434 この家の成り立ち
次の日――西村陸は、父、鏡に電話をかけていた。
『え、勉強?』
「うーん……まあ」
『いいよ』
いいんだ!?
案外サラッと受け入れられてビックリ。
そうして陸が驚いてる間に、鏡は話し出す。
『うちの家、名字ちょっとショボいだろ。分家は鬼火野だったり鬼龍院だったり、豪華なのにさ……。でも、それにはちゃんと理由がある』
「理由?」
え、ショボいとか言っていいの……?
『およそ1200年前――元の本家の次期当主は、自分が当主になるまで自由に暮らすと言い家を出て行った』
鏡は話を続ける。
次期当主の定期報告は年二回あればいい方。そんな中、次期当主からの連絡が途絶えた。
どうせめんどくさかったのだろうと放っておかれて十数年。
とある山に住んでいる青年に不気味な力があると報告があり、本家はすぐさま青年を捉え、死刑に。
しかしそのすぐあと、その青年が次期当主の息子だったと判明。
本家の血は途絶え、一族は散り散りに。
元に戻ろうにも声を上げた瞬間敵対関係の家――まあ、祓い屋のだれかに殺されるので誰も声を上げない。
その時、攻め込まれない準備をし、また集まるべきだと声を上げたのが――俺の家。
そこからこの家の血が途絶えることはなく、1000年もの間当主の座にしがみついてきたってわけ。
鏡はペラペラと話をし、陸は少し呆れた。
「……長いね」
『これでも短くした方だよ?』
電話口からも、鏡が苦笑いしているのが伝わってくる。
父につられ、陸も思わず苦笑した。
・・・
「ええ!? 陸に……家の成り立ちの話しちゃったの!?」
寝巻の凪が目を見開く。鏡は、目の前の妻に苦笑した。
「あれは子供にする話じゃないでしょ、何で話しちゃうの?」
怒っているというより、驚きの方が大きいんだろうなぁ。
そう思いながら、無意識に眉を八の字になっていた。
「う……ごめん」
「別にいいけど……どこまで話したの?」
「…………………全部」
「はぁっ!!?」
うう~、と鏡は唸る。
「いや、家の成り立ちに関するところ以外はほとんど話してないし! ……登場人物も何人も省いたし!! 登場したのは次期当主と処刑された次期当主の息子くらい!」
それなら……と凪は不満そうながらも諦めたようにため息をついた。
「……それにしても、鏡くんが省いたって言ってる”ほかの登場人物”ってどんな名前だったかしら?」
「あんまり思い出すこともないからわすれちゃうよね~」
「鏡くんは当主なんだから忘れちゃダメでしょ……」
「ちゃんと覚えてるよ、心外だな!」
「ほんと? じゃあ例えば誰よ」
凪だって俺の妻なんだから覚えてなきゃダメだろ……と言いたい気持ちを押さえ、凪の質問に答えた。
「例えば……狐白さん、とか……――」
ナ「今出されている”狐白”の情報を整理します!」
おう! ネタバレしたら即刻ねじり潰す!
作「満面の笑みで言うなよ怖いなぁ……」
ナ「その一! 名前が狐白!」
めっちゃ初歩的!
白「そんなん言われなくともわかっとるわぁ!!」
そうだよね白銀。白銀だけが味方だよ……。
白「え、キモ……」
ナ「その二! ……えーっと……陸の家の成り立ちに深くかかわっている! ――関わっているようだが成り立ちの説明で省かれているため、そこまでは関わっていない!」
作「なんなの!? はっきりしろよ!」
ナ「その三! 優正が名前を知っている!」
作「さっきから”こっちが理解してる初歩的なこと”しか言わないんだけど……」




