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女の私が女の子を抱かなきゃ帰れないって、どういうこと!? ~エロゲ世界に転生したのでヒロイン十六人を攻略します~  作者: 円井ねここ
第六章 二人に、言えない

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サキュバスなのに、搾り取られちゃったみゅん

 日曜日の午後、私はののみの家に招かれていた。


「真白ちゃん、入ってみゅん!」


 ののみの部屋に入ると、いつものオカルトグッズが棚を埋めていた。

 鏡が壁際に立てかけられ、その隣に、ひびの入った水晶玉があった。

 棚の一段には心霊写真だという古い白黒の写真が画鋲で留められ、その上の段では、宇宙人のソフビ人形が、並んでいた。

 机の上では、ロウソクの型をしたライトが、光っている。

 壁の一面には、墨文字のお札が隙間なく貼られていて、その文字は、何が書かれているのかは読めない。

 そして、昼間なのにカーテンは閉め切られ、天井に散らばった蓄光の星シールが、薄く光っていた。


「今日は特別な儀式があるみゅん。だから、真白ちゃんには後ろ向きで待っててほしいみゅん」

「儀式?」

「ぴこーん! 詳しくは見てからのお楽しみみゅん!」


 ののみは私の肩を掴んで、壁に向かせた。


「いいよっていうまで、絶対こっち見ちゃだめみゅん!」

「分かった」

「約束みゅん! 振り向いたら、ののみんが怒るみゅん!」


 後ろで、衣擦れの音がした。

 ファスナーを下ろす音。

 それから、慌ただしく何かを身につける気配がした。

 留め具がかちりと鳴って、また、外れる。

 時々「みゅ、っ」と、うまくいかないらしい小さな声が漏れた。

 見てはいけないと言われているので、私は壁に貼られたお札の文字を、ぼんやり見ていた。


「……いいみゅん!」


 振り向くと、肌面積の多い衣装をしたののみが、そこにいた。

 ビキニのような衣装だった。

 それに加えて小さな角、背中の羽、腰の尻尾。

 お腹の辺りには赤い模様が浮かんでいる。

 タトゥシールだろうか。


「ぴこぴこぴこーん……! サキュバスののみん、参上みゅん! 今日は、真白ちゃんのエナジーを吸い尽くすみゅん……!」


 ののみは両手を広げ、ポーズを取った。

 言い切ったあと、少しだけ不安そうに私の顔を覗き込む。


「……ののみん、魅力あるみゅん? ムラムラするみゅん?」


 顔が真っ赤になりながら、私の反応を求めている目をしていた。

 サキュバスの衣装をしていても、この子が本当に欲しいのは、吸い尽くすことじゃない。

 私に求められて、置いていかれないことだ。


「……する」


 ののみの肩が、ぴくんと動いた。


「ムラムラしてきたよ、ののみ」


 ののみが、息を呑む。

 その隙に、私はののみの手首を掴んでベッドへ押し倒した。


「ひゃ、みゅっ!? ま、待ってみゅん、ののみんがサキュバスなのに……っ」

「ののみがこんな格好してきたから、ダメなんだよ?」


 私は、ののみの顎を上げて、唇を重ねた。

 触れるだけでは終わらせない。

 下唇を軽く挟んで、開いた口の隙間から、舌を差し入れる。

 ののみの身体が一瞬こわばって、それから力が抜けた。

 奥へ逃げる舌を追いかけて絡めると、ののみの喉から、こもった声が漏れる。


「んっ……んんっ……!」


 私は、ビキニの上着を上へずらした。

 「エナジーを吸う」と言い張っていたののみの声が、私が触れるたびに、少しずつ形をなくしていく。


「……んっ、あっ、だめ、みゅ……っ」


 空いた手を太ももの内側へ滑らせると、ビキニの薄い布の奥は、ものすごい熱を持っている。


「……ののみの方がムラムラしてるじゃん」

「ちが……っ、これは儀式の、副作用みゅ……っ、あっ──!」


 布の内側へ、指を進める。

 エナジーを奪うサキュバスの余裕は、とっくに無くなっていた。

 強がって着飾って、それでも失敗した素のこの子が、可愛くて仕方ない。


「……ぁ、ましろ、ちゃん……っ、それ、だめ……っ」


 私が触れるたび、ののみの言葉から、また電波語が抜け落ちていく。

 やがて、ののみの奥で、何かがせり上がってくるのが指に伝わった。ためこんでいた熱が、限界まで膨らんで――


「あ、あ、あああ──っ!」


 弾けた。

 抱えきれなくなったものが、ののみの奥から一気に放たれる。腰が跳ねるたび、その熱がまた押し出されて、私の指を、手の甲を、伝っていった。

 一度では終わらない。二度、三度と、溜めこんでいたものが、こぼれていく。

 サキュバスが吸うはずだったエナジーを、ののみは、自分から全部こぼしてしまった。


「ひゃ、あっ……! やだ……っ、止まらな……っ!」


 ののみは涙目で天井を見上げて、最後の波が引くまで、私の腕の中で震えていた。

 ふっと、力が抜ける。


「…………っ、……はぁ……っ、はぁ……っ」


 しばらく、ののみは動けなかった。荒い息の合間に、まだ指先まで震えていた。


「……エナジーが、出ちゃったみゅん……」


 くぐもった声だった。

 角も羽も尻尾もずれたまま、ののみは力を抜いた。


「うん。……いっぱい出ちゃったね」


 ののみは、返事の代わりに私の胸へ倒れ込んできた。

 汗ばんだ額を私の鎖骨に押し当てて、腕を回してくる。

 私は、ずれた角のカチューシャをそっと外して、枕元へ置いた。

 羽も、尻尾も、順番に外していく。


「みゅ……真白ちゃん、あったかいみゅん……」

「ののみもね」


 汗で貼りついた前髪に触れると、ののみがくすぐったそうに目を細めた。


「サキュバス、失敗しちゃったみゅん……。吸うつもりが、ののみんが全部出しちゃったみゅん……」

「いいよ。ののみのそういうとこ、好きだから」


 そうののみに言いながらも、昨日の終さんの顔がちらついて、私はその影ごと、ののみを抱き寄せた。

 ののみは、みゅふふ、と笑って、私の背中をぎゅっと掴む。


「……なでなでしてほしいみゅん」

「はいはい。何回でも」


 窓の外はもう夕方で、ロウソク型のライトだけが、二人をぼんやり照らしていた。

 オカルトグッズに囲まれた部屋で、私はしばらく、ののみの髪を撫で続けた。

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