430 レグルスの心情
「セラフィン!」
目を開いた瞬間、兄に抱き着かれた。
混乱した。確かに死んだはずなのに、と。
視線を上げると、知らない男性と少年。
「なに……?」
かすれた声が出た。
だって、やっと……。
やっと、終わったのに。
またあの、地獄の日々に……?
そう考えると、ひゅ、と息が音を立てた。
「本当に、生き返った……」
そう言って兄は抱きしめる力を強くする。
は? と言いかけた。
ふざけるなよ、俺の気持ちも知らないくせに。
蘇りたいなんて願ってない。死んだのは俺の意思だし、終わらせたのも俺の意思。
こっちの感情ガン無視して、愛情を押し付けてきやがって。
――結局お前も、俺の嫌いな大人たちと変わらない。
「はぁ、はぁ、は」
息が荒くなってきた。
泣いて喜ぶ兄を横目で見て、殺意がわいた。
視線を上げると、白髪の男と、緑メッシュの少年がニコニコと笑っていた。
少年に関しては、ニコニコと言うより普通に笑っている。
「はーい、そこ片づけたいのでどいてねー!」
男が近づいてきた。
その男の言葉で、兄はやっと離れてくれた。
「で、その子の状態を確認したいので一瞬貸してね」
・・・
「どう、記憶ある?」
男は笑みを崩さなかった。
「……え?」
「ああ、ごめんごめん。だって、キミ、全然話さなかったから、記憶ないのかなーって」
男はユウセイ・ツキカゲと名乗った。
光と炎の二属性なのに、聞いたことのない名前だ、と思っていたらこの世界の人間ではないらしい。
「記憶はあります。私はセラフィン・フォン・ローゼンベルクで、クリスマスに死んだはずです」
「おーけー、ちゃんと記憶あるね。生き返ったのが信じられなかった?」
「……………………………兄には、言いませんか?」
ちらりとユウセイを見てそう聞いた。
ユウセイは少し胡散臭い。ただ、特に聞かれたくないわけでもないので、少し迷ったふりをしてから、口を開いた。
「生き返りたく、なかった……」
心の底から出た本心。
彼は少し黙ると、興味をなくしたように足を組んだ。
「そ、じゃあもっかい死ぬ?」
「え!?」
想像してすらいなかった言葉に思わず声が出た。
「……でも、きっとお兄さんは何度でも蘇らせるよ。自分の寿命を犠牲にしてね」
キミを一度蘇らせた時点で、お兄さんの寿命は残り40年以下くらいになってる。その数字は、お兄さんが残り80年生きられた場合だけど。
そこでキミが死んで、もう一度蘇らせたら、残り20。もう一度やったら、10。
「お兄さんはきっと蘇らせるのをやめないよ。俺も、その気持ちは想像できる」
ユウセイは少し目を伏せた。
しかしすぐににこりと笑う。
「ここに住めば、公爵家には劣るかもしれないが衣食住に可愛いペット付き! ヴァルグレイは成長すると人型になることができるので何でも話せる親友にも! それに今ならなんと!! お兄さんが魔法の訓練を望んでいるので兄に縛られることもなくなります!」
言い方に少しムカついて殴りたくなったが、まあ確かに好条件だ。
苦い顔をする。少し俯いた。
でも、迷う時間は短かった。
「住みます」
ナ「キキって人の心とか無いの?」
逆にあると思う?
ナ「真顔で返されても困るよ……?」
ごめんごめん(笑)だって私、”狐塚季輝”は狐だよ? 人道に沿う必要ってある?
白「……キキ今日はどうしたの? なんだか闇落ちしてそうなんだけど」
さっき……推し○子観たんだよね。
作「ああ、なるほど」
ところでナレーターさん、なんで私に人の心がないって思ったの?
ナ「だって……アルヴァンは必死で、弟を守る行動なのに、セラフィンはその愛情に殺意を抱いてるんだよ?」
違うよ?
ナ「は?」
アルヴァンは弟を守ってないよ。守るなら、セラフィンの死を、尊重すると思わない? セラフィンの生前に強要されていたことも理解していたのに。だからあれは、”愛情の押し付け”そして、”自分のため”であり”自己満足”なのさ。
作「そんなんだから、人の心がないと言われるんじゃない?」




