小話6 ウチには、分かる2
本日、1話目です。
「邪魔するで……ん? 客がえらい少ないな」
少女は意気揚々と喫茶店に入ると、客の少なさに驚く。噂によれば、ここは質の高いコーヒーや紅茶、ケーキ類が味わえると言う。話を聞きつけた人々が、こぞってこの店を探し、何度も足を運びたくなるらしい。
しかし少女の視界に映る人影は、マスターを除き二、三人程度。席はガラガラだ。聞いた話と違う。この段階で、少女は疑いを深め、誰も座っていないカウンター席に座る。
「初めましてやな、マスター。早速なんやが、注文ええか?」
「いらっしゃいませ。どうぞ、ご注文受けたまわります」
「ほな、"世界のちゃうケーキ"なんてあらへん?」
少女は、単刀直入に切り込む。対してマスターは笑顔のまま返す。
「では、本日のおすすめケーキセットはいかがでしょう?」
「はいっ?」
なんの躊躇いもなく、「ある」と答えたような返しに拍子抜けする少女。数少ない客達も、驚いた様子を見せない。
「ほ、ほんまにあるんか?」
「ええ。ございます」
何がしかの反応を見せてくれるかと思ったが、逆に少女の方が不意を突かれてしまう。「苦し紛れのウソ、かもしれへん」と自分を言い聞かせて、わざと大仰に腕を組む。その姿は、虚勢を張ってる様にしか見えないが。
「な、なら見せてもらおうやないの。その"本日のおすすめケーキセット"とやらを」
「はい、少々お待ちください」
「……」
挑発気味に言っても、あっさりスルーされ、気に食わない少女。不気味な顔でマスターの背を見送りながら、叫ぶ。
「少しは、反応見せろやっ!!」
2話目は、今日の20時に更新します。




