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喫茶で小話集  作者: 愛組
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25/31

小話7 一般人も楽じゃない2

「マスタあぁぁ! 聞いてくださいっ!」


「!?」


 眼鏡の青年がそーっと扉を押し開いた瞬間、女性の声が響く。驚いた眼鏡の青年は、思わずバタンと勢いづけて扉を閉じてしまう。


 一部始終を見ていた中の客達は、ジト目を声の主に向けた。閉める音に眼鏡をかけたスーツの女性も気づいたらしい。居心地悪そうに視線を泳がす。


「あ、またやらかしちゃいました?」


 カウンター席から後ろを振り返って、客達に尋ねる。彼女の問いに、頷く顔があちこちで見られた。


「……以前、お嬢様の一件で注意する様にしていましたが。まだまだ、配慮が足りないようですね」


 大きなため息をつく、スーツの女性。マスターとの話を一旦切り上げ、「さて、どうしましょう?」と腕を組み考え込む。


 と、しばらくして扉が再びゆっくりと開いた。マスターを除く、全員の目が注がれる中。


「……」


 先程の眼鏡の青年が、店内の様子を伺いながら入って来る。逃げてしまったと思っていただけに、興味深げな視線が入り混じった。


「……入って、いいの?」

「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」


 青年の問いに、マスターが笑顔で出迎える。彼はコクリと頷き、迷いのない足取りでカウンター席に座った。気弱な性格だと思っていた客達は、虚をつかれてヒソヒソ話し合う。スーツの女性から三つ分程離れた席に座った彼は、注文を入れる。


「初めてだから、何があるか知らない。おすすめ、お願い」

「少々、お待ちください」


 場慣れしているような話し方に、誰もが目を瞬く。



『一体、どういう事だ?」と。

次回は、水曜の19時更新です。

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