食事中ですよ
「……んんーッ、よく寝たわ……。」
体を起こし大きく伸びをするアリア様を見て、ため息をつく。
「いくらなんでも寝過ぎです。もう夜ですよ?」
「あら、もうそんな時間?どうりでお腹が空いているわけだわ。」
ようやく起きたかと思えば、すぐに空腹を訴えてくるその姿に思わず呆れてしまう。
最近は忘れがちだったが、やはりこの方は根っからの引きこもりなのだ。
早朝に特訓をしたとはいえ、まさか本当に丸一日寝て過ごすとは思わなかった。
アリア様が身支度を完了させたタイミングで私も剣の手入れを終わらせ、椅子から立ち上がる。
「はあ…。では食堂に行きましょうか。」
寝ているアリア様を放置してはおけず、同じく朝からなにも口にしていない私もお腹はペコペコだ。
たっぷり眠ったことで上機嫌のアリア様と共に、私は一階の食堂へと向かった。
「さて、明日ですが予定通りゴブリンの討伐依頼を受けようと思います。」
運ばれてきた料理を食べながら、私達は明日のことについて話し合っていた。
食堂はいつも通り多くの人で賑わっていて、店の従業員達も忙しそうに走り回っている。
「実際に見たことはないけれど、それほど強い魔物ではないのでしょう?」
「確かにゴブリン単体の難易度はEランクが相当ですが、それでも依頼がDランクに設定されているのには理由があるんです。」
もぐもぐと口を動かすアリア様の目をじっと見て、ゴブリンについての説明を始める。
食事時にするような話ではないが、今更気にしなくてもいいだろう。
「ゴブリンは基本的に2体以上で行動しています。知能は低いですが武器も扱いますし、油断して殺される人間も多いのです。醜悪な外見と残忍な性格で多くの人々から忌み嫌われていて、ゴブリンの討伐依頼が多いのはそれも理由の一つでしょうか。」
もっとも、一番の大きな理由はその生殖力であるが。
凄まじい生殖力に加えて成長スピードも早いため、どれだけ倒してもキリがないのだ。
「…なるほどね。よく分かったわ。」
醜悪な外見という言葉にそれを想像してしまったのだろうか、アリア様は顔を顰めている。
やっぱり後で話した方がよかったかと反省しながら、私は食事を再開した。




