436 えすでぃーじーず
『人間の性別は男と女の2種類しかない。これが世界標準。ホモとかレズとかって脳みその障害だからな。死刑で良いよね』
その言葉を見て、僕――陸は「酷い……」と呟いた。
光流が炎上している。ネットには酷い言葉ばかりなのに、つい気になってみてしまう。これはどういう心理なんだろう。
興味?
冷やかし?
上から目線?
安全なところから、他人を攻撃する輩を傍観することの優越感に浸ってる?
どれも否定できなくて、心が苦しくなる。
この言葉を書いてるやつらに、言い返してやろうか。
『返信』と書いてある場所をタップした。
さて、何と返してやろうか。
まずどうする? それが偏見だと指摘する?
ジェンダー的な何かはSDGsにもあった気がする。そこから攻めるか?
「っ」
目の前のスマホの画面を見つめながら、脳内で文章を構築した。
・・・
『ホモとかレズとかって脳みその障害だし、死刑でしょ』
「はああああーーーーーーー!!????」
パソコンの画面を見て、千代は思わず叫んだ。
「だっっったら世界の取り組みSDGsに反対してるお前らは一種の障害かってんだ反論してみろよ!!」
『この人達は病気なんだから治療してあげるべき。電気を流すとかバットで全身を滅多打ちにするとか治療法はいくらでもあるはず。諦めんなよ社会全体』
「お前こそ同性婚認められてる国のほうが世界からの評価高いって事実に目ぇ逸らして狭い社会で威張りすぎ。なめんなよ世界の大きさ!!」
パソコンのキーボードを叩く。カシャカシャと音が響いた。
送信ボタンを押そうとして――手が止まる。
千代は、一応そこそこ名のある配信者だ。
そんな配信者がこんな悪口を書けば炎上。そうなると生活費が……。
結局、打ち込んだ文章はすべて消した。
・・・
「……筮さん、光莉、どうする?」
淳は、一人足りないリビングで、筮と光莉に聞いた。
二人とも、何も答えない。
かく言う淳も、「どうするんだ」と聞かれたら、何も返すことはできない。
・・・
桜井捌夢は、他の生徒よりも少し早めに学校に来る。
教室の扉を開けて、中に入った。
するとそこには、珍しく担任がいた。
「ああ、桜井さん」
担任は捌夢を見ると、おはようございますと挨拶をした。捌夢ももちろんおはようございます、と返す。
数秒、気まずい空気が流れた。
「先生……光流さんは?」
「……今日はお休みです」
そりゃそうか、と言いそうになった。
今日の、光流のいない教室の空気と、クラスメイトのひそひそとした話し声を想像して、ため息をついた。
今回の話に書いてあるの文章は、以前同性婚に対するスレか何かで書いてあったコメントをもとに書きました。千代のコメントは、実際に私が思ったことです。
ナ「ああ、なるほど。だからやけにリアルだったわけか」
ところでナレーターさん。ナレーターさんは、これに対してどう思う?
ナ「は、俺?」
白「キキ、キキ。ナレーターさんと私が生きていた時代を考えてごらん? 同性婚……ではなく、パートナーシップは普通にあったよ?」
あ、そっか。そういうものだっけ?
作「……私も大した偏見とかは。あのコメント達は酷いと思うよ。他にはどんなコメントがあったの?」
別に後書きに書いたってあのコメントが無くなるわけでもあの考えが無くなるわけでもないしさ。読者の皆さんにとっても、私にとっても気分の悪い話だからさ。
白「読者さんがああいう考えを持ってる人って場合もあるじゃん。どうしてそう言うの?」
…………それはないんじゃない? だって今までBLギリギリの話を書いて来たよ?
白「なるほどね……」




