小話7 一般人も楽じゃない。3
すみません!水曜日分が抜けました汗
月曜に二話分、更新します。
「あ、あの」
「!」
注文し終えたのを見計らって、眼鏡の女性がおずおずと声をかける。話しかけられるとは思っていなかったらしい。肩をピクリと反応させ、チラッと女性を窺う。
「……僕に、何か用?」
「ご、ごめんなさいっ……いだっ!?」
「はい?」
問いかけると同時、カウンターテーブルへ額をぶつけるほど頭を下げる女性。それを目の当たりにした青年は、咄嗟のことで反応出来ず、首を傾げた。
「いや、その、つい先程貴方を驚かせてしまいましたので」
「……」
女性の話に得心がいった青年は、静かに首を横に振る。
「気にしなくていい。僕が逃げたのも、悪いから」
「いえ! そうは言っても、元々の原因は私ですから。謝らせて下さい」
「いやいや、僕が」
「いやいや、私が」
「いやいや……」
終わりのない謝罪の言い合いに、二人は互いを見合って思わず、小さく吹き出す。
「ふふっ、コレではきりがありませんよ」
「……そうかもしれない」
ひとしきり笑みをこぼした後、青年の前に注文した品が置かれた。手にとって飲もうとした所で、女性の声が割って入る。
「……あの、何故そんなに人目を避けるのですか?」
「っ!?」
女性にとっては何気ない疑問だったが、言われた青年はそのまま動きを止めてしまう。
「ち、ちょっと待ってください。私、またやらかしました?」
「……ふう」
頭を抱え、動揺を表す女性を見て、青年はそっと短息。自分よりも歳下であろう男の子にため息をつかれ、眼鏡の女性は羞恥で顔を赤くした。
「わあぁ!? なんだか呆れられてません? すみませんっ、自分、歳下泣かせなんです」
意味の分からない謝罪を口にする、女性。青年は何を言うでもなく、苦笑をこぼす。
「え? 笑われた?」
「変わった人だね。なんで僕が、"人目を避けてる"って思うの?」
「へ!? えっと……なんと言いますか。勘、ですかね?」
「勘、って……はあ」
「あからさまなため息っ!?」
微妙にすれ違う、二人の間にある温度差。周囲の客は、青年に同情の眼差しを送る。
「こんな人に会えるとは、思わなかった」
そう呟くと、顔を伏せたまま眼鏡を外す青年。
「……ねえ。悪いけど、僕の話を聞いてくれる?」
次回は、月曜19時更新予定です。
よろしくお願いします。




