表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
432/443

429 一番最後か一番最初


「う、ん……」


 アークレイオンは、ゆっくりと目を開いた。

 目の前には、ひびの入った少年がいる。


 豪華に飾られた天井は、見覚えのある物だった。


「おはようございます。アークレイオン王太子殿下」


「エルカ……さま」


 ぼーっとしていると、クリスマスに起きた事件を思い出した。

 目を見開いて、勢いよく起き上がる。


 アルヴァンに貫かれた胸元に手を当てた。


 穴は、開いていなかった。

 エルカ様が直してくれたのか、とエルカを見る。エルカは相変わらずの無表情だ。


 ホッとすると、笑みが浮かんできた。


「よかった……」


「殿下、お話を遮るようで申し訳ないのですが……」


 エルカは少し目を伏せると、ゆっくりと話し出した。

 騎士が十七人、闇魔法で殺されたこと。そして、同じく闇魔法で殺された、貴族の男性が一人いること。


「……誰が、死んだんだい?」


「亡くなった貴族の方は、フォーゲルシュタイン家のアドリアン様です」


「あの人か……」


「腹部を刺されたようで」


「腹部……待て、じゃあなんで私は生きて、アドリアンは死んだんだ?」

「殿下」


 混乱して急に動いたせいで、胸元がズキッと痛んだ。

 腹部を刺されたアドリアンは死に、胸部を刺されたアークレイオンは生きた。


「完全に治ったわけではないので」


 いくらエルカの魔術とはいえ、いくらか後遺症はある。

 すまない、と言ってベッドに倒れこんだ。


「……殿下、闇魔法の欠点をお忘れですか?」


 無表情で目線もあわないままそう言われた。


「今思い出した。”血の近い者には効きずらい”……これでしょ? 欠点」


「正解です。アルヴァン様は愛人のことは言えど公爵家です。王家と血は近いでしょう」


 対するアドリアンは、ほぼ成金と言っても過言ではない。

 下を向いて頭を押さえた。はは、と乾いた笑いが浮かぶ。


「なるほどな……」


・・・


「――って、今王家はこんな感じになってます♪」


 優正はそう言ってぱちりとウインクをした。

 アルヴァン――否、リゲルは少し呆れる。


 水晶を通して城の様子を見た。

 そうだ、身内には闇魔法は聞きずらいんだった、と今更思い出す。


 今セラフィン――もといレグルスは、隣の部屋でヴァルグレイという黒い狼と遊んでいる。


「つまり、実の父親であるあの屑は、今の私じゃ殺せないってことですか?」


「せいかぁい」


 屑の部分をわざと強調して言ったが、優正は華麗にスルーする。

 と、いうことで、と話をつづけた。


「血の繋がってない屑から殺していこうよ!」


 ……は?

 満面の笑みで言われて一瞬固まった。


「……は??」


「だーかーら、屑は全員殺しちゃおってこと!」


 優正は唇を尖らせる。

 リゲルは視線を泳がせた。


「えーっと……?」


「別に悪くはないでしょ? どうせ屑に存在価値はないって価値観でしょ? キミは」


「そうですけど……」


 サラッと言われて混乱する。

 ていうか、屑全員殺すんだったらユウセイも殺すことになるのでは?


「ユウセイもそこそこ屑ですよね……?」


「あ、俺も殺したい?」


 うーん、と優正はわざとらしく考えるふりをする。

 数秒考えるポーズをとった後、にこりと笑った。


「なら、一番最初か、最後に殺してよ」


 ――元神童の”一番”を飾れるなんて、光栄だね。


 ニヤリと笑ってそう言われた。

 神童という呼び方は、アルヴァン時代を彷彿とさせて、不快だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イイネ等、よろしくお願いします。 え? なぜかって? しょうがないなぁ、そんなに言うなら、教えてあげないこともないですよ。 モチベにつながります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ