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女の私が女の子を抱かなきゃ帰れないって、どういうこと!? ~エロゲ世界に転生したのでヒロイン十六人を攻略します~  作者: 円井ねここ
第二章 救うのと、利用するのと

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一緒に、お風呂

 零が来てから三日が経った。

 あの日、私と零が身体を重ねてから、零は意思表示をはっきりするようになった。


「ごちそうさまでした」


 零は箸を揃えて、空になった茶碗の横に置いた。

 昼ごはんは、母さんが作り置きしてくれていた焼きおにぎりと卵焼きだった。

 私は皿を重ね、流しへ運ぶ。


「足りた?」

「卵焼き、もう一つ食べたい」

「分かった」


 私は冷蔵庫を開け、保存容器から卵焼きを一切れ取って小皿に載せた。

 零の前に置くと、零は箸で端を挟む。


「甘くて美味しい。卵焼き、好き」

「……そっか」


 ――――好き。

 零の口から、さらっと出た。

 私は皿を洗い終わり、蛇口を閉める。


「じゃあ、部屋戻ろっか」

「うん」


***


 階段を上がり、私の部屋へ戻る。

 ローテーブルの前に座ると、零もすぐ横に座った。


 肩が触れる。

 いや、触れるどころじゃない。

 零は私の腕に自分の腕をぴったり押しつけ、膝まで寄せてくる。


「ちょっと暑いよ」

「真白の横がいい」


 零は私の手を見て、自分の指を一本ずつ絡めてきた。

 恋人繋ぎだ。


 私は、何かすることを探す。

 学校をサボっている。

 家には二人きりで、密着して恋人繋ぎまでしている。

 これ以上、状況に任せるとまた変な方向へ行く。


「そうだ。アイス、食べよう」

「アイス」

「冷凍庫にあるはず。何味がいい?」

「いちご味」


 即答だった。


「じゃあ取ってくるね」

「私も」


 零も立ち上がる。

 私は手で制した。


「いや、冷凍庫行くだけだから。ここで待ってて」

「行く」


 零は私の腰に腕を回してきた。

 ぴったりくっついたまま離れない。


「歩きづらいんだけど」

「離れたくない。だめ?」


 私は廊下の方を見た。

 家には誰もいない。

 それでも、階段をこの状態で降りるのはかなり危ない。


「階段はだめ。落ちる」

「分かった」


 零は腕を外した。

 外したけれど、私の指に零の指が絡まって恋人繋ぎになる。

 私たちは手を繋いだまま階段を降りた。


***


 夜になり、母さんたちが帰ってきて、夕飯を食べた。

 零は、味噌汁のおかわりを頼んだ。


「おいしい、です」

「お母さん、褒められてるよ」

「嬉しいわねえ」


 母さんが笑って、鍋から味噌汁をよそう。

 零はそれを受け取り、私を見る。


「おかわりした」

「うん。できたね」

「できた」


 なんの報告だ。

 でも、報告してくるのが可愛いくて困る。


 夕飯の後、私は食器を流しへ運ぶと、先にお風呂入って来てとお母さんに言われた。


「零、先にお風呂入って来なよ」


 部屋に戻って零に着替えを渡そうとすると、零が布団の上から顔を上げた。


「一緒に入ろう」


 私は着替えを抱えたまま固まった。


「……今、なんて?」

「一緒に入りたい」

「聞き間違いじゃなかった」

「だめ?」

「だめというか、いや、風呂だよ?」

「うん」


 零は布団から立ち上がり、私の前まで来た。

 上目遣いで私に懇願してくる。


「一緒に入りたい」

「そんなに零が言うなら……」


 私は脱衣所へ向かい、棚からタオルを二枚取り出した。

 後で使う分、洗面台の横に並べておく。

 浴室のドアを開けると、白い湯気が流れ出てきた。

 湯船には、もうたっぷりとお湯が張られている。

 零と一緒に中へ入り、私がシャワーをひねると、零は短く言った。


「洗いっこしようよ」


 零が石鹸を手に取って、私に背中を向ける。私は零の後ろに回り込み、泡を掌に含ませた。

 指先で零の背中を撫で始めると、熱いお湯が零の肌を伝い、私の手のひらまでその熱が染み込んでくる。

 指を動かすたび、零の息がわずかに乱れる。


「ひゃん……っ」


 腰の曲線を撫でた瞬間、零が声を漏らして体をびくっとさせた。


「……ちょっと、変な声出さないでよ」


 零が振り返らないまま、言った。


「真白のえっち」

「な……っ!零が洗ってって言ったんでしょ!?」


 零が振り向いた。頰に薄い赤が差している。目が熱を帯びていた。

 そのまま近づいてくる。熱いお湯が零の体を滑り落ち、私の肌にもかかった。

 濡れた睫毛が、近い。

 次の瞬間、零が私の首に腕を回し、唇を重ねてきた。

 唇は熱かった。舌が絡む。——シャワーの音が、遠くなった。

 零の体が胸に押しつけられてくる。石鹸の泡で滑る肌の感触が、一気に伝わった。

 

「真白……もっと」


 掠れた声でねだられるとどうしようもなくなってしまう。

 私は零の腰を抱き寄せた。腕の中で、体が細かく震えている。しがみついてくる力が強くなった。


「んっ……」


 零の小さな声を聞き、頭の芯が少しずつ溶けていくのを感じていた。

 熱いお湯と零の体温と、零の短い息に、私は抵抗する気がなくなっていた。

 指が私の背中を這い、零の唇が私の首筋に触れるたび、甘い熱が体の中を駆け巡る。

 私は零を抱きしめたまま、荒い息を整えられずにいた。

 やがてシャワーの音も、湯気も、全部どこかへ消えた。

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