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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第四十話 ニコル vs ギャリング③

ギャリング殿下は質問には答えず、間合いを詰め斬撃を放ってきた。


『ブオオオオオオンッ!!』


『スサッ!』


僕は反射的に斬撃をかわした。


『ザクッザクザクザクザクザクッ!! ドゴーン!! ガラガラガラガラッ!!』


「「「「「「「「「「うわぁぁぁっ!!」」」」」」」」」」


「うぐっ!!」


「ぐえっ!!」


「いてぇっ!!」


「えっ?!」


僕が悲鳴が上がった方へ目を向けると、斬撃は三十メートル離れた闘技場の壁を突き破り観戦席を破壊していた。

怪我人の状況が心配である。



「決闘中よそ見とは余裕だなっ!」


そう言いながら、ギャリング殿下は剣を振り上げた。


「逃げろーっ、またくるぞーーーっ!!」


観戦していた兵士達は、慌てて逃げ出した。


『ブオオオオオオンッ!!』


剣を避ければ、また観戦席に被害が及ぶ。


『ゴギイイイーーーン!!!』


『ズガシャッ!!!』


斬撃を避けようと思えば避けられたが、剣で受け止めた。

その衝撃で足元の石床に大きなクレーターができた。

だがそのお陰で、観戦席への被害は防ぐ事ができた。


『ブオオオオオオンッ!!』


『ゴギイイイーーーン!!!』


『ズガシャッ、ガラガラガラッ!!!』


更に斬撃を受けると、クレーターになった石床が完全に粉砕した。

観戦席への被害は防げるが、これを続けるには限界がある。



『タッ!』


「《上級結界》」


僕は咄嗟にその場を離れ、ギャリング殿下を上級の《結界属性魔法》の中に閉じ込めた。


『ドスッ!』


「痛えっ!」


『ドンッ、ドンッ、ドンッ!』


「くそっ、結界か。だがいつの間に呪文を唱えやがった? まあいい、今は考えるより破壊して出る方が先だっ!」


『ブオオオオオオンッ!!』


『ゴギイイイーーーン!!! ゴギイイイーーーン!!! ゴギイイイーーーン!!! ゴギイイイーーーン!!! ゴギイイイーーーン!!!』


「ちっ、かてーなっ! 仕方ねー、あれを使うか。***** ******* ***** ******* ******* エンチャント《黒炎》!」


『ブオッ!』


ギャリング殿下が呪文を唱えると、アダマンタイト製の剣が黒い炎を纏った。



「ちょっ、ちょっと待ってください!」


「何だこれからって時に?!」


「ギャリング殿下の斬撃が観戦席に被害を出してますっ!」


『チラッ!』


「ちっ、やっちまったか。決闘が楽しくて気付かなかったぜ!」


「ははっ」


僕は苦笑しつつ、頬を掻いた。



「審ぱーーーんっ!!」


巻き添えを食わぬよう離れてジャッジしていた審判を、ギャリング殿下が大声で呼んだ。


「はいっ!」


「怪我人を治療してこいっ!」


「では《親善試合》は終了ですね?!」


「終了? んなわけねーだろーーーがっ!!」


『ブオオオオオオンッ!!』


『ザクッ! ボボボボボアッ! ・・・・・・・・・・バリバリ、バリーーーン!!!』


ギャリング殿下が剣を振るうと、結界に亀裂が入りそこから黒炎が広がってやがて破壊した。

あの黒炎には、結界を破壊する《特殊効果》があるようだ。



「決着がつくまで《決闘》は続ける。待ってやるから邪魔な観戦者共を闘技場から追い出せっ!!」


『ギンッ!!』


「うくっ! 行ってまいりますっ!」


クラウドさんはギャリング殿下から威圧の眼光を向けられ、よろけつつ観戦席へ向かった。


「ギャリング殿下の威圧、正気を失うところだった。しかしこの《親善試合》、いつから《決闘》と呼ぶようになったんだ?」


そう呟きながら。



「ユッ、ユミナ殿下。なぜ此方にっ?!」


クラウドが破壊された観戦席に到着すると、そこにはユミナがいた。

その隣りには、ミーリアとサーシアもいる。


「怪我人を手当てします!」


飛散した瓦礫を受け、十数人が怪我をしていた。

ユミナとミーリアは《回復属性魔法》が使える。

サーシアは魔法のポーチに《回復薬》を所持していた。


「危険ですから此処は私に任せて避難してくださいっ!」


「試合は中断しているのでしょう? 避難より治療が先です!」


「・・・・・・!」


クラウドは何を優先すべきか思案する。


「では、怪我をなさらぬよう気を付けて治療なさってください!」


「分かりました!」


結果、クラウドは王族の避難より、怪我人の治療を優先した。



クラウドは魔法袋から魔法薬を取り出し、怪我人の下へ駆け寄った。


「さあ、回復薬だ。飲めっ!」


「クラウド隊長」


怪我を負った兵士は顔を顰めた。


「どうした? 早く飲めっ!」


「いり、ません」


「いらない? どうしてだ? 傷が痛むのだろう?」


「それは」


『チラッ!』


兵士はユミナの方を見た。


「まさか貴様、ユミナ殿下に治療してもらいたくてっ!」


「あっ、俺もいらんです!」


「私もです!」


「あの娘カワイイなー!」


「あの女性もかなりの美人だぜ!」


「貴様ら、揃いも揃ってーーーっ!!」


この後クラウドは、無理矢理怪我人に回復薬を飲ませた。



しばらくして、怪我人の治療と観戦者の避難を終えた。


「さあ、ユミナ殿下と御婦人方も避難致しましょう!」


「僕は残るよ。この凄い決闘を最期まで見るんだっ!」


治療している最中、貴賓席から遅れてやって来たレコルが叫ぶ。

その傍らには、エミリアとソフィア婦人もいた。


「君は?」


「レコル! 今、戦っているパパの子供だよっ!」


「そうか。でもな、その決闘を再開するとこの場所は危険になる。怪我だけでは済まされず、死ぬ可能性だってあるんだ。今回は残念だが避難してくれ!」


「イ・ヤ・だっ!」


「おい、我儘を言うなっ!」


「レコル。サーも残るよっ!」


「おねーちゃんっ!」


「なっ! だめだ、だめだっ! 私は君達の安全の為に言っているのだぞっ!」


「私も残ります。私にはこの決闘を《見届ける義務》があります!」


「ユミナ殿下までっ!」


クラウドは困り果てた。

そんな時だった。


「審判っ、おせーぞっ!!」


「ヒィッ、すみませんっ!!」


ギャリングの怒声が上がった。



「ギャリング殿下、そんなに怒らないでください」


「俺様を待たせ過ぎだっ!」


「いっそ、決闘を中止にしませんか? 闘技場もぼろぼろですし」


「腑抜けめっ!! 貴様が中止と抜かしたのだから、この決闘は俺様の勝ちだ。ユミナ殿下は俺様が貰う。それで良いかっ?!」


「それは困ります」


「だったら貴様が俺様の《家臣》になれっ! それで手を打つっ!」


「それは嫌です」


「なにーっ!!」


「あっ、ちょっと観戦席の状況を見てきます!」


僕は逃げるように観戦席へ走った。



僕が観戦席へ行くと、何やらもめていた。


「分かりました。僕が《貴賓席》に強力な《結界》を張ります。皆さんはそこから出ずに観戦してください」


そしてみんなの意見を聞き、こう提案をした。


「それで本当に大丈夫なのか?」


クラウドさんが心配そうに問う。


「ええ、大丈夫です」


「クラウド隊長。ニコル君が『大丈夫』と言うのなら、大丈夫ですよ!」


「私も補償します!」


ソフィア婦人とユミナが後押ししてくれた。


「それならば」


クラウドさんは不安を抱えたまま、了承してくれた。



「あっ、クラウド隊長!」


「何だ?」


「クラウド隊長も、貴賓席にいてください。これ以上我々のそばにいると、それこそクラウド隊長が大怪我をするかもしれません」


「・・・・・・くっ、悔しいが君の言う通りだ。私ではこの審判役、力不足のようだ」


「ご理解、ありがとうございます」


「だが二人に何かあったら、私は直ぐに駆けつけるぞっ!」


「はい、お願いします!」


この後みんなと貴賓席へ行き、周囲に《超級結界》を張った。



「あれは結界か? 俺様を囲ったやつより更に強力なようだ。くそっ、ニコルの奴め。どこまで手の内を隠してやがる? こうなったら《最期の封印》を解くしかねーか!」


《究極結界》を見たギャリングは、そう呟いた。

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