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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第三十八話 ニコル vs ギャリング①

王都軍闘技場の使用許可が下り、僕は今闘技場でギャリング殿下と対峙している。


「おいおい、あのギャリング殿下の対戦者はどこのどいつだ?」


「詳しい事情は知らんが、グルジット伯爵家の推薦らしいぞ!」


「あいつ死ぬんじゃねーか? ギャリング殿下はアルシオン王国の英雄と呼ばれちゃいるが、ありゃどう見ても《バケモン》だろ。俺だったら絶対相手したくないね!」


「バカお前それ《不敬罪》で死刑だぞ。もうちょっと言葉を選べ!」


「ははっ、心配するな。どうせ聞こえねーてっ!」


『ギンッ!』


「ひっ、ひえーーー!!」


ギャリング殿下が、騒がしい客席を睨みつけた。

すると、一人の兵士から悲鳴が上がった。


「誰がバケモンだ!」


『ははっ、ギャリング殿下にも聞こえてたんだ』


観客席には大勢の兵士が、隣国の英雄ギャリング殿下の戦いを一目見ようと集まっていた。



「今回の《親善試合》の審判は、三番隊隊長のクラウドが務めさせていただきます!」


「おう!」


「宜しくお願いします」


審判が《親善試合》と言った理由は、ソフィア婦人が使者にそう指示したからである。

同盟国の王太子殿下と自国の者が《決闘》となれば、理由を追求され王国が介入し止められるだろうからだ。


僕としてはその方が良かったが、ソフィア婦人とユミナは《決闘》で僕が勝つ事を望んでいるようだ。



「それでは改めて試合のルールを確認させていただきます!」


「はい」


「手短にしろ!」


「ではその様に。今装備している武具の他、魔法・スキル・アイテムの使用を有りとします。但し、相手の殺害は禁止です。勝利条件は相手を戦闘不能、もしくは戦意喪失にさせた方を勝ちとします。以上が事前にお聞きしたルールです。大変危険な様に感じますが、本当にこの条件でよろしいですか?」


審判が心配そうな視線を僕に向ける。


「ああ、問題無い! ニコルも良いな?!」


「ええ、まあ」


「そうですか分かりました。ギャリング殿下陣営から大変貴重な《エリクサー》と《回復薬》を各種預かってますので、私が必要と判断したら試合を止め、遠慮なく使用させていただきます!」


「おう、自由に使え!」


「はい。それではお二人共準備はよろしいですか?!」


「いいぞ!」


「はい」


「では、剣を構えて!」


『『スッ!』』


僕とギャリング殿下の視線が合い、互いに剣をかまえる。



「始めっ!!」


「行くぜ、ニコルッ!」


『ダッ!!』


始めの合図と共に、ギャリング殿下が五メートルはある間合いを一気に詰める。


『ザシュッ!』


『ガキーーーン!!』


「余裕で受けるか。やはり只者じゃねーな。普通の奴なら今の一撃でぶっ飛んでるぜっ!」


ギャリング殿下の振るう身長をも超える長さの大剣を受けてみた。

思っていた以上に重い。


その剣の材質は、超硬度に加え超重量の《アダマンタイト製》だった。

非力な人間では、ただ持ち上げるのも難しい。

だがギャリング殿下は、それを軽々と振るった。


ちなみに僕は《ヒヒイロカネ製》の剣を使っている。

アダマンタイトに硬度では劣るものの、重量は軽く扱いやすい。



「でも、まだ本気じゃないですよね?」


「あたりめーだ。貴様に死んでもらっちゃあ困るからなっ。実力を測らせてもらうぜっ!」


『ザシュッ!』


『スッ!』


『ザシュッ!』


『スサッ!』


『ザシュッ!』


『スッ!』


『ザシュッ!』


『スサッ!』


『ザシュッ!』


『スササッ!』


今度は最小限の動きでかわした。

斬撃でおこる風圧が、かわす度に僕の髪を乱す。



「大した見切りと動きだ!」


「殿下の剣は重いですからね。避けた方が楽です」


「そうかよっ!」


『ブオンッ!』


『ダッ!』


足元への横薙ぎを、真上へのジャンプでかわす。



「引っ掛かったな」


『ザシュッ!』


ギャリング殿下はすぐさま剣を返し、斜め上に切り上げる。


『ダッ!』


『スカッ!』


それを二段ジャンプでかわす。



「空中で更にジャンプだとっ!」


『シュッ!』


『ガキーーーン!!』


僕が剣を振り下ろすと、ギャリング殿下は咄嗟に剣で受けた。


「ぬおーーーっ!」


そして力で僕の斬撃を押し返す。


『クルッ、スタッ!』


僕は後方へ一回転し着地する。


『ザシュッ!』


『ギキィーーーッ!!』


着地と同時に僕を斬撃が襲う。

安定しない状態でまともに受けると吹っ飛ばされる為、衝撃を殺しつつ剣で受け流す。


『ブオッ!』


が、ギャリング殿下の攻撃は止まらない。

剣を振るった勢いのまま脇腹へ回し蹴りがくる。


『スッ!』


『スカッ!』


僕は体勢を思い切り低くし、回し蹴りをかわす。

ギャリング殿下の背中が見え、こちらが有利な状況になる。


『ブオッ!』


だが直ぐに、顔面への足刀蹴りがくる。


『タッ!』


『スカッ!』


僕は後ろへ跳んでそれをかわす。



「がーはっはっはっはっ! 剣だけでなく体術への対応も可能ってか。二段ジャンプといい、今のところ全く底が読めねー。このままじゃ拉致があかねーな!」


「・・・・・・?!」


「ふんぬっ!」


気合いと共にギャリング殿下の筋肉量と纏うオーラが変わった。

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