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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第三十九話 ニコル vs ギャリング②

気合いと共にギャリング殿下の筋肉量と纏うオーラが変わった。


「《封印》を解いた!」


「封印?」


「力が有り余って周囲の物を破壊してしまうのでな、普段は力を封印し生活しているのよ! がーはっはっはっはっ!」


「苦労されてるのですね」


「即位もしとらんのに、《破壊王》と呼ぶ輩までおるわっ!」


「破壊王とはまた物騒な」


「そうだろ。貴様もそう思うよ、なっ!」


『ブオンッ!』


「うわっ!」


『ザクッ!』


ギャリング殿下の斬撃を避けると、剣圧で頑強な石床が十メートルわたり裂けた。

剣の威力もスピードも今までと比較にならない程上がった。



「会話中にいきなり危ないですよっ!」


「驚いたフリして余裕で避けといて、何言ってやがる。うりゃっ!」


『ブオオンッ!』


『スッ!』


『ザククッ!』


「おらよっ!」


『ブオオオンッ!』


『ススッ!』


『ザクククッ!』


ギャリング殿下の剣は、振るう度に威力を増した。

このまま避けていたら、闘技場が見るも無残な状況になってしまう。



「どうした。避けてばかりいねーで反撃してこいっ!」


「分かりました、よっ!」


『シュンッ!』


『ガイイーン!』


「くっ! ふんっ!」


今までより力を込め放った剣は、ギャリング殿下を一瞬仰け反らせるも直ぐに体勢を立て直した。



『シュンッ!』『ガッ!』


『シュンッ!』『ガッ!』


『シュンッ!』『ガッ!』


『シュンッ!』『ガッ!』


『シュンッ!』『ガッ!』


『シュンッ!』『ガッ!』


更に動きに揺さぶりを掛け、連続攻撃を行う。

が、ギャリング殿下は大剣を器用に捌き全て受ける。



「おいおい、あいつスゲーぞ。動きが速すぎて目で追えねー!」


「あの体格差でギャリング殿下が防戦一方だ!」


「馬鹿、ギャリング殿下笑ってるだろ。これから反撃が始まるんだよ!」


観客席では兵士達が興奮している。



「つえー奴とやり合うのはマジで楽しい、ぜっ!」


『ブオオオオンッ!』


『ギーーーッ!』


「これを受け流すか、よっ!」


『ブオオオオンッ!』


『ギーーーッ! シュンッ!』


ギャリング殿下の強烈な剣を受け流し、即反撃。


『ガッ! ブオンッ!』


しかしそれを受けられ、間髪入れず反撃される。


『ギーーーッ! シュンッ!』


僕も再び剣を受け流し反撃する。


『ガッ! ドンッ!』


ギャリング殿下は剣を受けると、そのまま体当たりしてきた。

僕は突き飛ばされた勢いで、自ら後退する。



「逃がさねーよっ!」


『ダッ!』


『!!』


ギャリング殿下は、《瞬動》スキルで一気に間合いを詰めてきた。

ここにきて初めて《危機感知》スキルが反応した。


『ブオオオオンッ!』


『ガイイーーーン!』


『ビキッ!』


ギャリング殿下の袈裟斬りを、受け流す間が無くまともに受け止めた。

その結果、僕の足元の石床が割れた。


「くそダラーーーッ!」


『ブオンッ!』


しかし気合いで剣を振りきられ、ふっ飛ばされる。


『ズズズッ!』


僕は空中で体勢を整え着地する。



「まだまだーっ!」


『ダッ!』


そこへギャリング殿下が再び《瞬動》スキルで間合いを詰める。


『ブッ』


『シュンッ!』


『ガイイーーーン!』


「くっ!」


『ズザザッ!』


僕は動きを予想し、ギャリング殿下の剣にカウンターを合わせ斬撃を止めた。



「貴様はまったく底が見えねー、なっ!」


「それはお互い様です、よっ!」


『ガイイーーーン!!』


『ズシャッ!!』


力のこもった斬撃がまともにぶつかり合い、二人の周囲の石床を陥没させた。


『タッ!』


『ダッ!』


「逃げんなよ。もっと打ち合おうぜっ!」


『ギンッ! ギンッ! ギンッ! ギンッ! ・・・・・・・・・・!』


足場の悪いその場所を離れようと後方へ跳ぶと、ギャリング殿下は瞬時に間合いを詰め連続攻撃を仕掛けてきた。

僕は闘技場を縦横無尽に移動しながらそれを防ぐ。


この状況はしばらく続いた。



ユミナやソフィア婦人、そしてニコルの家族は、闘技場の貴賓席で観戦していた。


「おねーちゃん、凄い、凄い試合だよっ!」


「うん。相手の人、凄く強いね。パパ行商の旅で襲ってきた盗賊や《魔素地帯》の魔物の群れを余裕でやっつけちゃうから、こんな本気のパパ初めて見た!」


サーシアは勘違いしていた。

ニコルはこの試合でまだ本気など出してなかった。


今までニコルは、家族やエシャット村の人達へ能力の片鱗しか晒していない。

それはこの世界で《のんびり生活》を送る上で必要な能力を行使したまでで、目立って貴族や王族の影響を受けたくなかったからだ。


だが世間知らずの家族やエシャット村の人達からすれば、それすらも《大いなる力》に思えた。



「パパ、勝つよね?!」


「当たり前でしょ。サー達のパパなんだから! 『それにサーを庇ってくれたユミナさんの為にも、絶対勝たなきゃ。でも・・・・・・!』」


ユミナの父への想いが、サーシアを複雑な気持ちにさせた。


『パパが既婚者と知りながらアプローチしてきた女の人は今までもいた。パパ格好良いから。でも『妻を愛してる』と言ってキッパリ断っていた。ユミナさん、この試合パパが勝ったらどうするの?』


サーシアはそんな事を思いながら、ユミナの横顔を眺めた。



親善試合は決定打に欠け、膠着状態が続いた。

しかし闘技場の床や壁は、着実に崩壊に向かっていた。


「ハァ、ハァ。激しい試合だ。私も剣の腕と体力には自信があったが、二人は次元が違う」


審判のクラウドは呟いた。

彼は試合の邪魔にならないよう広い闘技場を駆け巡っていた。



「癪だが第一封印を解いただけでは、此奴は倒せぬか?」


「第一封印?」


「ぬおーーーーーーっ!!」


激しい気合いと共に、ギャリング殿下の筋肉量と纏うオーラが()()変わった。


「第二封印を解いてやったぜ!」


「第二? という事は第三或いはそれ以上もあるのですか?」


「知りたいか? 知りたきゃ実力で確かめてみろっ!!」


『ダッ! ブオオオオンッ!!』


ギャリング殿下は質問には答えず、間合いを詰め斬撃を放ってきた。

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