小話5 暇つぶし4
すみません、投稿が遅くなりました汗
「ちょっと、何がどうなって」
混乱の極みにある金髪の青年は、女性と着流しの男を見比べる。
「ごめん、おじいちゃんの頼みは断れなくて!」
女性は、パンと両手のひら合わせて謝罪。
「僕からも。誤解を与えたみたいで……。僕は彼女のいとこでね、同じく呼び出されてしまった」
「はあ?」
「挨拶なんぞ、どうでもいい。ほれ、さっさと座れ」
話を遮り、三人を席へ促す。有無を言わさぬ態度に、渋々座席に座った。そのタイミングに合わせて、着流しの男が頼んでいた品が提供される。
「おー、きたきた」
一人だけ楽しげな様子の中、居心地の悪い三人はしきりに視線をハズす。金髪の青年は、着流しの男の孫娘と知らず、付き合っている事を秘密にしていた後ろめたさ。女性の方は、彼氏がバレてしまった、緊張感。いとこの彼は、勘違いさせてしまった罪悪感と疎外感に押しつぶされそうになりながら。
重苦しいボックス席に、周囲の客達も自然と小声の会話になっていた。
「まさか、こんな形の暇つぶしになるとはね。偶然とは、怖いものだ。なあ、少年?」
「え……あ、はい」
彼女の身内と知って、言葉遣いに迷う金髪の青年。そんな彼の顔を、着流しの男はじーっと観察する。
「どうしたのかな? つい先程までの勢いは?」
「あ、そ、それは……」
「遠慮する事ないぞ? あれほど、生意気な口を叩く若僧も珍しいからな」
「……」
言葉を失う、金髪の青年。そんな彼氏の姿を見て、女性が口を挟む。
「ちょっとおじいちゃん。言い過ぎよ!」
「親にも内緒で付き合ってる、お前さんが何を言う? 息子達に代わって、言ってやってるだけだ」
「……うっ。そう言われると」
口で勝てないと知って、悔しげに唇を噛む女性。その向かいの席で、いとこの彼は沈黙を貫く。
着流しの男は、コーヒーを味わってからケーキを一口堪能する。そして項垂れ中の金髪の青年を見て、苦笑をこぼす。
「悪い。少々からかい過ぎたな、少年」
「い、いや」
着流しの男は、フォークを皿の上に置く。そして背もたれに寄りかかり、左右の袖に腕を通す。
「小言は、これだけにしておこう。だが、筋は通せ。お前さんらの今後の為にも」
「……え?」
責め立てられると思っていた金髪の青年は、ポカンとした表情で着流しの男を見た。
「別れろ、と言う訳じゃないさ。本当に、想いあっているならな。しかし、親にも言えん男には預けられんよ」
「……」
着流しの男の言葉に、息を呑む。しばし間を置いて、金髪の青年は真っ直ぐと男の視線を見返す。その瞳に、決意が宿る。着流しの男は、満足気に笑った。
ーその後。
一組の公認カップルが、成立したという。
次回は、水曜の19時更新です。




