ちゃんと、自分を見ていなさい」


 目を閉じることも、顔を背けることも、許してもらえなかった。

 久遠先輩の指は急がず、私がどう乱れていくのかを、鏡越しにじっくりと味わっている。

 恥ずかしいのに、与えられる熱からは逃げられない。

 鏡の中の自分の表情が、どんどん蕩けて、崩れていく。


「真白、すごく可愛いわよ」


 久遠先輩の声に促されるまま、私は少しずつ追い詰められていった。

 見たくないのに、目が離せない。乱れていく、自分の姿から。


「ほら、ちゃんと見て」


 やがて、こらえきれずに体が大きく震えた。

 漏れる声を、抑えられなかった。

 気持ちいいのか、恥ずかしいのか、もう自分でも分からなくなっていた。

 波が引いた後も、私は久遠先輩の腕の中だった。

 後ろからしっかりと抱きしめられたまま、少し離れた鏡に映る、余韻に震える自分の姿を否応なく見せつけられ続けていた。

 脚が小さく痙攣して、体の奥がまだ脈打っている。

 頰は紅潮し、瞳は潤んで焦点がぼやけ、唇は半開きのまま浅い吐息を漏らし続けている。

 自分の体がまだ小さく波打っているのが、鏡に鮮明に映っていた。

 私は恥ずかしさで目をそらそうとしたけれど、久遠先輩の腕がそれを阻んだ。


「動かないで……そのまま見て」


 吐息が耳にかかり、久遠先輩の胸が私の背中に押しあてられたまま、腕にゆっくりと力がこもる。

 達したばかりの敏感な肌に久遠先輩の体温が伝わり、私は小さく身をよじりながらも、鏡の中の自分から目を離せずにいた。

 久遠先輩の指が優しく私の頬を撫でた。

 やがて、久遠先輩が私の耳元に唇を寄せ、甘く溶けるような声で囁いた。


「可愛かったわよ、真白」


 その言葉が、余韻で熱くなった体に染み込んでいった。

 私は力の抜けた体を預けながら、鏡に映る——久遠先輩に抱かれ、乱れきったままの自分の姿を、ぼんやりと見つめ続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。