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女の私が女の子を抱かなきゃ帰れないって、どういうこと!? ~エロゲ世界に転生したのでヒロイン十六人を攻略します~  作者: 円井ねここ
第七章 君が歌うなら

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第127話 この気持ちは、嘘じゃない

 自室へ入ると、五月(さつき)は鞄を床へ置いてベッドの端に座り、私はその隣に座った。

 話す内容は決まっているはずなのに、五月を前にすると、最初の一言がなかなか言い出せない。

 以前のループで私たちは恋人になって、五月をバンドへ誘ったのは七瀬奈々(ななせなな)を攻略するためだった。

 どこから話せばいいんだろうか。


「……真白(ましろ)?」

「……」


 五月は私が切り出すのを待っていた。

 私が口を開かないままでいると、身体をこちらへ向けた。


「金曜日のこと、嫌だった……?」

「そうじゃなくて」

「じゃあ、なんで黙るの」


 否定した後が続かない。

 五月は、私の方へ近づいてきた。


「ねえ、真白……」


 なんとなく、五月が求めていることが分かった。


「……もう一回、キス、したい」


 五月の手が、私の頬に触れた。

 私は顔を背けず、目を閉じた五月の唇を受け止めた。

 最初のキスは触れてすぐに離れたが、私が身体を引かないでいると、五月はもう一度唇を重ね、腕を私の首へ回した。


「んっ……」


 五月が唇を開いた。

 口の中へ入ってきた舌に私の舌が触れ、五月の腕へ力が入る。

 首の後ろに回った指が髪へ入り、唇が深く重なった。


「ん……」


 私も五月の腰へ腕を回した。

 五月は顔の向きを変え、私の舌を追ってくる。


「……五月」

「んん……」


 舌が触れるたび、今話すべきことを忘れそうになる。

 私は五月の肩へ手を置き、唇を離した。


「――待って」

「……真白?」

「ごめん。今止めたのは、嫌だからじゃない。五月に、話さなきゃいけないことがある」


 私は五月と向かい合って座り、この世界が四月を繰り返し、私が前の周回を覚えていることから話した。

 このループを止めるためには、女の子を攻略してラブエナジーを溜めなければいけないこと。

 五月はその中の一人だったということ。

 五月とは以前の周回で私と過ごし、恋人になったということ。


「だからごめん。私、前のループで五月の気持ちを利用した。今回も、目的は七瀬さんの攻略で、また五月利用しようと……」

「待って真白」


 謝ろうとした私の言葉を、五月は止めた。


「今回のバンドは利用じゃないよ。私、七瀬奈々とバンド組めるなんて夢みたいだもん。それに……」


 さっき離れた五月が、もう一度距離を縮める。


「私、本気で真白が好き。そのループでは、真白の都合で恋人になったのかもしれないけど、私の気持ちは嘘じゃないから」


 五月が私の頬へ手を添え、唇を重ねた。


「ん……」


 五月の唇がいったん離れ、熱い息が私の口元にかかった。息を吸うと、五月はすぐにまた唇を重ねてくる。

 私は顔を背けず、五月の背中へ腕を回した。

 背中に回した腕へ力を入れると、五月の唇の間から声が漏れた。


「んっ……真白……」


 名前を呼んだ五月が、私の下唇を吸った。

 五月が唇を開いて舌先を触れさせると、私も口を開き、舌を絡めた。


「……ん、ぅ……」


 自分の喉から漏れた声を、五月の唇が塞いだ。舌が触れ合い、濡れた音が小さく鳴った。

 頬にあった手が首の後ろへ回り、唇がさらに深く重なった。


「ふ、ぁ……ん……」


 五月は首の後ろの指に力を入れ、私の舌を追ってきた。

 私も五月の腰を抱き寄せ、今度は私から唇を重ねた。


「ん……っ」


 離れた唇をまた重ね、舌を深く絡めた。

 どれくらいそうしていたのか分からないまま、私たちは息を継いでは、また唇を重ねた。



***



 翌日の放課後、私は五月と二人で十六室へ入った。

 長机には久遠(くおん)先輩と紡(つむぎ)先輩がいて、零(れい)と雪乃(ゆきの)は窓際の椅子に座っている。五月は私の隣に立ち、四人を見た。


「全て真白から聞きました。ここにいるみなさんは記憶があるんですよね?」

「ええ、そうよ。」


 久遠先輩がそう答え、零が私を見た。


「真白の恋人になった」

「最初に攻略されたのは私だけどな」

「本命は私」

「二番目のくせに粋がるな!」


 二人が言い合いを始めると、五月は黙っていた紡先輩の方へと視線を向けた。


「わ、私は違うわよ!? 攻略というか、その、ちゃんと同意してラブエナジーを溜めただけ。恋人になったわけではないわ」


 紡先輩が両手を振って否定する。

 これから先は、イルカイルに出てきてもらわないと説明ができない。


「イルカイル!」

「イルカ?」


 十六室の机の上に、イルカイルのホログラムが浮かび上がった。


「呼ばれて飛び出てイルカ〜!」

「な、何これ!?」

「私に、ラブエナジーを溜めるのを指示しているイルカだよ」

「は、初めまして」

「五月も思い出したイルカか……君の周りは本当に記憶を思い出す女の子が多いイルカ。まあ、いイルカ。五月には協力して欲しイルカ」


 イルカイルは、私と過ごす時間をポイントで交換できることと、攻略への協力でポイントが増える仕組みを説明した。


「真白のためなら、協力します。それにこの世界のためにも。ちなみに私のポイントは何ポイントあるの?」

「三百ポイントあるイルカ!」

「記憶持ってないやつにも自動で付与されるのかよ!」

「五月がいないとバンドは成立しなイルカらね〜」


 雪乃は不機嫌になって、そっぽを向いた。

 一人だけバンドに参加できず、情報も得られずポイントが溜まらない焦りが見える。


「えっと、一日過ごすためには百ポイント必要なんだよね?」

「そうイルカ!」

「じゃあ、二百ポイントで、今週の土日、私が真白と過ごす権利もらっていいかな?」


 五月は迷わず二百ポイントを使うと宣言した。

 零が五月を見つめ、久遠先輩は腕を組む。雪乃は舌打ちして椅子を立ち、十六室を出ていった。

 私は廊下へ出て、階段へ向かう雪乃を追った。

 階段を降りようとする雪乃の腕を掴む。


「イルカイルが勝手に決めたルールだけど、私は雪乃のそばにいたいよ」

「先週の土日はあの淫乱女とよろしくやって、今週は発情ドラマーとよろしくやるんだろ。それなのに私に対して、よくそんなこと言えるな。じゃあ私行くから。これ以上私に話しかけるな四股女!」


 雪乃は走って階段を下りていってしまった。


「雪乃…………」


 私は、それ以上雪乃を追いかけることができなかった。

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