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女の私が女の子を抱かなきゃ帰れないって、どういうこと!? ~エロゲ世界に転生したのでヒロイン十六人を攻略します~  作者: 円井ねここ
第三章 練習だと、言い聞かせて

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ここで、しちゃおっか

 漫画喫茶のペアシートで、五月は積んできた漫画の一巻を私の膝へ置いた。

 マットの上に二人で座ると、五月の膝が私の太ももに当たる。

 中央に置かれた低いテーブルには、五月が持ってきたメロンソーダと私のアイスティー、それから山のように積まれた漫画が並んでいた。

 放課後、五月が「二年前に大ヒットした漫画を単行本で読み返したい」と言い出し、駅前の漫画喫茶へ入った。


 ――――あと二回えっちすれば、あの瓶が満タンになるイルカ!


 昨日のイルカイルの声が、頭の中に過ぎる。

 友達と漫画を読みに来ただけという体ではあるが、私の中には確実に下心があった。


「真白は何読んでるの?」

「え、分かんないけど適当に絵柄が好みのやつ選んでみた」

「え〜!これアニメ化までしたやつじゃん!」

「そうなんだ」

「夕方やってたじゃん。うちらが中学の時」


 少し会話をした後、お互いに漫画に集中し始めた。

 最初は本当に漫画を読んでいた。

 ページをめくる音が続く。

 五月が一人で笑いながら、次第に私の肩にもたれてきた。

 好きなシーンを見つけるたびに、ページを指して「ここ、めっちゃ好きなんだよね」と私に見せてくる。

 足をぱたぱたさせて、本当に楽しそうに笑う。

 漫画を読みに来た、ただの友達同士だ。

 私の下心になんて、これっぽっちも気づいていない。


「もう五巻まで読んじゃった」

「全部で何巻なの?」

「十二巻。やっぱり面白い漫画は読み返しても面白いなあ〜」


 返事をする前に、私は漫画のページへ目を戻した。

 五月は漫画の話をしている。

 その顔が、すぐ横にあった。

 ページを覗き込むために傾けた顔。


 ――――これは、そういう雰囲気に持っていける。


 頭の中で、はっきりそう考えた。


「五月」

「ん?」


 五月が顔を上げる。

 私は漫画を閉じた。

 表紙の上に、自分の手を置く。


「真白? 読むの飽きた?」

「飽きてない」

「じゃあ、どうしたの」


 私は五月の頬に手を添え、唇を重ねた。

 五月の身体はくっついたままで、私のキスを拒まない。


「……ここ、漫喫だよ?」

「うん。……ここで、しちゃおっか」


 五月の視線が、ちらりと仕切りの向こうへ泳いだ。

 すぐ隣に、知らない誰かがいる。その気配に、五月の肩がわずかに強張った。

 それでも五月は、私の腕を振りほどこうとはしなかった。

 ただ、不安げに潤んだ瞳で、私の出方をじっとうかがっている。

 その視線が、私の背中を押した。


 五月は口を開きかけた。

 けれど、言葉になる前に、私は唇を塞いだ。

 触れた瞬間、五月の手から漫画がずれた。

 ぱさ、とマットの上に落ちる。

 五月は慌ててそれを拾おうとしたが、私がもう一度口付けると、そのまま手をマットについた。


「ん……」


 隣のキーボード音や小さな咳払いが、微かに聞こえてくる。

 薄暗い照明の下、私は五月をシートに押し倒した。

 私は五月の首筋に舌を這わせた。柔らかい肌が、触れた先からぴくりと震える。

 ブラウスのボタンを一つ、また一つと外していく。

 指が直接触れた素肌は、少し汗ばんでいた。


「ん……っ」


 五月が無意識に甘い声を漏らした。

 今度は鎖骨のくぼみへ舌を滑らせ、輪郭をなぞるように這わせると、五月の喉の奥から、再び小さな音が漏れた。

 触れるたびに彼女の声が甘く零れ落ちる。

 私はその反応に胸の奥が熱くなりながら、ブラウスの前を完全に開いた。

 指先で露わになった素肌を優しく撫でると、五月が喉を反らしてまた声を漏らした。


「あ……っ!」


 私は片手で素早く五月の口を塞いだ。

 柔らかい唇が掌に押しつけられ、熱い吐息が指の間から漏れてくる。

 ——この子は、声を我慢できない。それを知っているのに、触れるのをやめられなかった。


「声、聞こえちゃうよ……」


 耳元で低く囁くと、潤んだ瞳で私を見つめてきた。

 隣の部屋から聞こえるキーボードの音が、妙に大きく感じる。

 口を塞がれても、五月の喉の奥からは甘くくぐもった声が、抑えきれずに漏れ続けていた。

 それでも私が手を止めずにいると、抑えこんだはずの声が、また甘く溢れ出してしまう。


「んんっ……!」


 私は五月の膝から、スカートの内側へと手を忍び込ませた。

 声を奪われた五月にできるのは、私の腕にしがみつくことだけだった。

 その指に、ぎゅっと力がこもる。

 声を我慢しているのに、体の方はどうしようもなく正直で、触れるたびに小さく跳ねる。

 薄暗い照明と、仕切り一枚を隔てただけの、すぐ近くにある人の気配。

 その狭い空間で、五月は涙目になりながら、必死にこの状況に耐えていた。

 耐えながら、それでも確かに感じていた。

 私は、そんな五月をただ可愛がった。

 ねだるように潤んだ瞳も、押し殺しきれずに漏れる声も、震える体も、全部。

 やがて、五月の体から少しずつ力が抜けていく。

 掌の中で、乱れていた吐息が、ゆっくりと静まっていくのがわかった。


 友達だった。今も、たぶんそうだ。でもこれは、友達にする触れ方じゃない。

 ——わかっていて、やめられなかった。

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