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平民侍女は引きこもり令嬢を更生させたい  作者: いとまる。
ラズティア王国編
38/39

意地っ張りですよ





ゴブリン討伐から数日が経過し、冒険者ランクはアリア様がD、私はCにまで上がっていた。

アリア様の実力的には今のランクが一番合っていて、しばらくは昇格依頼も受けていない。


ちなみに、毎回二人で同じ依頼を受けているはずなのに、私のランクがアリア様よりも高くなっていることには理由がある。

簡潔に言うと、先日運悪くCランクの魔物であるシルバーベアに遭遇し、それをまた私が倒してしまったのだ。

その討伐証明をギルドへと持ち帰り、そのままランクアップした、というわけである。

Dランクのままでも良かったのだが、結果オーライだろう。


なんて考えながら、街灯の明かりがつき始めた大通りを歩いていると、ふいに隣から大きなため息が聞こえた。


「はあ……。なんで私まで行かないといけないのよ…。最悪だわ。」

「まあまあ。せっかくシャロンさんとクレアさんがご馳走してくれると言うのです。先日のお詫びということですし、ご厚意に甘えさせていただきましょう。」


不服そうなアリア様を宥めながら、二人に指定された店へと向かう。

なぜこのような事になっているのかというと、それは昼にまで遡る。


今日も朝からアリア様の特訓に付き合い、昼前にはギルドで依頼を受ける手続きをしていたのだが、そこで偶然にも私達は例の二人と鉢合わせた。

ローブで顔を隠していたというのになぜ私達だと気付いたのかは分からないが、先日話した約束をぜひ今夜にでも、と誘われたことで今に至る。


アリア様は心底嫌そうだが、他の冒険者の話を聞ける機会はそうそうない。

内心楽しみに思いつつもそれを隠し、約束の時間に間に合うように私達は足を早めた。




指定された店はかなり人気のある酒場のようで、外にまで賑わっている声が聞こえる。


「……本当に行くつもりなの?」

「当然です。緊張するのは分かりますが、少しでも人見知りを克服できるように頑張りましょう。」

「わ、私は別に緊張してるんじゃないわ。ただ、あの生意気な子に会いたくないだけよ…。」


アリア様はむっと唇を尖らせて顔を俯かせた。

ついつい可愛らしく思えてしまって、その頭を撫でてみると思いきり睨まれてしまった。

…まるで警戒心の強い子猫みたいだ。


「二人はもう中で待っているかもしれません。不安なら手を握りますが、どうしますか?」


そう言って左手を差し出すと、アリア様の顔は瞬く間に紅潮していく。


「ッッ!!…いらないわ!!行くなら早く扉を開きなさい!」

「…ふふっ。では行きましょうか。」


我慢できず笑ってしまったが、幸いアリア様は気付いていないようだ。

コロコロと表情が変わる様子は本当に見ていて飽きない。

なんにせよ、アリア様が少しはリラックスできたみたいで良かった。


これ以上アリア様に怒られてしまう前に、私は店の扉を開いて中へと入った。


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