435 光流の炎上
ボク――光流ことアルジェントゥス・アルカディオンは、”光流”として人間界にいる時は、芸能人だ。
姉、光莉とそっくりで、外見も良くて、性格もいい方だ。ひょんなことから芸能活動に手を出していた。
今日はバライティの撮影の日。
楽屋で、ボクは一人着替えをしていた。
芸能活動を始めたころ、性別をはっきりさせなかったせいで女だと勘違いされ、訂正する面倒臭さとその時の空気を想像しずるずると性別を公表しないまま活動し続けた。
姉は今席を外している。
性別が違うのだ。着替えの時は順番に席を外す。
……自分が異世界の王族だったことをしり、混乱してあまり休めなかった。
それが主な原因だった。
「失礼しまーす」
がちゃ、とドアが開いて、女性スタッフに着替えを見られた。
・・・
数日後、芸能人のスクープなどが載っている雑誌に載った。
クラスメイトに軽蔑の目で見られ、距離を取られ、記者に詰め寄られる。
――生活が一変した。
そこそこ、芸能人としては知名度も高かった。
人気の多い街を歩けば声をかけられる。そのくらい。
スマホを見るのすら億劫で。でもつい見てしまう。
もしかしたら、正義感のある誰かが、自分をかばってくれているんじゃないか、と。
淡い期待を、抱いて。
何かを夢に、見て。
誰かに期待、したり、と……。
『だましてたの? 最低すぎ』
『女だと思われて周りにちやほやされて、ヤバすぎない?』
『キモイキモイキモイキモイ』
『変態で草wwww』
『姉の方も性別偽ってるんじゃね?いや姉じゃなくて兄か笑』
『性別騙してたってなるとあの性格も年齢も信じられないな』
『⇈いやそれはないやろwww学校かよっとんのやぞwww』
スクロールしても無限に出てくるコメント。息が詰まる。
『中学生相手に大人が群がって何してんの』みたいな、そんなコメントもあった。
――それが本心かどうか信じられないのは、ボクの問題だろうか。
ただひたすらに息が詰まって、無性に何かにあたりたくなった。
物を投げるでも壊すでも、その辺の道端に落ちてる枝を折るでもいい。何でもいいから、何かを。
「……ゔ」
心の底から出た言葉。これほどまでに低い声が出るとは思わなかった。
素の、低い声。高めではあれど、男の声だった。枕に顔を埋める。
……姉には、『説明が面倒くさい』と言った。
でも本当は違う。
枕から顔を上げた。
本当は、『こっちの方が自分を否定されない』と思っていた。
カッコいいものより可愛いものが好き。
男子のノリより女子のノリの方が話しやすい。
サッカーや野球みたいな体育系は苦手。室内で何かを作ったりするのは得意。
女に生まれたかった。
一卵性みたいに姉とそっくりなくせに、性別が違う。
どれだけ願っても変わらない自分の体が、大嫌いだった。
フフン、このコメント達、私一人で書いたんだよ? 天才すぎでしょ(笑)
ナ「ドヤってるところ悪いけど、ハテナの後ろに空白を入れなかったり、wの形を変えたりといろいろ工夫があって、むしろ今までの炎上している人のコメント欄はすべてキキが書いたものなんじゃないかと疑うレベルだよ」
ええ……。やってないよ、そんなこと。私はSNS基本やってないからね?
白「例えば?」
ユー○ューブ→何らかの制限があるか何かでコメント欄が開けない。
ツ○ッター→持ってない。
ラ○ン→持ってないしする相手もいない。
インス○グラム→持ってない。
ティッ○トック→持ってない。
作「陰キャだ」
陰キャじゃねぇよ。




